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角待ちお嬢様

「さすがです、お嬢様ああああああああっ!! 完璧な作戦でございますうううう!!!」

「おっほほほほほほほほほっ! 点で当たらなければ、面で攻撃すればいいじゃない!! 一発ではなく複数同時に弾を発射するこの銃、とても優秀ですわ!! そして、曲がり角を生かした待ち伏せ戦法!! やはり、先輩方に教えを乞うたのは正解でしたわ!!」


 暗いダンジョンに二人の声が響く。お嬢様の今日の戦場は、洞窟タイプのダンジョンだ。

 そして今日のソオンニは、冒険者の先輩のアドバイスに従い、ダンジョンの曲がり角に待機して、前を通り過ぎる魔物を散弾銃で攻撃していた。

 至近距離からの、複数の弾による"面"の攻撃、これならソオンニのエイム力でもどれかが敵に当たる。


ソオンニは立ち上がり、今し方倒した魔物を懐に回収し、再び曲がり角に身を潜ませ、前を通りかかる魔物を待つ。

 ソオンニの聖魔法には収納機能もあり、どんな大きな物でも懐に収納でき、いつでも取り出す事ができる。

 その様子は、まるで豊満な胸の谷間から物を出し入れしているようである。ソオンニの豊満な胸の谷間は、異空間の入り口なのである。

 聖魔法が使えなく貧乳のフィーにはその理屈が理解できないが、その便利さと胸の谷間は羨ましい。


 ダンジョンの狭い通路の角に潜み、通りかかる魔物を次々と撃ち殺し、順調に稼ぎを増やしていく。今日のソオンニはひと味違う。

 そんな、ソオンニ達の背後に静かに忍び寄る影に、先に気付いたのはフィー。

「お嬢様ああああ!! 後ろ!! 後ろでございますううううう!!」

「チッ! わたくしの背後を取るとはやりますわね!!」

 背後の通路から突然現れた大型のトカゲの魔物にソオンニが舌打ちをして振り返り、魔物に銃口を向けトリガーを引いた。


 パァンッ!!


 発砲音と共に、銃弾が魔物の体をかすめていく。

 そう、当たったのではなくかすめたのだ。

 表面積の大きい大型の魔物を相手に、五メートル足らずの距離で散弾銃を外してしまう。

 これぞ、ソオンニクオリティである。


「チッ! 中々やりますわね! しかし、まだまだあまいですわ! 喰らいなさい! スーパー散弾銃パーンチ!!」

 ソオンニは再び舌打ちをして、手にしていた散弾銃を床に投げ捨て、聖魔法を拳に纏って、迫り来るトカゲの魔物の鼻柱をぶん殴った。

 ソオンニの聖なる拳を顔面で受け止めたトカゲの魔物は、大きく吹き飛んで後方の壁に激突して動かなくなった。その首はあらぬ方向に曲がっている。

「当たらぬなら 殴ってしまえ クソAIM ですわ」

 ソオンニにパンパンをはたき、転がっている魔物を懐へとしまう。


「お嬢様! 銃を床に投げ捨ててはなりません!! 銃は危険な物です、取り扱いは慎重になさってくださいませ!!」

 フィーがプリプリとした口調でソオンニを咎めながら、床に投げ出された銃を拾い上げた。

「あら、わたくしとした事が、うっかりしてしまいてましたわ」

「お嬢様、銃器に限らず、武器の扱いにうっかりは許されません。そのうっかり一つで、己の身が危険に晒される事にもなりかねません。そう、例えばこういう風に」

 散弾銃を受け取ろうとしたソオンニに、フィーがその銃口を向けて構えた。

お読みいただき、ありがとうございました。

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