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人をダメにする光属性

八千代に勤めてくれている、八姫の里帰り、その主人ははりきってお土産を準備をしたところ、白浪行きのバスの半分を埋めたのだった。

「それでは行って参ります」

「気を付けるでござる」

長女のハツミネとハンゾウが挨拶をかわしていると。

「間に合った、お~い」

半透明の主人、サメ子が風呂敷包みを抱えてやってきた。

「おお、紋ができたでござるか」

「うん、それで急いでいってきた」

「これは?」

「八姫がうちの子ですよっていう紋、そしてその風呂敷だよ、中味はうぐいす餅」

「鳥紋ですか?」

紺に白の鳥が、羽根が八枚ある。

「鳥はホトトギスだよ」

「別名冥土の鳥、それにかけているでござる、春を告げる、冬の終わりという意味も込めたデザインでござるよ」

「今日まで働いてくれてありがとう、向こうではゆっくり休むんだよ」

「短い間でしたがお世話になりました」

「それだけいうと、別の意味に聞こえるでござるな」

これから世界と世界の間にあるハザマ、白浪では三日間の祭りが始まる。

花火(一発100万)

花火(ナイアガラ)

前夜祭に向けて、里帰りラッシュの混雑のピークがあるということなので、その前に帰省させたのである。

主なイベントとしては、開会の言葉を白浪の主人のアオハ様の代わりに、エイ太郎さんが述べ。

開催される各種競技に参加しないものは魔物の肉(デビルフォーク産)ないし、餅(日本産)が配られることになる。

その餅作りのために白浪を訪れた職人達が現在工場で忙しくしていた。

白浪には菓子店がないので、わざわざ今回のために呼び寄せたそうだ。

祭りの最中は菓子類の販売を行い、祭りの二日目には和菓子やアイシングクッキーの体験会があり、こちらは定員に達している。

誕生日ケーキの予約受付のちらしも配布したところ、物珍しいと、子供がいる親たちからの注文をたくさんいただけていた。それに驚いているようだが、職人さん達は異世界には理解があった。

「うちの町会長が吸血鬼なんで」

その経由で今回出店が決まりました。

それでは他のイベントの話の続きをしていこう。

名産の花である椿やバラの花摘み競争、

二日の夜にはタラグチさんと、その娘さんと結婚する銀目さんの決着マッチがある。

今回の祭りの始まりは、主人のアオハ様が襲撃されたことにある。

その襲撃犯に対して穏健に解決するべきだという穏健派と、そんなんじゃ気持ちがおさまらないぜ!の報復派というのがいるのだが、報復派が襲撃犯に報復を考えないようにここで体力と鬱憤をはらしてもらうために穏健派がこの企画をした。そんなときに、タラグチさんの娘さんに銀目がプロポーズをして、いわゆる娘さんを僕にくださいといったのであるが、タラグチさんは面白くない。

「そんな顔と毎日付き合う方の身になってくださいよ」

奥さんにそういわれ、そこで娘がつれてきた男がどれだけのもよか、試すという名目の元で勝負を挑んだ。

「受けてたちます、お義父さん」と銀目が答えたところで、「そうだな、これで事故ということになら、ありかな‥

」と呟いたという。



今月は術の適切な使用月間です。

不要な術な術は使わない、もちいらない、何かあったらすぐにご連絡を、鈴にメジロマークが目印です。



小雨は広間の窓から出発するパスを見ていた。

屋敷の電話がそこで鳴るのだ。

「はい‥そうか!それはおめでとう!」

そこで小雨は涙をこぼし、電話が終わると、ソファーに座り、鼻をチーンとかんだ時に、ハンゾウがやってきた。

「お?その調子では決定したのでござるか?」

「ああ、今年の竜前の(りゅうぜんのさら)は『子・丑・とら・(ね・うし・とら・う)』スパイシーカレーパンチに決まった」

「おお、脱サラして3年、金星掴んだな‥」

年に一度竜がカレー食べに来る。竜といっても、本物の竜ではない。

ラーメン店「竜王」3代目の店主のことである。

なんでそのような事になっているのかというと、ラーメン店「竜王」には二人の息子がいて、兄は店を継ぐことを決め、弟はカレー屋を開くことにした。

竜虎並立つという意味で、弟は店の名前に「とら」と名付けた。

「とら」は開店すると瞬く間に人びとをそのカレーの虜にした。

そしてもうすぐ店も開店してから一年経過のそんなある日。

「いらっしゃいませ!‥‥!???」

ふらりと自分の父親が店に客としてやって来たのだ。

「豚中辛」

「かしこまりました」

後年、店主はこの事を店員の一人に話したという。

「お待たせしました、豚中辛です」

いつも通りやっているつもりでも、気になって緊張したと。

「ごちそうさん、また来る」

「ありがとうございました」

そこから年に一度ふらりとこの時期に食べに来た、父が亡くなってからは兄が訪れるようになり、「とら」の店が無くなった今は、当時「とら」で働いていたものや、その魂を受け継ぐものが「とら」店主の甥にあたる現「竜王」の店主に食べていただく皿を決めるために競い合う。

そして今年のプライドをかけた華麗なる戦い、竜前の皿を決める、竜前祭の決着が先程ついたのだ。

竜前祭のカレーは、Top8は毎年宅配や通販でも販売される、一人3セット限定とされるが販売開始から一時間もたたずに売り切れるのだが、術師の会限定のお得なセットというものがある。

ここで昨年の様子を見てみよう。

「今年は一セットお買い上げで虎ディショナルの賄いカレー」

「おお」

この発表にカレー好き以外も反応した、実は術師何かしら緊急案件があると、掛かり付けになってしまうので、こういう保存ができる美味しいものは人気がある。

「二セットお買上の方は先程の賄いカレーに+紳士仕立ての奈都、ジーンズ部門の主任さんの自信作カレーそばです」

竜前祭は飲食店以外も参加できるが、付け合わせはライスかナンと決まっているので、こちらのカレーそばは竜前祭では食べることができない逸品。

「美味しければなんでもいいと思うが」

「バカだな、この縛りがあるから、面白いものができるんだよ」

カレートークに花が咲く。

「それでは最後の3セット目、『子・丑・とら・卯』の」

店名が出た瞬間ここでもおおおお!

「期間限定のダブルカレーです、ご注文のお客様はこちらの用紙に記入してお申し込みください」

「やべえな、これは」

これはもう頼むしかない。



セバダの漁港から、船で一時間ばかりの沖合。

漁船が鳥の集まりを見つけたため、船は急いで漁の準備をする。

近づいていく船、しかし近づいていたのは漁船だけではない。

ユラリと黒い影が近づいていく。

ドォォォォン

船の目の前で、海の七つの驚異の一つ海獣(かいじゅう)が勢いよく飛び込み、水面を強く叩きつけた音と、それに伴う水柱が立ち上がった。

漁師達は、目の前で起きたことをポカーンとしてしまったのだが。

「バカヤロー、ぼさっとすんな」

ベテランの漁師の一言で我にかえる。

急いでこの場から離脱するために船上は慌ただしく、死が身近に感じる。

ひりひりとした、何か‥が、網捨てるために結び目を切っていくが、手元は震えている。

「いけない、いけない!!」

そこに近づいてくる声、もちろん、その声の主を確認するがすぐには見当たらない。

ザパァ

海獣が船を狙って顔を出した瞬間。

「あ~もう遅刻しちゃう!」

パンをくわえてそうな台詞とともに、サメが海獣の頬辺りに向かってドスン!とぶつかったのである。

「急げ!!!」

船は出せるだけのスピードを出していく、追いかけてこないだろうが、見張りについた者は出来れば目を背けてしまいたかった。

遠くで海獣の体が小さく見えたのを確認したとき。

「もう大丈夫だ、追っては来ない」

「あ~助かった」

「死ぬかと思った」

漁師達は力が抜けた。

ここで襲われたら、まず助かりはしないだろう。

「そういえば、今のって、サメ?」

「サメコ?サメチカ?」

「サメチカじゃなかった、丸くない」

「でもサメコより長かった気がする」

パシャン!

そこで海面からサメが跳ねた。

サメが跳ねると、漁師達は水面に近づいた。

「はじめまして、みなさま」

透明な水質のため、頭は水面から出てはいるが、だいたいの大きさはよくわかる、サメコよりもやや大きい。

「私はサメると申します」

「お前さん、サメコとサメチカとよく似ているな」

「ええ、こちらではそう呼ばれているようですね、それで一度ご挨拶に行こうかな?って思っていましたところ、先程お腹をすかせたヤンチャな海獣がおりましたので、助太刀させていただきました」

こんな丁寧な口調だが、さっきのいけない、いけない、遅刻しちゃう!っていっていたのは忘れてはいけない。

「近いうちにお時間を作りまして、お伺いしますが、本日は先約がありますのでこれで失礼させていただきます」

そういったあと、サメるはチャプンと潜っていった。

あっ、正体は人をダメにする光属性の館林廻(たてばやし めぐる)であります。

3匹目のサメが現れたことで、漁船が港に戻ると、王城からの連絡係、サメ係のセフィリノは残業になった。

「サメ‥まだいたのかよ」

書類を前にそう叫んでいると。

「そりゃあ、マティアラにいっぱいいるんじゃない?」

そういって漁港の気象を記録する管理役がお茶を淹れてくれた。

セフィリノが船から落ちたところをサメ二匹が助けてくれた、そんな実話を元にした演劇『マティアラのサメ』が王都にて公開されると、サメは海の向こうのマティアラに住んでいて、助けてくれたサメ達サメコ(小雨のセバダでの呼び名)とサメチカ(サメ子のセバダでの呼び名)はそこから来ていると思われるようになった。

「ただでさえ、取得物が増えてきているのに」

最近サメ達は海から色々なものを拾ってくる、それを正確に記録するように命じられていた。

一番拾ってくるものは流木。最近セバダの薪の値段が安定した値段になっているのはこの流木のおかげであった。



あるところに、それはそれは美しい牡丹が咲き乱れる園がありました。

しかし、不思議なことに、牡丹が一向に散りません。

不思議に思ったその園の持ち主が調べさせましたところ。

「獅子が、唐獅子が園におりました、それで牡丹も散りません、しかも二頭いました!!」

その報告を聞いて驚きました、ただでさえ唐獅子は牡丹の露で敵はないとされています、なかなか退治するものはありません。

しかし、一人の剣士が訪ねてきました。

「どうぞ、私にお任せください」

剣士は獅子に負けない足さばき「狩足(かりあし)」で追いかけ、そこに刃に毒を塗った剣で唐獅子の額を割りました。

額を割られた獅子は、毒のあまりの苦しさに三日三晩おそろしい声をあげてもがき、明け方には生きるのをやめてしまいました。

そこで剣士の働きに大変喜び、剣士に名字と役職も与えました。

ではもう一匹もの話をが出ると、そこにまた訪ねてきた術師がおりました。

「お待ちください、せっかくの獅子でございます、それなら飼い慣らすとよろしいでしょう」

面白いことを申すと、やらせてみたところ、術師は唐獅子を慣らして帰って参りました。

術師にも剣士と同じように名字と役職を与えようとしたのですが、薬草園の一部を望みましたので、術師には園の一部を授けました。

しかし、すぐにその方のご子息が悪い風邪を引き、熱を下げる薬を処方したところよく効き、術師には名字と金銀をお渡しになりました。

「唐獅子を退治した剣士がうちの滅儀(めぎ)の先祖な、んで術師の方が余儀(よぎ)の先祖、性格がよくわかるような話だな」

現在の滅儀の当主である祖父から、滅儀鈴砂(めぎすずさ)は昔話を聞かされた。

ザッ

そこで当主は滅儀のお家芸の一つ「狩足」を見せる。

ザッ

鈴砂はそれに合わせて動く。

「んっ、まあ、ちゃんとやってるてえだな」

この狩足を身に付けると、勇猛果敢な風格がでるとされるが。

「でも気を付けろ、そればっかりやると、剣が乱れる」

「えっ?そうなの?」

「選ばれるか、選ばれないかはわからんが、お前は強くなる気はあるか?」

「ある」

「そうか何年も前に四季神っていう人形を手に入れる、いや、お迎えした時にちょっと関わったんで知っておるが、その制作者の人形師だよ、お前に紹介したいのは、ただし、行くなら絶対七瀬ついていってもらえ」

七瀬というのは先程出た余儀(よぎ)の子孫である。

「えっ?なんかあるの」

これはあれだ、ごめんね、うちの子お願いね、七瀬くんと一緒だったら任せられるわってやつだ。

「言いにくいが、人形師と名前はついているが、あやつの才はそこじゃない、性格は難があるがな‥」

祖父が言葉を濁すということは、本当に

問題のある自分のようです。

「それで飼い慣らされた方の獅子ってどうなったの?」

「お前は会ったことなかったか?」

今も牡丹園にいる。

「腹見せてぐーすか寝てたぞ」


サンマはワタを抜いて、醤油につけたもの、その身の色が醤油に染まらないようにするのがサメ子流である。

「こちらをカリカリに焼きます」

「いいんですか、いいんでしょうか、お仕事にご飯がきっちりつくなんて!」

ヒーラーのイワキは焼けるのをじっと、見ている。

「はい、焼けましたよ」

「ご飯はおかわりはできますかね?」

「大盛にしますか?」

「そうですか、いただきまーす」

久しぶりにお腹いっぱい食べれる。

彼はヒーラーとしては異端の流派、笛の音色で聞いたものの傷を癒す。

「この仕事が終わったら、次はどうなされるんですか?」

「ぼちぼちやっていきますよ」

トントン

そこで何かを叩く音、蜘蛛が一匹やってきてその音を立てたのだ。

今回魔物の肉を梱包するために手伝いに来たサンバグモ六匹のうちの一匹。

トントンツーツー

「いや、でも」

受け答えしているところをみると、音は言葉らしい。サメ子には音にしか聞こえない。

トンツートントン、トントントン!

「大丈夫です、何とかなるって」

トン!

その音の後、イワキは震え上がった。「‥すいません、こちらの仕事が終わりましたら、何も仕事が入っておりません、私めは見栄を張っておりました」

出会って日が浅いのに、完全にサンバグモに主導権を握られている。

トンつーツーツー

「何て言ってるのかわからないと思いますので、私が通訳しますと、イワキくんは悪い子じゃないの、おばちゃん心配なのよ、仕事は無理かもしれないけども、食事だけでもなんとかならないかなです」

「‥そうだね、いい機会かもしれない、イワキくんに会ってほしい人がいるんだよ」

「あれですか?サメの王様にご招待されるんですか?」

バシ!

イワキは蜘蛛に叩かれた。

「音色を聴いていたらさ、知り合いの流派に似てたからさ」

「えっ?そんな人いるんですか?私は自分の師匠しか知りませんよ」

「師匠さんはご存命?」

「いえ、五年前に、叔父の子供は女の子でお嫁さんにいきましたから、私が継ぎました」

「譜面などは残っているかい?」

「実家にいけばあると思いますよ」

「この本に似たような文字や数字はあるかい?」

これは術師の団体が発行している各年代を特定する文字や数字が載っているもの。

Aの世界の日本だと、平仮名とカタカナの五十音と数字が載っているが、こういうのが時代と場所ごとに分けられて、一冊になったもの。

この見本帳、責任者の部分に石咲治海(イシザキ ハルウミ)とあるが、小雨こと斉道(サイドウ) (カナメ)を食事に誘った、上司であるあの石咲のことである。

「ありました、これが近いと思います」

この字が使われていた時代場所は飢饉あったななんてサメ子は思っていた。

「その流派の人に合う手配をするよ、それまではここのテントを片付けないでおくからさ」

と言われたとき、イワキはやったー!と小躍りした。

(その人来ないでくれたほうがいいな、来るな、来るな)

と祈っていたら。

その祈りを見抜かれて、バシ!と蜘蛛に強く叩かれた。


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