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コンブ大臣の息子とワカメ大使の娘

シャキンシャキン

品玉悠久(しなだまゆうきゅう)は大きなハサミを耳のそばに置いて、その音を集中して聞いている。

「あ…いい音だ、このハサミの被害者が何人もいたせいか、音の間にも独特の無念がある」

「趣味の悪いお前にぴったりだろ?」

余儀七瀬(よぎななせ)が選びましたが。

「そうだな、俺のために汚泥に手を突っ込んでくれたかと思うと、また頼むわ」

この二人のやり取りは滅儀鈴砂(めぎすずさ)の目の前で行われてます。

「二人とも仲いいな」

「こいつ、なかなかやりづらい男だな」

悠久はこういう男のため、もしも鈴砂が一人で行ったならば話は聞きすぎてしまうし、七瀬だけだったら怒って帰るだろう。

「というか、そのハサミどうするんだ?明らかに浄化というか、廃棄した方がいいものだが?」

「ああ、こういうのに体を作るんだよ、八重霞って刀を知っているだろ?病み刀の」

「その人形を作ったのもお前だもんな」

「そうそう、さっき鈴砂がいった廃棄な、あれは危険が伴うのは知っているだろ?術剣士ならば」

いわゆる新しい政府が始まった辺り、現在の術師の団体の大元がここから生まれた。

そして国の驚異になりそうなものを改めて調べ直し、そこで今まで民に力を貸したり、奉られていたりしたものがかなり整理されることになった。

「整理っていっても、実質討伐だな」

長く見ればマイナスと判断されたもの、その中には今まで共に戦った武具などもあった。

「んで武具処分しようとしたら、18万ぐらいか、それ全部敵に回って現在に至るもんな」

「面倒だが対せば、切るさ」

「…こいついつもこうなのか?」

「こうだぞ、元嫁も元カノも今のお前と同じ顔していたの見たことあるな」

「とりあえず俺はシンプルだ、剣士の親指で有名な瀬音流(せおんりゅう)の人形師の力を、佐藤季芽(さとうきのめ)の憂いを吹き飛ばすために借りたい」

「女をモノにするんじゃないのか?」

「してどうする?」

「あ~わかった、ちょっと考える、そうだな、封印をなんとかするなら、同じ質量のものを作って、それをわざと封印に取り込ませて、潰せばいいな、そうすれば彼女に繋がる見えない糸は消えるだろ、こんなんでどうだ?」

「鈴砂帰るぞ、こいつが自分から言いたくてしょうがなくなって、連絡くれるようなアイディアが一番使えるんで」

「なるほど、よく理解している、仲良しだな」

イヤミなどが通じないところがあるため、皮肉を混ぜて返しても意味がない、七瀬と悠久からすると、鈴砂は本当にやりにくい相手である。


白浪にある八姫の実家。

実家に外で働きにいった家族たちがみんな帰省し、大皿料理を前に宴会が始まった、そろそろ料理がなくなってきたかの辺りで。

「こんにちはでござる」

八姫の上司であるハンゾウが訪ねてきて、食材と見目麗しいオードブルなどををがっつり持ってきたので、大皿料理がなくなる前にオードブルをみんなで食べ始めた。

「うめー」

「おい、少しは残せよ」

「これなんていう料理?」

八姫の好みで作られたものなので、弟からの質問にも姉は答えられる。

「しめじとえのきの麻婆豆腐、こっちは豆と鶏肉のカレー」

食材などは焼いてすぐに食べれるものなので。

「俺に任せろ」

ここは見せ場だと兄たちが火を起こしている。

そういう食い気に夢中な者以外、女性陣中心に奥の方で何やら集まって、カタログや布をあててる。

ハンゾウは休日が終わって次の満月に、八姫たちを連れて異世界にあるセバダという街で、観劇することを伝えた。

「姉ちゃんたちはこういう芝居を見に行くのか」


『歌劇マティアラのサメ』

ザザーンと浜辺に誰かが寝ているのを、毎日浜を掃除するサメたちが見つけた。

「おいおい、こんなところで寝ちゃうなんて、お寝坊さんだな」

しかし不思議なことに気がついた。

ヒレがない?

「それ、人じゃないか?」

「人?始めてみたよ」

何しろ昔々、人はサメの油を狙って争ったために、海の奥にあるマティアラのサメたちは人を見たことがないものが多いのだ。

「王様、王様、大変だ」

話を聞いた王様は。

「すぐにコンブ大臣とワカメ大使を呼べ

マティアラの王ティブロンは、コンブ大臣のカレーライスと、ワカメ大使のエダマメを呼ぶとこういいました。

「コンブ大臣の息子とワカメ大使の娘を流れ着いた人間を故郷に帰すために使わす」

「えっ?うちの娘もですか?」

「王様、うちの息子サメコは泳ぎは達者ですがお調子者で酒好き、この間もワカメ大使の娘であるサメチカを起こらせて、夏日の軒に吊るされましたし」

「だからこそだ」

こうしてマティアラに流れ着いた青年セフィリノをセバダに戻すために、二匹のサメは出発しました。

しかし途中悪魔が現れ、大波をたてて、セフィリノを帰すまいといじわるをし、そこで進めぬセフィリノと二匹の前に、セバダからセフィリノを探しに来たイルカのグンジョウとコウセイが現れ、四匹は波を鎮めるために歌い踊り、無事にセフィリノをセバダに戻すのでした。

現在、セバダでは大ヒット公演中の舞台である。

「それでなんで姉ちゃんたちは忙しいの?」

「お芝居を見に行くんだけども、私たちの主人であるサメチカのモデルになったサメ子さまと、サメ子のモデルになった小雨さまは舞台挨拶があるので、私たちが招待席に代わりに座るんだけども、その時のドレスはオーダーで作ってもらえるってことになって、何しようかなって」

そう、セミオーダーだが、色や形を好きに選べるので、どれにしようか、他の家族も巻き込んで盛り上がっていたのだ。そのカタログを持ってきたハンゾウはもちろん注文が住んでいるが、彼はかなりこだわりのある男なので、八姫が注文できる種類がとても多かった。

「このセバダ風のドレス可愛くない?」

「お姉ちゃん、終わったら貸してね」

「ほら、こういうときにしか着ないんだから思いきってもいいのよ」

「こっちの青と水色、どっちがいいと思う?」

帽子や手袋と靴もあるので、なかなか決まらないようだが、それすらも楽しんでいるようだった。




「はい、それでは面接は以上で終わりになります、お疲れ様でした」

「ありがとうございます、それで合否というのはいつわかるんでしょうか?」

「あっ、君しかいないので、エミールかん、合格です!」

「はっ?」

エミールは親が小さい頃に吸血鬼になってしまったため、そういった子供、遺児として吸血鬼に保証されて教育を受けた身である。

こういった子や家族に金銭的な保証や教育を施すのも、長く生きた吸血鬼たち特有の文化で、そういう子供たちは吸血鬼と人との中継ぎの仕事をすることが多い。

今回募集があったのは、さる貴人を担当するというもので、血筋関係なく広く募集がかけられ、決まらないだろうが受けてみようと思ったエミールが今回合格となった。

(しかし、変な試験だったな)

術の団体の会場で一次の面接をしていたら、吸血衝動をおさえられなくなって大量の辞退があったり。

カシャッ

サメの写真が写し出されるを

「これは?」

「なんともありません」

カシャッ

さっきとは違うサメの写真。

「?特には」

4匹ぐらい色んなサメの写真を見せられて、体に何か起きたか聞かれたりしたのだ。

「それでいつからこれますか?私としては早ければ、それこそ今日でもいいぐらい」

試験を担当しているヴェルヴェーヌさんって短気なのかな?と思っていたら。

「何しろ、これは天地の糸である斉道要(さいどうかなめ)への使者なので」

「全身にエリクサーが流れているという」

「それは吸血鬼から見るとそう見えるわけで、人間の君には、血族にいると人間でもダメな人とかいるけどもさ」

不定愁訴状態になります。

一次試験の会場は、敷地内に斉藤がいたために吸血鬼はその気配に、香りにまいってしまった。

写真の試験は、斉藤がサメに化けた姿の小雨の他に、サメ子にサメる、サメショウの三匹も混ぜて、美味しそうに見えないかを確認したのである。

使者が必要になったのは、規制の緩和によって吸血鬼系の金融機関『晴れ時々小雨銀行』を設立したこともあった。

先日赤字の問題が取り上げられた某奨学金団体があり、その後援していた金融機関の支援のためでもあるが、吸血鬼たちは斉藤を崇め奉っているので、干渉の機会を狙っていて、多大なる赤字を引き受けるというという方法でようやく許可がおり?。

長命たる吸血鬼からすれば多大といえども、その手腕でおそらく黒字にもっていくことだろうし、この間も定期に何十万以上預けると小雨様の素晴らしい立像(公式)がもらえるとあって、預金者が爆発的に増えたのである。

そして赤字を作った団体にも吸血鬼たちは意見した。

『一般の子の合格率をあげれるようにして欲しいと?』

この赤字の奨学金団体は術師への奨学金だったのだが、おまけ程度に一般の生徒への給付も行っていた。

その対応しているのは赤字を作った役員がみんな逃げてしまって、そこで残った人たちの中で、今までも仕事で吸血鬼とやりとりしたことがあった館林廻(たてばやしめぐる)に要求はつきつけられた。

「確かに給付なので返済はなく、私も今まで一般からの願書が増えているから、枠を増やせといったことはありますが、…わかりました、それを飲みましょう、代わりに私が仕事しやすいようにしてください」

そして廻には仕事をしやすいように事務局長という権力と、知己でありパーティーメンバーの弧山大象(こやまたいしょう)が理事の一人に就任、ここまでは考えれたことなので話は飲めたが。

「後そちらへの使者、斉道さんに吸血衝動を感じない人をよろしくお願いします」

これが一番の難問で、エミールが決まらなかったら、どうしよこれ案件になっていた。

そのためエミールの待遇というのは…

「吸血鬼貴族と勘違いされてる気がする」

最大限のものが用意されていたが、彼は庶民のため落ち着けなかった。

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