未題
「ねえ、世界の終わりの時、空ってどれだけ綺麗だと思う?」
世界が終わる。その時間が刻一刻と近づく中彼女はそうつぶやいた。
「さあな、俺には分からん」
「私も分からない…でも、きっとこの世のものとは思えないくらいに綺麗なんだろうね…」
彼女の言葉は正しいのかもしれない。
だが、それは彼女にしか分からないことだ。
俺はその言葉に対して何も言うことが出来なかった。
「私は、最後に君と一緒に居られて良かったよ」
「……ああ」
彼女は微笑みながらそう言った。
そんな彼女を見ているとこちらまで嬉しく思ってしまう。
そして彼女から目を離し空を見上げる。
「………そろそろだな」
時計を見てみると時刻はすでに午後11時55分となっていた。
もうすぐで世界が終わると思うと少し寂しい気持ちになる。
「そうだね……じゃあそろそろお別れかな」
「ああ、そうだな」
「短い間だけど、私、楽しかったよ」
「俺もだ」
「ふふっ、良かった。最後だから言ってもいいよね?私の名前聞いてくれるかな。」
彼女は立ち上がり窓を開けた。そして満面の笑みを浮かべる。
「私の本当の名前は―――」