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第四話 北条家の姫

「わああああ…」

数日後、作太郎と能は小田原に到着していた。

「これが…海…!」

「そうだよ」

作太郎も海を見つめた。前世、冨沢秀雄の故郷、小田原。明治の世に御幸ヶ浜と名付けられる海辺に作太郎と能姫はいる。


「見沼も美しいですが…海はもっと美しいです!」

「まったくだな。ずっと見ていても飽きないよ」

「小田原にしばらく留まるとのことですが、私は太田家の姫です。北条に捕らわれるのでは…」

夢の共演シナリオでも小田原は北条家の領地だった。城主は北条早雲である。

太田家が北に上杉、南に北条と言う勢力を抱えている状況も同じだ。現在、太田家は上杉家と結んでいるため北条家と太田家は敵対関係だ。史実なら第二次国府台合戦がそろそろ起こる頃合いか。


「ははは、今の能は武家娘に見えないよ。旅装だし」

「あ、確かに」

今の作太郎と能は武士風体ではなく、編み笠をかぶった旅人の格好だ。防衛のため刀こそ差しているが武士ではない。

「小田原では、しばらく路銀を稼ごうと考えているよ」

彼にはゲーム内で貯めたお金が収納法術内にある。令和日本で言えば億単位くらいの金が。

しかし、それには手を付けず、この世界で額に汗して働いて金を稼ぎたいと思っているのだ。

伴侶を得たのだから、なおのことだろう。


「どのようなお仕事を。私も手伝いたいです」

「俺は収納持ちだからな。大八車二台分くらいだけど、座や商家から運搬の手伝いとか出来る。あとは医者かな」

「お医者様…。そういえば北条の姫に重い病の女子がいると聞いたことがあります」

「そうか…。治してやりたいが牢人の俺は小田原城に入ることが出来ないから無理だな。北条家に仕える医者に任せるしかな……!能!」

「えっ」

作太郎は急ぎ能を抱きしめた。そして砂の中から

「ほほう、気配は完全に消していたのに見抜かれるとは」

一人の黒衣の男が現れた。


「風魔…」

「さよう、害意はない」

武器を腰から抜いて、浜に投げた。

「…そちらが太田の姫、能殿か」

「あ、あの…違いますよ」

そうだと言っているようなものだ。風魔の忍びは能の大根芝居に苦笑した。

「風魔の情報網をあまり舐めないでもらいたい。おぬしが死病に罹った、そちらの能殿を気術で治したことは我らを経て、もう早雲様の耳に入っている」

「…………」

「そう睨みなさんな。見沼竜神を倒したおぬしと刃を交える気は無い」

これは能の方が驚いていた。作太郎は能に話していない。そして

「なんて罰当たりな!」

当然の反応だろう。見沼の恵みを受ける寿能城の者からすれば、文字通り神様なのだから。

「いや、ごめん。何か成り行きでな…。しかし、そこまで知っているのか」

「早雲様の言葉だ。『どうか姫の病を治してほしい。太田の姫が小田原城下にいることは見なかったことにするうえ一時の居住も認める。かつ十分な報酬は支払う。武士になる気がない若者を無理やり召し抱えることはせぬ』とのことだ」

「分かった。患者がいるのなら是非もない。治療に当たろう」

「かたじけない、ご案内いたす」

「俺は武州牢人の作太郎、おぬしの名前は?」

「忍びが名乗るのは死す時だけ。許されよ」

だが作太郎は分かっていた。こいつが風魔小太郎だろうと。



史実では北条早雲から五代かけて、巨大な堅城となった小田原城。

しかし、現在作太郎がいる異日本戦国は『戦国武将、夢の共演』の世界だ。

普通に北条早雲が小田原城主であったりする。


「旦那様、とても美しい城です」

能が小田原城を見上げて言うと

「全くだな…」

前世の冨沢秀雄は小田原市出身、小田原城公園には何度も訪れて城も見ているが、現代のものとは比べ物にならないほどの規模の小田原城。堂々たる堅城だ。


風魔の忍びの案内により、小田原城の入口へと。作太郎と能はかぶっていた編み笠を取った。風魔の忍びが門番に事の次第を告げる。門番のうち一人が『しばし待たれよ』と言い城内へと。

(まさか戦国時代の小田原城に入ることが出来るなんて…)

作太郎は、そう思いつつ待っていた。すると

「ようこそ小田原城へ。手前は北条新九郎と申す」

いきなり、とんでもない大物が来た。北条氏康である。

「ご案内いたす、そちもご苦労であった」

「はっ」

風魔の忍びは、ここで任務が終わりのようだ。そのまま去っていった。

「こちらへ、奥方の能殿もご一緒に」

「分かりました。能、参ろう」

「はい」


小田原城の中に入っていった作太郎と能、氏康が先導している。

「新九郎殿、姫の年齢、そして症状を聞かせてくれませぬか?」

「そのつもりにござる。風魔には詳しく伝えず、貴公を連れてくるよう指示しただけゆえ。この一連の無礼、許されよ」

氏康は奥へ作太郎たちを案内しつつ、質問に答えた。

「娘の年齢は十四、能殿とそう変わりませぬ。名は紗代」

作太郎は『えっ?』という言葉を飲み込んだ。史実の武田勝頼正室、北条夫人のことだ。相模殿などの名前もあるが『異日本戦国転生記』では『紗代』と言う名前だ。

史実に沿ったシナリオでは、彼女が武田勝頼と信勝親子と共に亡くなってしまうのは、主人公がどう頑張っても変えられない。しかし

(夢の共演シナリオなら助けられる…。しかも現状武田家に嫁いでいない…)


「症状は…娘の顔を見れば一目瞭然かと思いまする。馬みたいな顔になってしまったのです」

能は絶句していた。女としてそれは死に勝る苦しみだ。

「初期症状は?」

「最初は鼻の上あたりに発疹が出来ました。それがどんどん膨らんでいき、しまいには、その出来物の重みで歩くことも困難になり…」

「『骨繊維異常増殖症』」

「え?」

氏康が振り向いた。

「考えられる姫の病の名前です」

前世、冨沢秀雄は医者ではないが多くの救急の現場に臨場した救急救命士である。

この資格を取るには多くの医学書を勉強し、常に新しい医療知識を頭に叩き込む必要がある。それゆえあらゆる難病の症例も学んできた。『骨繊維異常増殖症』とは骨の発育異常による疾患だ。

「治せましょうか?」

「まずは診てみないことには」

「そ、そうでござるな、そろそろ到着にござる」


『異日本戦国転生記』ゲーム画面が作太郎の脳内に表示。

『試練【北条氏康の娘、紗代姫の病を快癒させよ】が入りました』


奥に到着、伏せているかと思えば

「紗代、ついにお前を治してくれる医者が来たのだぞぉ!開けなさい!」

「いやっ、今まで誰も治せなかったじゃない!もう嫌!」

奥の一室に閉じこもってしまっているようだ。懸命に説得している堂々とした禿げ頭の爺さんが

「ご本城様、医者の作太郎殿、お越しです」

「おおっ、よう来てくれた。そちらの見目麗しい姫君が能殿か」

「はっ、はい…」

「よいよい、敵軍総帥に会って緊張するのは分かるが、あくまでそれはそなたの父や道灌との争い。そなたには何の関係もないのじゃ。まして城主の娘という立場も捨てて惚れた男を追いかけたと聞き、ようやったとさえ思ったものじゃ」

北条早雲、その人だった。作太郎は体が震えた。面構えといい風格といい、すさまじい。ただニコニコしている好々爺だが、何一つ勝てる気がしない。令和日本の暴力団幹部など足元にも及ばない迫力だった。

「武州牢人、作太郎にございます」

「よう来てくれた。北条早雲にござる」

ペコリと頭を下げる早雲に作太郎は恐縮した。北条の総帥である早雲が一介の若い牢人に頭を下げたのだ。

「見ていたと思うが、ひ孫はずいぶん前からあの部屋に引きこもっておっての。状態は新九郎より伺ったのかな?」

「はい、馬のような顔になってしまったと」

「そうなのじゃ…。本当の顔立ちはおぬしの奥方にも勝る美しい少女であったのに…可哀そうでならぬ」

「私が話してみます」


作太郎は紗代姫が籠る部屋の前に行き

「紗代姫様、私は武州牢人の作太郎と申します。貴女の病気を治しに来ました」

「嘘言わないで!誰も治せなかったのに、どうして牢人の男が治せるのよ!」

「あ、あの…私は作太郎の妻の能と言います。寿能潮田家の娘です」

しばらくの沈黙のあと

「寿能…?って、太田家の姫がどうして小田原にいるの?」

「私は旦那様に重い病を治してもらったのです。全身が浮腫みでパンパンに腫れあがり、夥しい爛れと出来物も全身にありました。激しい嘔吐に下痢、もう助からないと思っていました。妻にも母親にもなれずに死ぬのだと」

「…………」

「ですが、たまたま寿能を訪れた旦那様がそんな私を治してくれました。その時の優しい笑顔に私は惹かれ、寿能を出て、私は妻にしてもらえたのです」

「そんな病は聞いたことがない…。本当に治せるの?」

「診させて下さい。それからでなければ分かりません」


観念したかのように紗代姫は部屋から出てきた。そして能を見た時だ。

「…なんて綺麗な肌と髪なの」

たとえ、能の言った病の話が嘘であったとしても、能の肌と髪は戦国時代では考えられないくらい綺麗なものだった。架空の話とはいえ『赤毛のアン』の顔も染みとそばかすだらけ。洋の東西問わず昔の人間の顔は少なからず、そうなるもの。

しかし、旅の道中で入浴がままならない時は作太郎が能に洗浄の法術を施している。その積み重ねにより能の顔には染みやそばかす、出来物もない。同じ女でも惚れ惚れとしてしまう肌と髪、それを有している。それをもたらしたのが隣にいる作太郎ならば…。

何より、作太郎は紗代姫の顔を見ても顔色一つ変えなかった。

「診させていただけるか」

「…分かりました」


早雲や氏康が見守る中、作太郎は紗代姫の診察を始めた。鑑定結果は作太郎が見越していた通り『骨繊維異常増殖症』だった。作太郎は

「つらかったでしょうな…」

「……はい」

(サポートカードセット【SSR◆4華陀】【SSR◆4ヒポクラテス】)

「鼻に触れますぞ」

「はい」

作太郎は膨れ上がった紗代姫の鼻に触れた。

「気術『万病治癒』」

前述したが治癒闘気は人体の構造を知っている知らないでは消費量が大きく違う。

前世、救命士だった彼は当然、人体構造については専門知識が備わっている。他の医者が十の闘気を用いて治す病を、作太郎は二、三の消費量で間に合ってしまう。かつ術後の完成度も変わってくる。

サポートカード【SSR◆4華陀】【SSR◆4ヒポクラテス】の特殊能力により、馬の顔のように腫れあがった出来物がどんどん小さくなり、体内の血液、内臓、筋肉、骨、皮膚、髪への栄養素へと変わっていく。


「おおお…!」

「奇跡だ…!」

紗代姫は自分の目からも巨大な腫物が小さくなっていくことが分かる。実感できる。

涙が出てくる。体が少し熱い、理由は何となく分かる。目の前の医者はこの嫌で嫌でたまらなかった大きな腫物を転じて滋養にしてくれていると。

「終わりました」

涙で顔を濡らした侍女が鏡を持ってきてくれた。自分の顔を鏡で見る紗代姫

「ああ…。ああああああ!うわああああああん!」

大粒の歓喜の涙を流して泣き叫ぶ。元の可愛らしい少女の顔立ちだった。

そして不安そうに遠くから見ていた母親に抱き着き

「母上、母上―!」

「よかった、よかったね…紗代…」


「何と礼を言えばいいか…!本当にかたじけない!感謝いたすぞ!」

平伏する早雲と氏康に恐縮してしまう作太郎だった。

「いやいや、医者として当然のこと。仕事なのですから」

「ふむ、新九郎、用意は出来ておるか」

「ぐすっ、はい、ここに」

「受け取ってくれ。銭百貫が入っている」

「そんなには…」

「受けてくれ。我ら北条の気持ちじゃ」

「で、では、ありがたく…」

「風魔からの報告によると、しばらく小田原に留まり路銀を稼ぐと聞いた。屋敷も北条で用意するゆえ任せるがいい」

「いえ、そこまで」

「旦那様、お受けしましょう」

「能…」

「そこまでのことを旦那様はおやりになったのです。ご覧ください。紗代姫様とご母堂の嬉しそうな顔を」

「そうか…。そうだな。早雲様、そのお話、ありがたくお受けいたします」



『試練【北条氏康の娘、紗代姫の病を快癒させよ】を達成しました』

『【SSR鬼一法眼】を獲得しました。限界突破を行いますか?』

「はい/いいえ」⇒「はい」

『【SSR◆3鬼一法眼】⇒【SSR◆4鬼一法眼】』

『特殊能力【京八流】のレベルが最大になりました』


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


小田原城下、北条家に用意してもらった屋敷に住むようになった作太郎と能。

まあ、屋敷と言っても二人で過ごすにちょうどいい大きさのものだ。

「能、早雲様からいただいた百貫は、いずれ生まれる俺たちの子供のために取っておこう。これには手を付けず城下で働こうと思う」

「賛成です、旦那様。実は城下の酒場で給仕を募集していたので、私はそこで働こうかと」

「…大丈夫か?つい先日まで病躯だったし…能はお城の姫なんだから働いたことなどないだろう」

「確かに働いたことはありませんが、今はこの健康な体で何でも出来るのが嬉しくて!」

「そ、そうか?嫌な酔客とか博徒がいるなら、すぐに辞めるんだぞ。店主が助平なことを能に言ったら、すぐに言うんだぞ。法力で吹っ飛ばしてやるから」

「もう、旦那様ったら過保護です」

少し嬉しそうな顔もする能、ああなんて可愛いんだ、俺の嫁は。作太郎はしみじみそう思うのであった。

「それじゃ、能に負けていられないな。俺も早速働き先を探すよ」


作太郎は小田原城下を周り、座を見つけた。現在で言う商業組合のようなものだ。

座の仕事に運搬は欠かせない。収納法術持ちの術者は歓迎される。さっそく窓口に行き

「旅の者ですが、しばらく小田原に留まり路銀を稼ぎたい。収納持ちなので仕事を斡旋してくれると助かります」

「当座の寄人をしている孫平次だ。座は初めてかい?」

「はい」

「ではまず、座に登録してもらう。旅の者だそうだが、これは他の大名の領地でも使うことが出来る身分証となる」

「ありがたい、早速お願いします」

ファンタジー定番の冒険者ギルドに近いかもしれないが、いわゆる冒険者ランクというものはなく、身分証と座で働ける証を得るに過ぎない。作太郎の場合収納持ちのため採用試験のようなものは免除される。座に関する説明を受けたあと、提示された書類に名を書いていく。法力が込められている紙で座との契約に背かないと誓約する書だ。背くと座から永久追放されて、二度と仕事がもらえないばかりか、重い刑罰もある。

「武州牢人、作太郎…。収納量は大八車二台分…と」


書類を書き終えて、受理されると座が発給する身分証が渡される。ただの木簡に見えるが、これも法具なのだ。偽造も複製も出来ない。

「早速仕事をお願いしたい。内陸の農村に塩を届けてくれ。復路はこの紙に記された作物を先方と交換して持ってくるよう」

「分かりました」

こうして、作太郎は小田原城下で働き口を見つけて路銀を貯めることにした。

一方の能は言葉通り、給仕を募集していた酒場で働きだした。かつては、お城のお姫様だった能であるが自由に動き回れる体が嬉しくてならないようで、楽しく働いていた。



そして、しばらくの月日が流れ、ようやく二人で貯めた金が目標額に達した。

その夜は…

「能……」

「旦那様…」

と、若い二人は夢中で愛し合う。旅を再開しよう、そんな話も出たせいか今日は一層互いを求めるように睦みあうのだった。熱烈な情事後、能を抱き寄せる作太郎は

「明日、屋敷内をもう一度掃除して、お返しする旨の書を置いたら小田原を出て行こう。東海道を歩き、琵琶湖を経て…。すまないな、どうしても天橋立や三方五湖を見てみたいんだ」

「ふふっ、私も見てみたいです」

「それを終えたら京都か越前で腰を落ち着けよう。診療所でも開いてな」

「はい、私もお手伝いいたします」


翌朝になった。朝食後、昨夜に話した通り、作太郎と能は北条から与えてもらった屋敷を丁寧に掃除して、作太郎が早雲宛てに『立派なお屋敷をお貸し下されてかたじけのうございます。妻と二人で働き、ようやく目標額まで達したのでお返しいたします』と書置きに記した。

掃除も終えて旅支度を整える作太郎と能。そこへ

「ごめん下さい」

「はーい」

来客が来たので能が玄関へと。

「旦那様」

「ん?」

「紗代姫様がお越しになりました」

「そうか。では旅立ちのご報告を…」


「天橋立、三方五湖、私も見たいですっ!」

そこには旅装姿の紗代姫が立っていた。

「一緒に参ります。どうか、私を能様と同様に作太郎様のお側に!」

「「…………」」

作太郎は戸惑いつつ訊ねた。

「あの、どうして私と妻が天橋立を目指していると…」

「風魔からの情報です。それを聞いて私も一緒に行きたくなって、ひい御爺様に頼みました。作太郎様と一緒に行きたいと」

「しかし北条の姫が一介の牢人に…」

「私には先の病のせいで婚約はありませんでしたし、何より!」

「なっ、何より?」

「作太郎様は必ず大事を成し遂げる方です!」

「そ、それはどうも…」

「あ、ひい御爺様から書も預かっています」


作太郎は受け取り、一礼して書を広げた。要約すると

『紗代を任せた。大事なひ孫じゃが戦とは無縁の医者に嫁げば儂らも安心じゃ。病を発症して以来、部屋に閉じこもっていた紗代に色んな景色を見せてやってくれ』

と、いうことだった。

「早雲様…」

当の紗代は能とすぐに打ち解け、旅への期待に興奮して楽しそうにおしゃべりしていた。当たり前だが戦国時代は一夫多妻、能と紗代もそんなことは分かっているので二人の嫁さんがいることは何の抵抗もない。

(戦に無縁な医者に嫁げば安心か…。確かに史実では能姫と紗代姫は悲劇的な最期を遂げる。能の父出羽守殿、そして早雲様は何となく、それを察したのかもしれないな…)

史実の紗代姫は武田と北条の同盟が解消されても実家に戻らず、滅びゆく夫の武田勝頼を最後まで支えて共に滅ぶことを選んだ女性だ。妻とするには最高の女性と言えるだろう。

(しかし太田と北条の娘が、もうあんなに仲良くなって)

確かに現時点では実家は敵同士、しかし、二人にはもう関係のないことだった。

「紗代、ありがとう。そなたを側室に迎えたいと思う。能もいいかな」

「はい」

「うふふっ、これからよろしくね、旦那様、能様!」

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