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自分が自分であることに自信が持てない

作者: 神前 健人

自分が自分でいることに違和感を覚えたのはいつだろうか。

確かに鏡を見ればそこにはいつもの見慣れた顔がある。少し太い眉。サラサラの髪。少しだけふっくらとした唇。筋の通ったきれいな鼻。福耳が印象的な耳。

でも・・・・・私にはこれが私には見えない。作り物にしか見えない。なにかに似せて作った贋作にしか見えてこない。

少しだけ鏡を見てにっこりしてみる。

今鏡の向こうからにっこりと笑いかけたのは私だろうか?

本当に三十もの年を生きてきた自分だろうか。

そんな疑問が私の頭の中をぐるぐると駆け巡る。今私の頭の中はどうでもいい疑問で一杯だ。

息がつまりそうだ。

私はかれこれ一時間は鏡に映る自分を見ていた。鏡の向こう側の自分はいつまでも自分で変わることなくただただ自分で、でもその自分にただただ違和感があって。

この疑問は何だろうか?私は誰かに呪いでもかけられでもしたのか。鏡の自分が自分ではないと。それともこれはただの私の勘違い?これは本当に自分?

私は自分の顔を指でつねってみる。当然ながら痛い。鏡の中の自分は本当にいたそうだ。時計回りに一回。反時計周りに一回つねったのだ。痛くないわけがない。

でも私は痛がる自分がやはりというか、当然というか私には自分には思えなかった。これが自分。

「「これが自分。」」

私は言い聞かせるように声に出していってみる。やはり鏡の中の自分も真似する。

私は何とも言いようのない気持ち悪さを覚えた。

そうこれは「気持ち悪い」。

結論などない。ただただ気持ち悪い。

自分が自分であることに自信が持てない。

だから、今日も私はただただ鏡を見ている。


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