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第一話『戦巫女と不幸な彼女』1

 「じゃあ、契約成立ね。これからよろしく、お姉さん………って、そう言えば、ごたごたしてたから聞いてなかったけど……お姉さんの名前は?」

 「あたしの名前は、相島命子よ………そう言うあなたの名前は?」

 「私の名前は



  ★ヒロイン★

 月明かりに照らされた夜の商店街の中を私は一人で歩いていた。

 耳に付けたインカム(携帯に繋がっている)から私を心配する声が聞こえるけど、無視。

 あの心配症には困ったもの………思わず口からため息が漏れた。

 ……それにしても、着替えぐらいはしておくべきだったかな?

 私は自分の格好を見て、ちょっと苦笑した。

 どこからどう見ても、『只の女子中学生』の格好。

 これから、『命を掛けた仕事』をするとは、誰も思わない。

 もっとも、私としては、命を掛けるほどの仕事な気がしないんだけどね……。

 不意に、獣の匂いが商店街に満たされ始める。

 来た!

 私は立ち止まり、左手に意識を集中し、右手を左手に添えると同時に、商店街の影と言う影に、赤く輝く二対の瞳が無数に現れた。



  ★???★

 それは追われていた。

 多くの仲間を瞬時に失い。

 それでも、一匹でも生き残っていれば、それの勝ちだった。

 だから、それは逃げていた。

 ぼろぼろになりながらも、力尽きそうになりながらも、逃げていた。

 だが、追手から逃げる際に受けた傷により、その命が逃げきる前に尽き掛け……そして、それは出会った。

 『奇跡の存在』に。



  ★相島★

 女の身で野宿は辛い。

 そう何度思った事か……。

 誰もいない公園のベンチの上で、私は溜め息を吐いて、苦笑した。

 これで何度目のクビだろう……覚えてないや……。

 今日、住み込みで働かせて貰っていた職場から解雇を通告され………まあ、色々あったので、その日の内に社宅から叩きだされた。

 今の私の全財産は、大型バックに入った生活必需品と大型バイクのみ。

 明日からどうしよう……………ええい!くよくよしていても仕方がない。うん……よぉーし、明日からがんばるぞぉ〜。

 深夜なので心の中で気合いを入れた時、ずちゃっと何かが近くに着地した音がした。

 反射的に音のした方向に視線を向けると………そこに、赤く輝く瞳を持った黒い大きな犬………じゃない……もしかして狼!?

 その黒い狼は、腹部に大きな傷を負っているみたいで、ぼたぼたと黒い血を地面に落としている。

 あまりの事に、硬直していると、黒い狼は私の方に顔を向けて鼻を動かした。

 そして………笑った!

 狼の不気味な笑い顔に驚くより早く、不意に、黒い狼が飛び掛かってくる。

 その狙いは……首!?

 反射的に右腕で首を守り、その右腕に黒い狼の牙が食い込む。

 痛い!痛い!痛い!

 声すら上げられないほどの激痛で、頭の中でそんな言葉しか出てこない。

 必死に身体を動かして、黒い狼の身体を叩いたりするけど、微動だにしない上に、牙がどんどん腕に深く食い込んでいくのが分かり、あたしは………死を覚悟した。

 その瞬間!

 不意に黒い狼が私から飛び退いた。

 わけも分からず、目で黒い狼を追うと、黒い狼は唸り声を上げて、公園の入り口を見ている。

 視線を公園の入り口に向けると、そこには『黒い木刀』を持った女の子がいた。

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