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当たらなければ意味がない

以前カクヨムの方に投稿していた作品です。

「お嬢様あああああああ!! もう帰りましょう!! ちゃんと話せば公爵様も奥様もわかってくださるはずです!! それにお嬢様に冒険者なんて無理ですよおおお!!」

「いいえ! 簡単に無理と決めては、可能性の芽を摘み取ってしまいますわ!! それに、わたくしには膨大な魔力と、素質がありますことよ!! ちぃっ! また外したかっ!?」

「お嬢様ああああああ!! お言葉がお乱れになっておりますううう!! というか、どんなに膨大な魔力をお持ちでも、当たらなければ意味がございませんんんんん!!!」


 昼間でも暗い森の中に甲高い声が木霊する。魔物が蔓延るの森で、場違いな人の姿が二つ、森に住む魔物と対峙している。

 一人は輝くような金髪をドリルのように巻いたツインテールで豪華なドレス姿の、いかにも貴族の令嬢。もう一人は、令嬢の付き人らしき茶髪のメイド姿の者。

 とても、魔物を狩るような者達には見えない二人組。

 しかし令嬢の手には、年頃の女子の持つような物ではない物騒な武器が握られていた。

 白い銃身のいかつい長銃など、か細い腕の令嬢が扱えるわけもなく、銃口を魔物へ向け発射された弾は、魔物に当たる事はなく、その背後の木をかすって森の中へと消えていく。


「お嬢様!! お嬢様のAIM力では、スライムにすら攻撃が当たってないじゃないですかあああ!! 諦めて帰りましょう!!」

 付きのメイドが小さなスライム相手に、長銃を構える令嬢にすがりつくように訴える。

「いいえ! これはわたくしのAIM力の問題ではありませんわ! 的が小さいだけですわ!」

 そう言って令嬢はスライムに向ける銃を下ろした。


「当たらぬなら 潰してしまえ クソAIM!!」


 令嬢は足を少し上げ、それを勢いよくスライムの上に下ろした。踵から。

 令嬢の履くブーツのヒールが、スライムの柔らかい体を貫き、スライムがグシャリと潰れた。


「ソオンニお嬢様ああああああ!! ティライユール公爵家の令嬢たるものが、クソなどというお言葉を使ってはいけませんんんん!!」

「あら? でもスライムは倒せましてよ? ほら、魔石もありますわ」

 金髪の令嬢が人形のように美しい顔でニッコリと微笑み、潰れたスライムの中から魔石を摘まみ上げた。


 令嬢の名はソオンニ・シェス・ティライユール、ティライユール公爵家の長女である。

 いや、正しくは”元“公爵令嬢である。

 そして、共にいる茶髪のメイドの名はフィー。幼少の頃にソオンニに拾われた元孤児で、それ以来ずっとソオンニに仕えている。


 ソオンニはつい先日までは公爵令嬢であった。

 しかし、真実の愛に目覚めた婚約者の為に自ら婚約者を辞し、家の恥にならぬようにとひっそりと家を出て冒険者になった。

 そんな主人が心配で付いてきてしまったのがフィーだ。フィーは今猛烈に後悔している。

 早く、お嬢様を連れて、お屋敷に帰りたい。

お読みいただき、ありがとうございました。


地面に張り付いてる敵って、射撃武器で狙い難いんですよね。

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