転校生は東北美人
実はこの作品を書くのに自分がヘタレ過ぎて一年以上かかりました。
その殆どが頭の中で転がすだけという時間の無駄遣いをしました。
12月
妖精の国に冬が来て大分たった頃。
僕らのクラスに新しい子がやって来た。
「東北の方からやっでぎますた。
宜すくお願えすます」
長い黒髪に真っ白な肌。
赤いほっぺに訛りがアクセントになってとっても可愛らしい東北美人な女の子だ。
周りが訛りにゲラゲラ笑う中、僕は一目で恋に落ちた。
「じゃあ空いてる席を使って下さい」
先生の声でふと我に帰る。
女の子と僕がキョロキョロと辺りを見回す。
空いてるのは僕の隣の席だった。
ラッキーという思いと挙動不審で変に思われてないかという気持ちがない交ぜになって訳が分からなくなる。
とりあえず俯いて顔を隠したけど
それがいけなかった。
その娘が僕の前に座る意地悪の横を通る時
そいつはあの娘の足を払った。
ドタンという音に顔を上げると女の子はおもいっきり顔を床に打ち付けていた。
再びあがるゲラゲラと笑う声。
「大丈夫?」
その娘を助け起こしながら訊く。
「有ん難お」
怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらそれでもお礼を言うその顔がとっても可愛くて更にどぎまぎする。
クラスのみんなは僕のそんな姿にイライラするのか険悪な視線や舌打ちが飛んでくるけど気にしない。
気にしたらやってられない。
好きな娘が隣の席に来たのでその日の僕は終始ご機嫌だった。