炎と黄昏の光
―――この世界は美しい。俺たち人間も皆助け合い、互いに尊重して共存してきた。…だというのに、その美しい世界を汚す悪人たちを俺は許せない。
そう思ってはいても、何も行動を起こせずに毎日をぼんやりと生きる高校生、それが俺である。
「ただいま、母さん」
「お帰り、蓮」
俺たちは二人でこの狭い家で幸せに暮らしてきた。
俺が7歳のときに父親が突如として消息を絶ってから10年、ずっと俺たちは二人で幸せな日々を送ってきた。
幸せと言っても、これといって楽しみや打ち込むこともない。部活をやっているわけでも委員会に参加しているわけでもない俺は、授業が終わったらすぐに家に帰るから、これからしばらくまた暇な時間があるのである。
とは言え俺はこの時間が好きだ。自室から見える景色は好きだし、コツコツ集めてきた漫画を並べた本棚から適当に取り出した漫画を読むのもいい。
それ以外にもやれることはいくらでもある。
ただ、今日はやる気が起きなくて、外を眺めているだけだ。
ぼんやりと窓の外に広がる赤い空を眺めていた。
「―――黄昏時…か」
その黄昏時の赤さが空から消え、空が暗く沈んでいくのを眺めていた俺は、その直後、赤い光に包まれた。
その輝きに吸い込まれ、目も開けられないような光りの僅かに開いた目に飛び込む人影があった。
「―――!!」
俺はその人影に必死に手を伸ばした。その温かみを、その懐かしさを、その優しさを求めて。
その手を触れたい、そんな思いに俺の胸は締めつけられた。
「父さん……!!!」
そうして俺は、光に呑まれて意識を失った。
初投稿です!!これからたくさん更新して行くので、感想とかレビューとかよろしくお願いします!!
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