プロローグ 厳格なる幻覚
深夜の街、路地裏にて、剣が弾きあう音が聞こえる。
その音の正体は、少年と、もう一人は少年と背丈のあまり変わらない男性だった。
「うぉらぁあっ!!」
少年は、小型のナイフを持った男に、その身ほどの丈の巨大な剣を上空から振り下ろした。
だがその斬撃は、男では無くナイフを粉々に粉砕した。
すると男性は膝から崩れ落ち、死んだ様に倒れこんだ。
その後ろで、震えながら自分の頭を抱えている幼い少女に、少年は語りかけた。
「大丈夫か。見た感じボロボロだけど。立って歩けるか」
「あ、足…」
そう言われ、少年は少女の足を持ち上げて指差した場所を見る。
すると靭帯に傷がある事に気がついた。
「あ、るけない…」
「…俺は社員義務って言うのかな。とりあえず魔宝使い(まほうつかい)にさせられちまった子供は保護しなきゃいけない。お前に残された選択肢は2つだ。イグドラシルに保護されるか、ここで魔宝を破壊されあのオッサンみたいに死ぬか、だ」
「い、や…し、にたくない…」
「…そんだけ生へ執着があんなら大丈夫だ。さ、行くぞ。おんぶなりなんなりしてやるよ」
「あ、りがと…えと…」
少女は戸惑う様に少年を指差した。
「俺か?俺の名前はリュウト。リュウト・カガミだ。よろしくな」
「よ、ろしく」
少女は弱々しく、今にも消えそうな儚い声で、太陽の様な存在にその小さな手でしがみついた。




