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第三話『戦巫女と言わざる魔法使い』2

  ★夜衣花★

 魔法使い。

 世界の外から流れてくる魔力を使って、物理法則ではありえない法則・現象=魔法を起こす者達。

 退魔士。

 魔法をその身に宿し、その魔法を使って人に害なす魔なる存在を退ける者達。

 彼らは太古の昔から時に協力し合い、時に争いながら、共に人の社会の裏で存在し続けた。

 だけど、ある時、互いの主義の違いから大規模な戦争になってしまう。

 激しく長く続いたその戦争は、退魔士が魔法使いを滅ぼす事で終結。

 こうして、魔法使いは、この世界から姿を消した。


 「え!?姿を消したって、昨日の魔法使いの人は?」

 私が話す魔法使いと退魔士の関係に、みょんネエは驚きの声を上げた。

 一々良いリアクションをしてくれるみょんネエに私は苦笑しつつ、

 「さっき言いましたよね。昔の魔法使いと現在の魔法使いは別物だって。つまり、こういう事なんです。一度滅ぼされた魔法技術が近年、『ある人物』の手によって『科学技術を融合させて復元された』……って事です」

 「だから、ノートパソコンとかを使っているのね………でも、何でコンピュータを使うの?」

 「詳しくは知らないですけど、何でも、昔は魔法使いの脳で展開していた魔術式とか言うのを、コンピュータで代用しているとか」

 「………何だか、今の魔法使いの人達って、物語で聞く魔法使いと全然違うのね」

 「そうですか?最近の漫画とか小説とかでは、魔法使いがコンピュータを使うのはよくある事ですよ?」

 「そうなの?私、そう言うのって、昔から見ないから………」

 「じゃあ、今度家に帰ったら、見せてあげますね。家にはそう言うのが一杯ありますから」

 「そう?ありがと」

 微妙に困った様な表情のみょんネエ………考えて見れば、お姉さんぐらいの年頃から漫画とかを見出す人って……あまりいないかな?……まあ、

 「とりあえず、そんなわけですから、直接関係ないとは言え、現在の魔法使いは退魔士に良い印象を抱いてませんし、退魔士も同じ事にならないか警戒しているってわけです」


  ★相島★

 夜衣花ちゃんから色々な話を聞きながら、車に乗る事一時間と少し。

 私達が乗るレンタカーは目的のビルの前に着いた。

 一見すると普通のビルの様に見える。

 だけど………ここに魔法使いが、私の病気を治せる魔法使いの人がいる……………とてもそうは見えないんだけど………。

 私の不安をよそに、夜衣花ちゃんとエレアさんは、さっさとビルの中に入ったので、私は慌てて二人の後を追った。

 私達はエレベーターを使ってビルの三階に上がり、通路の端にある部屋のドアをノックした。

 ノックして直ぐに、ドアが開き、中から出てきたのは………何故かナース服を着た女性だった。

 「………また形から入っているんですか?ミーコさん」

 夜衣花ちゃんに呆れられながらミーコさんって呼ばれた、どこか全体的にとろんとした感じの女性は、にっこりと笑って、

 「どうぞ。マスターが中でお待ちです」

 そう言って中に入れてくれた。

 中は………昔ドラマとかで見た事がある探偵事務所を……小奇麗にした様な空間が広がっていて、その窓側に電動車椅子に乗った四十代ぐらいの男性がいた。

 その男性は、にっこりと笑って、電動車いすに付けられていたノートパソコンを打った。

 すると、ノートパソコンから、

 「「やあ、夜衣花君。エレア君。元気そうでなによりだよ」」

 っと声が出た。

 「はい、お久しぶりです日向さん。そちらもお変わりないようで」

 笑顔で挨拶し、それに合わせてエレアさんも会釈する。

 二人とも男性・日向さんがパソコンに喋らせている事に一切疑問に思ってないようだった。

 なんでパソコンに?

 その疑問に、日向さんを改めて見て………気付いた。

 日向さんの喉にでたらめと思えるほど酷い手術跡がある事に……………。

 驚いた表情が出てしまったのか、日向さんは苦笑した。

 「「驚かせてしまったようだね」」

 「え?あ!す!すいません」

 慌てて謝ると、日向さんは笑顔で、

 「僕は幼い頃に酷い事故に遭ってね。昔からこの通りなのさ。だから、多少驚かれたぐらいで、気にはしないさ。だから、君も気にしないでくれ」

 「は、はい」

 「「……さて、夜衣花君。病人を連れてくるっと聞いたが……彼女の事か?」」

 日向さんの問いに、夜衣花ちゃんは頷いて、私の事を紹介してくれた。

 「相島命子さんです。私の見立てでは無意識魔力吸収蓄積病だと」

 「「無意識魔力吸収蓄積病?それはまた珍しい病気だな………」

 私の病名を聞いた日向さんは難しい顔をして、私の方に改めて向き直り、

 「「僕は日向(ひゅうが)魁人(かいと)。既に知っていると思うが、魔法使いをやっている」

 そう言って優しい微笑みを浮かべてくれた。

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