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幻視論と相同器官論

 いきなりだが、男性が女性化したとき、身体の性的な部分はどう感じるのか?

 多くのTSF作品だと、股間を触り「ないっ!」、胸を揉み「あるっ!」が定番だ。


 さて、これを科学的に考察すると、相反する2つの仮説が現れる。

 その2つの説が「幻肢論」と「相同器官論」である。


・幻肢論


 幻肢とは「失った器官がそこにあるように感じる」こと

 事故などで腕や脚がなくなっても、認識や感覚はまだそこに腕や脚があるように感じるという、実際に存在する現象だ。


 Wikipedia「幻肢」より引用

 https://ja.wikipedia.org/wiki/幻肢


 引用先のwikiに、前脚を失った猫の動画があるが、この猫は「自分の前脚がそこにあると思っている」、腕や脚がなくなっても、自分の認識に前脚は存在して、それを動かしたり触ったりできる。


 これをTSFに当てはめるのが「幻肢論」である。

 この説を採用する場合、男性から男性器がなくなっても、その感覚や機能は、そこにそのままあるつもりで認識を引き継ぐ。

 もちろん実際に触ってみて、それに触れることができなくなって「ない!」と気づくのであるが、幻肢という認識から脱却しないうちは、女性化しても感覚や機能の認識は、男性のままだ。


 幻肢を感じる人は、数か月、場合によっては数年、無くなった自分の腕や脚がまだそこにある幻肢を感じるという。男性にとって男性器は比較的大きい存在であるから、TSFして無くなってしまったとしても、簡単に受け入れるのは難しいと思われる。


 この「幻肢論」はTSFで既知の感覚を適用させる論、つまり男性が知っている感覚が、それが無くなってもそのまま残って感じ続ける。という仮説である。

 これは比較的わかりやすく受け入れやすいし、現実に幻肢という現象があるのだから、ありそうな説だ。


 ところが、もうひとつの「相同器官論」がこの説に異を唱える。



・相同器官論


 相同器官とは、生物の発生学的に由来が同じ器官のこと。相同器官同士は、当然、同じ神経が使われているのだから、同じ感覚になると考える。


 例えば、あなたが鳥に変身したと仮定しよう。

 あなたは空を飛ぶために翼を動かすわけだが、当然、あなたは腕をバタバタと羽ばたかせるイメージになるだろう。実際に鳥の真似をする時は誰でもそうするはず。


 人間の腕と鳥の翼は相同器官である。腕が進化して鳥の翼になった。だからこのイメージはおそらく正しい。

 人間の身体に羽は無いから、羽があるというのは未知の感覚で、誰もそんな感覚など知らない。鳥人間コンテストに出ても無理だろう。

 しかし、相同の器官を当てはめることで、あなたの腕から人間の指や関節はなくなるが、翼を動かして空を飛べる、というのはイメージはできるはず。実際に人が空を飛ぶ夢を見る時はそうするのである。


 このように、由来が生物学的に同じ器官の感覚を、女性化しても受け継ぐと考えるのが「相同器官論」である。


 R18ではないので、詳細は控えるが、男性器に相同する女性器は判明している。もし、TSFした場合、この相同する器官の感覚に変化すると考える。

 男性に女性器はない。無いのでこれは未知の感覚である。しかし、男性器と相同器官に該当する女性器の感覚を当てはめて考えるわけだ。


 これは胸だとわかりやすい。男性に乳房はないが、乳首はある。女性の乳首の感覚は男性にとって未知の感覚ではあるが、TSFした場合、相同器官として男性の乳首から変化した感覚になるだろう。


 幻肢論では、女性化しても認識が補正されるまでは幻肢の状態である。つまり感覚はしばらく男性のまま。ということは、TSFして胸が女性化し膨らんでも、乳首は男性の感覚のままであり、すぐに女性の感覚にならないことになってしまう。


 これを性器の場合でも同じだろうと考える。これが「相同器官論」である。



・結論


 所詮は仮定の話で、「幻肢論」「相同器官論」の、どちらが正しく、どちらが間違っているということではない。

 作者の都合で胸は相同器官、性器は幻肢でもいいし、TSFした初期は幻肢が優勢だが、身体に慣れたら相同器官が優勢になる、でもいい。


 ただ、既知の感覚が残る「幻肢論」か、未知の感覚が得られる「相同器官論」か、という区分では両説の違いは興味深いと思う。


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