アビシニアンは復讐したい
ただ生きるだけって正直きつい。常に付きまとう金銭問題、人間関係。ただ王様になりたかったわけないじゃない。お金持ちになりたかったわけでもない。純粋に自分が望んだ幸せが欲しかった。特別欲深かったわけじゃないのに、私は死んだ。正確には殺された。
犯人は今でも覚えてる。私が気に入らなかった奴だ。それは実の兄。
私が疎ましくて、妬ましくて嫌っていたあいつ。共謀者も覚えてる。
それは実の母親の皮をかぶった悪魔だ。何かにつけて私を悪い言い、罪はすべて当たり前のように私に擦り付けてくる。毒親の典型的なやり口で私をこき下ろすのがストレス発散の方法だった。
許さない、死んでも。復讐したい、あいつらに。
「その復讐、手伝おっか?」
誰にゃ?私は死んだはずにゃ。
「不思議な力を持った猫にしてあげるから、やり直してみない?」
金ぴかさんはどちら様かにゃ?私知らない。
「初めまして、この世界の神様豊穣の神・御明神です。君の死は予想外の連続でね、不手際と言ったらそこまでなんだけど、君はあの場で死ぬことは僕が描いた本来の歴史ではありえちゃいけないんだけど、君は死んだ。僕から出来る提案は生まれ変わって一からやり直すことだけなんだよねぇ…。どう?乗ってみる?」
NNNの元締めの神様かにゃ!!なるんだったらアビシニアンがいいにゃ。女の子にゃんこになるにゃ。絶世の美にゃんこにしないと許さないにゃ。チートスキルも寄越せにゃ。あいつらに復讐できるだけのチートスキルが欲しいにゃ。
「じゃあ、まず人語を理解するでいい?」
「にゃー!」
「いててて!!何が気に食わないの?」
人語は理解できるだけじゃ足りにゃいにゃ!!話せるだけじゃなくっていいから、豪運を寄越せにゃ!!
「君は器の大きい人だったんだね…。なら豪運を君に、アビシニアンの毛皮と「ルシェ」の名を君に。町まで送っていくよ。あそこは今大災害で人も食べていくだけで手一杯だけど、君の愛した人は無事だし、家もある。ご飯の手配もしておくよ。行っておいで、「ルシェ」」
ありがとうにゃ!御明神様、今度近くに来たらミラクルスーパーカリカリお供えするにゃ。
「そこは●なばのなまり節で」
あれ、旨いらしいにゃ。どこに普段いるんにゃ?お供え持ってけない…。
「うーん、近所の神社で良いよ?そこには普段からご飯の食えない子がいっぱいいるから、そこの子達に奉仕してあげて?」
解ったにゃ、ミラクルスーパーカリカリ持って遊びに行くにゃ!!
「だから、そこは●なばのなまり節で」
じゃあ、行ってくるにゃ御明神様、今度は最後まで見守っててほしいにゃ。
「うん、またね「ルシェ」今度会うのは君が天寿を全うした時だけどいつでも見守ってるよ?」
降りてみると確かに荒廃してるにゃ。地震かにゃ?お家ボロだから無事か確かめにゃいと…。
「ルシェ…!?どこ行ってたんだよ、探したんだからな!?」
「にゃー?」
わぁい速攻で見つかったにゃ!!大好きなパパしゃんにゃ!
「ほら、お家帰るよ?お母さんにも報告しないとね?」
ルシェのお母さん?ルシェのママしゃんはもう別の場所で暮らしてるにゃよ?
「香さん、ルシェが帰って来たよ。良かったね。」
あれ?私がいるにゃ、写真が私だにゃ。御明神様、私が死んだのは間違いないのにゃ…。ちょっと寂しいにゃ…。
それよりもご飯にゃ!!お腹空いたにゃ!!
「ルシェ、お腹空いた?ご飯あるかなぁ…?」
いつものご飯でもルシェにはスーパーミラクルカリカリにゃ。ご飯美味しいにゃ、そういえばおみーち兄ちゃんは?
デニッシュ兄ちゃんは?プキャット兄ちゃんは?夏海は?
「みんなが気になるの?この地震で、行方知れずなんだよなぁ…。夏海はチップ入ってるからすぐ見つかると思うけど、他の子達はなぁ…こんなことになるなら、チップ入れておけばよかったなぁ…。」
パパしゃん、ご飯お外に盛るにゃ。トイレもお外に置くにゃ。迷子猫探しの鉄板にゃ。知らないにゃら代わりに検索するにゃ。
「うわー!!ニャンサムウェア発動してる…!?ん…?迷子猫対策…ご飯を外に出す、トイレを外に出しておく…?やってみるか…。ルシェ、これどうやって検索したの?」
フィンガータッチならまだできるにゃよ?エッヘンすごいでしょ!!
「よいっしょ…。これで見つかってくれるといいんだけどねぇ…。」
スーパーミラクルカリカリ食べたら眠いにゃ…。お休みにゃさい、パパしゃん…。
間違えて短編設定にしてしまったが続編もあります。