01
「ルゥどこに行くの?」
姫巫女に呼び止められた。
「頼みたいものがあるので、ポストです」
「ああ、それなら私の分もお願いできるかしら」
八千代の庭の主な建造物は、客室滞在用のこの屋敷の辺りとなっており、店と言うのは存在しない。
そのために欲しいものはこうして、品名と指名を記入して、一階にあるポストに投函するのである。
コトン
狭いポストの入り口に紙をいれると、中に紙が落ちた。
「よーす」
「これはこれは、小雨様」
話しかけてきたのは小雨である。
「買い物?」
「はい」
「そうそう、この部屋って入ったことはある?」
ポストのある部屋の前に設置されている。
「立ち入らないようにと書いてますが?」
この部屋はサメ子の執務室となっている。
「そっか、部屋の中は罠がいっぱいだから入らない方がいいぞ」
「わかりました」
そう返事をしたあとに気がついた。
(小雨様は中に入ったことがある?)
中を知っているということはそういうことだろう。
「八千代の庭に招かれるだなんて、実にうらやましい、私も休暇をそこですごしてみたいぐらいですよ」
はっはっは
テーブルを挟み、ソファーに座る、スーツの男とサメである。
「それでこのご注文に、布とありますが、注文された方は女性でよろしいのですか?」
「王族の女性ですね」
「それならば良いものをお出ししないわけにはいきませんね」
そういって電話で誰かを呼んで。
「いいことを思い付きました、布の見本をハギレで作ったものがあるんですが、そちらを一度見てから、そこから選んでもらった方がいいのではないか」
「お持ちしました」
そういって男性が荷物を抱えて現れた。
「サメ子さんの注文なんですか?」
「そっ、お客様が増えたそうなんで、その分をうちにってことで」
「サメ子さんでしたら、どんどん注文いれてかまいませんよ」
「そこまで買うものはないかな」
「こらこら、サメ子さんを困らせてはいけないよ」
「リネンの注文もあるようなんですが、それならちょうど面白いもの来ていますが、そちらも見てみませんか」
「はっはっ、すいませんね、うちのものが」
商談は進んだ。
登場人物の紹介
・1010010110110101101001011010010010100101110010011010010110100110101001011010101110100101110010101010010111100001
サメ
・1010010110110101101001011010010010100101110010011010010110100110101001011010101110100101110010101010010111100001
小雨