イライラする
気にくわない。
イライラする。
腹立たしい。
ここしばらくはずっとこんな気分だ。
それもこれもあの人間と転校生のせいだ!
人間のくせにどれだけ虐めても泣くでも怒るでもなくへらへら笑ってやがる。
馬鹿にしやがって!
転校生もそうだ!
妖精のくせに人間なんかと仲良くしやがる。
せっかく人間と一緒にいるとひどい目に会うって教えてやってるのにその温情さえ分かろうとしない。
どいつもこいつもせっかく虐めてやったのに何様のつもりだ!
何人かで集団下校するなか、ふと前を見るとあの汚らわしい人間と転校生がいた。
何が可笑しいのかゲラゲラ笑って更に汚らわしく見える。
そして人間が鞄から何か取り出して転校生に渡す。
白く安っぽい帽子だ。
受け取った転校生が人間に抱きつく。
人間に物貰って喜んでんじゃねえ!
怒りで頭に来た俺を誰かが肩に手を置いて止める。
振り返ると組長(※注:一部の地域で学級委員の事を指す)だった。
奴のジェスチャーを読み解くと
『バラバラになってから動いた方が人間の方を悔しがらせれる』
その策士ぶりに少し頭が冷える。
「じゃあ休み明け〜!」
「んじゃばさ休み明け〜」
奴等が別れる。
転校生は浮かれっぱなしで此方に気付いてない。
その後ろに回り込んで思い切り蹴倒すのは楽勝だった。
転んだ拍子に帽子は手から離れ、組長が踏みにじって汚す。
取り戻そうとする手を思い切り蹴飛ばす事でようやく溜飲が下がる。
「これに懲りたらもう二度と人間なんかと仲良くすんじゃねえぞ!」
その悔しそうな顔を見たら憂さなんて吹き飛んだ。
いやあ、良い事をしたもんだ。
これで人間と一緒にいたらひどい目に会うって分かっただろう。
その場を離れる俺達全員の思いが一つになる。
その時、組長の首がはね飛んだ。
「…悪い子は居ねがぁ…」




