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2.今日から新生活のスタートっ!!②

「あ~、もう着いたか。やっぱ早ぇな~」

「もう、その言葉使いなんとからないの?女の子の喋りじゃないよぉ」

「ん?これが私だから」

「直す気、ないのね」

「ん。諦めてくれ」

「そんなんだから、友達出来ないのよ。高校でも友達作らない気?」

「勿論。友達、めんど~。私には春菜がいるから、いいの」

「もう~」


春菜はそう言いつつも少し照れ臭く頬を赤く染めていた。この表情が一番かわいいことを私は知っている。

ここでお解り頂けただろうか。私は友達ゼロの陰キャ、春菜は友達沢山の陽キャだ。それぞれの苗字にも私は陰、春菜は陽の漢字が入っているのだ。性格がにじみ出ているとしみじみ感じる



高校の校舎前にたくさんの生徒が集まっていた。クラス発表だ。私たちもクラスの確認をするため集まっていた生徒たちをかき分け確認した。

「ん~っと。あ、あった。私2組だ。春菜は?」

「え~っとねぇ~。あ、私は4組だった。残念、一緒じゃなかったね」

「別に一緒じゃなくてもいいじゃん。休み休憩の時会えるんだし」

「いっつも私が通い妻やってたけどね~」

「ん。今年も通い妻、ヨロ~」

「ん、もう~。しょうがないなぁ~」

「あんがと、だから好きよ。愛してる」


私はそう言って春菜の腕を引っ張って校舎に入った。


それぞれのクラスに分かれた後、クラス全員が揃ってから入学式の式場である体育館へぞろぞろと向かった。


式が本当に詰まらない。誰も校長や来賓のお偉い人の話を聞きもしない。私の前の奴(女子)なんかこっそりスマホで遊んでる始末。私はそこまでする勇気がなく只々耐えしのいでいた。


何とか式が終わり教室へ戻ることになった。それぞれ席に座ると教壇にいる女教師が出席簿を広げた。


「入学、おめでとう。私はこのクラスを担任する、安藤姫乃だ。それでは今から一人ずつ自己紹介をしてもらう。出席番号1番、浅井からな」


先生に指名された生徒が立ち上がり自己紹介を始めた。淡々と自己紹介の時間が進み、私の出番がやってきた。私は席を立ちゆっくりと話し始めた。


「陰野冬菜。趣味はない。部活は帰宅部予定。よろしく…」


話し終わると一応やっとくか、程度の拍手をされ私の後ろの生徒へバトンタッチ。そうしてすべての生徒の自己紹介を終えると先生が話し出した。

「よし、今日はこれで終わりだ。明日は教材の配布とオリエンテーションがあるからな。それじゃ、気を付けて帰宅するように」


それだけ言うと先生は教壇を降り教室から出て行った。生徒たちは解放され帰宅準備を始めた。その場で友達になろうとするグループが出来たり、オナ中だったグループ出来たりと、クラスのグループ作りが活気だっていた。そんな中私は一人淡々と帰り支度を済ませ、一人で教室を後にした。下駄箱にある靴を取り出し履く。校舎を出て校門の前で立ち止まった。暫くすると走ってくる人影が目に入った。どんどん近づいてくる。


「お待たせっ。遅くなってごめ~ん」

「そんなに待ってないから大丈夫。帰ろ」

「うん。冬のクラスはどうだった?」

「どうって…。知らん奴ばっかりだった」

「そ、そうなんだ。私はね。中学の子たちが一緒だったよ」

「それはよかったな。春菜は一人だと死ぬからな」

「ひど~!そんなことないもん。冬は友達出来たの?」

「…ゲスイなことをきくんじゃね~よ。できるわけないじゃん」

「あ、はは…。やっぱ、そうなっちゃったか~。仕方ない!私が通い妻して寂しい冬を癒してあげるっ」

「ぜひ、そうしてくれ」


そんな会話をしながら家路に向かった。学校を出てしばらく歩いていると隣の春菜が私の手を握った。私はさも当然のように優しく握り返した。すると春菜はお互いの指の間指を絡ませてきた。所謂、恋人繋ぎってやつだ。春菜は寂しがりで甘えん坊で嫉妬深い。私を独占したいとまで本人に向かって宣言する。そういう春菜が私は好きだ。春菜になら私の全部をあげたいって思える。今まで長続きしなかった私の恋は春菜を手に入れたことによって安定していたのだ。春菜は私に依存していると思っているが、私のほうが春菜に依存しまくっている。恥ずかしいから本人には言わないけれど、それほど春菜を愛している。


「えへへ。ドキドキしてきちゃった」

「手くらい、友達でも繋ぐだろ。フツー、フツー」

「嫌々、恋人繋ぎはしないでしょ」

「ん?そうなのか?私はしたいからいい」

「冬菜って本当に自分に正直よね。その性格ホント好きだわ」

「だろ?惚れ直したか?」

「益々好きになっちゃった。ねぇ今日はそっちの部屋行ってもいい?」

「ん。おいでおいで」

「うんっ!」


そんな会話をしているとあっという間に家の玄関口に到着。春菜は着替えてからそっちいくと言い自分の家に戻っていった。私は春菜が家に入るのを確認した後自分の部屋に戻った。そのあと私たちはいつものようにおうちデートして一日を過ごしたのだった。

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