さあ、(恋の)狼煙を上げよう!
月曜日。
浮き浮きしてる子、そわそわしてる子、沈んでる子…。
まさに悲喜こもごもといった様子の終業式。
僕はと言えば思いっきり浮かれてた。
僕が妖精だったら飛んでると思うんだ、これ。
まあ人間だから飛べなくて、だからこそあの子と仲良くなって、そいでもって浮かれてる。
人、これを因果応報といふ。
…それはさておき、彼女と他愛も無い話をしながら帰る道すがら。
「これ、クリスマスプレゼント」
昨日買った帽子を渡す。
眼を帽子と僕、交互に移す彼女。
やがて僕に視線を戻して固まり…
「有ん難う!」
思い切り抱きついて来た。
僕から抱きつくのは度々あったけど彼女からは初めてだ。
何度も耳を打つ「有ん難う」の言葉が嬉しくて僕もしっかり抱き返してた。
「大事《でえじ》にする…
…だどもどないせよ?
私なんも準備しでね」
困惑する顔も可愛いです。
気持ち的には今こうしてるだけでも十分だけど。
「じゃあ今度二人でどこか遊びに行こうよ?」
デートのお誘いですね。
子供にゃ早い?
のんびりしたら持ってかれるよ?
「そげな事で良えだか?」
「無問題《モウマンタイ》!」
むしろお釣りが出ます。
「分がっだ。
じゃあ休みが明げだら一緒に遊びに行ごう」
いよっしゃあ!
デート成立!
「絶対だよ!
じゃあ休み明け〜!」
「んじゃばさ休み明け〜」