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第二話『不幸な彼女と過保護な武装メイド』10

  ★夜衣花★

 流石に疲れた………。

 あまりの疲労から、私は隔離結界が解除された瞬間に、道路の真ん中にへたり込んでしまった。

 黒き大樹の使い過ぎから来る疲労だけど………このままここにへたり込んでいるわけにはいかない。

 式神や隔離結界に使われていた魔力の気配はまだする。

 現代の退魔士が進んで魔法使い狩りをする事はないけど………少なくとも、敵対行動を取った相手を見逃すほど甘くなっていない。

 ………それに、一般人を巻き込まない様に動くやり方は、どう考えても職業的暗殺者である可能性が高い………っと思う。

 もしそうだったら、依頼者が誰か聞き出さないと………。

 そう思った私は、立ち上がろうとして………倒れてしまった。

 危機が去った事で、気が抜けてしまったのかもしれない。

 身体に力が入らなくて、立ち上がる事も出来ず……段々と意識が薄れていく中、誰から私のそばに寄ってくるのを感じた。

 それが誰だか確認するより前に、私の意識は完全に落ちてしまったけど……けど、何故かその人は、私の頭を優しくなでた………様な………?


  ★相島★

 「夜衣花お嬢様!」

 倒れている夜衣花ちゃんを見付けたエレアさんが、悲鳴に近い声で夜衣花ちゃんを呼んで駆け寄った。

 魔法使いの人がいなくなって直ぐにエレアさんが戻ってきて、一瞬何か言いたそうな顔をしたけど………結局何も言わず、どこからか取り出したヘルメットとバイクに乗って走り出してしまった………私を置いて………大慌てで路肩に止めていたバイクの所まで戻って後を追うと、道の隅で倒れている夜衣花ちゃんの下に辿り着いたんだけど………。

 エレアさんは倒れている夜衣花ちゃんの身体を一通り調べてほっと息を吐いた。

 胸が僅かに上下している所からすると、昨日と同じ様に力の使い過ぎで意識を失っているだけみたい。

 それを確認した私もほっと息を吐くと、夜衣花ちゃんを抱えながらエレアさんがじとぉーっと私を見ている事に気付いた。

 「な……何でしょう?」

 「………あなた……何者?どうやってあの魔法使いの魔法を無力化したの?」

 疑惑と警戒の視線が私に向けられる。

 エレアさんの片手は夜衣花ちゃんを支える為に使われてるけど、もう片方の手は………何だか昔見た西部劇のガンマンの様にだらんっとしていた。

 ありありと、返答次第では………っと言ってる感じで………

 「あの……夜衣花ちゃんから何も聞いていないんですか?」

 「エレアが聞いたのは、こっち側の事を全く知らない素人だけど、バイクの扱いがとても上手なのと………あと……会ってからのお楽しみとしか聞いてない」

 会ってからのお楽しみって………ん〜でも、私も何が起きたか分かってないんだよね………とりあえず、

 「夜衣花ちゃんは、私が……えっと……確か……無意識…魔力吸収蓄積病にかかってるって言ってましたけど………」

 私が言った病名に、エレアさんは少し考えて、小首を傾げ………難しい顔をしながら何もない空間から電子辞書を取り出し、調べ始めた。

 しばらく待って、エレアさんの顔色がさーっと青くなって、

 「そのヘルメットを今直ぐ返しなさい!」

 「え?」

 「いいから早く!」

 「は、はい!」

 訳が分からずにヘルメットを渡すと、エレアさんはヘルメットの中身を調べて………がっくりと落ち込んだ。

 「………やっぱり魔力切れになってる………」

 魔力切れ!?

 「これに使ってる魔石、物凄く高かったのよ!どうしてくれるの!」

 「どうしてくれるのって言われても………あの、どう言う事なんです?」

 困惑している私に、エレアさんはちょっと考えて、

 「だから!………あなたの病気が、周囲の魔力を吸収する病気なのは知ってるわよね?」

 頷く。

 「その対象は、あなたが触れているものに対しても含まれるのよ」

 ……それってつまり、私が触れているだけで、魔力はどんどん私に吸収されるって事?

 「しかも、その吸収する割合は、触れている方が高い………魔法使いの魔法杖……落ちているノートパソコンとかを触ってたでしょ?」

 「触ってましたけど………」

 「やっぱりね………ああ、そんな事より、どうしよう。これで下手すれば赤字………」

 そう何だか嫌な言葉をつぶやき、エレアさんは黙ってしまった。

 ………つまり、私があのノートパソコンを色々といじくり触っていたから、あの中に入っている魔力を私が知らず知らずの内に吸収して、夜衣花ちゃんを襲っていた式神を止める事が出来た………って事だよね………っと言う事は、昨日、夜衣花ちゃんがペース配分を間違えたのは……こういうことだったんだ………


  ★???★

 町を抜ける道路を走る車の中に、男はいた。

 この車は、男が時間を掛けて作った自立型式神により運転されている。

 その式神は女性の姿をしており、男の仕事のバックアップやサポートをし、時には夫婦役する欠かせない存在であり、もっとも信頼している存在だった。

 だからこそ、男は彼女の異変に直ぐに気付いていた。

 見た目上の変化はない。

 だが、妙に静かだった。

 彼女に男は喋る機能を付けてはいない。

 だが、普段の彼女はその機能を付けなくてよかったと思うほど騒がしく動く。

 今日の様に、仕事を失敗した時や、薬の副作用で意識が失われそうになっている状態の時など特に騒がしくなる。

 なのに、彼女は無反応。

 その異変の原因男が確かめるより早く別の異変が起きた。

 車がトンネルに入る。

 その瞬間、隔離結界が何者かにより展開され、男は車ごと隔離されてしまった。

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