第6話 危険
言われたとおりに私たちは家に戻ってきた。家の前には明花と田島さんがいた。夫婦で何を企んでいるのかは薄々気が付いていた。
「2人とも何しているの?」
「いや、たまたま通りかかっただけよ。」
仁美が田島さんのポケットを見て言った。
「嘘ですよ。田島さん、ポケットに入っているもの見せてください。」
「急に失礼だぞ。」
「怪しくないのなら見せられるはずですよね。」
仁美の要求を呑み、渋々ポケットから物を出した。田島さんは拳銃を持っていた。
「手を上にあげろ。」
しまった。凶器を持っているとしたら刃物類だと思っていたが…。私の考えが甘かった…。
「何が目的なの?」
明花が険悪した顔で言った。
「真子が気に食わないだけ。私は良いモデルになりたい、良い女優になりたいと思って芸能界で今まで頑張ってきた。本当はやりたくない仕事も人気になるために努力をした。でも真子は違う。真子は小さい頃から今までずっと注目され続けて、読者モデルでもトップ、女優としてもトップでエリート街道まっしぐらじゃない。何1つ不自由していないじゃない。」
田島さんはゆっくりと拳銃を私の頭に突き付けた。もう終わる。死んじゃう。と思った時。
「今警察を呼んだ。それに今のやり取りをDISCに納めさせていただいたよ。」
「チッ。」
パパが家の中から出てきた。
「やはり俺の思った通りだな。貴様ら、熊谷麻美は今どこにいる?教えろ。」
「知らない。」
「私も知らないわ。」
「なるほどね。そこにいるのは分かるんだぜ熊谷麻美。出てこいよ。」
そう言って家のベランダの木の裏に隠れていたのを、あっさりと見つけ出した。
「痛い、話してください。」
「うるさい、とっとと歩け。」
パパは麻美ちゃんの胸ぐらを掴みながら引き連れた。
「2人ともばれないと思っていた?パパは天才なんだから。」
「勉強できる=頭がいいではないんですよね。」
「すべてを吐け、熊谷麻美。」
「嫌です、吐きません。」
そう言って麻美ちゃんはパパに拳銃を突きつけた。
「パパ。」
これでは私も仁美も動ける状態ではない。
「原田家はここで終わりか。諦めるんだな。」
パパは薄々笑っている。何か策があるのだろうか?
「そろそろ来るか。」
「警察か?」
「違うよ。懐かしい女だ。」
その途端、私の後ろから車のヘッドライトが光っているのが見えた。誰…、涼子さんだ。
「遅くなりました原田さん。今助けます。」
そう言って涼子さんは拳銃で3人の足を撃った。
「いってー。」
「今のうち車に乗って。」
私たちは言われるがままに車に乗せられた。3人が弱っている間、車で逃げた。
運がよく私は3連休で休みを貰っていた。精神的にも余裕があった。
「大丈夫でしたか?」
「随分と遅かったんじゃないか?」
「そうですか?急いだ方ですけどね。」
「パパ、どういうこと?」
「俺が家から出てくる前に電話をしたんだ。それよりこれからどうする。警察沙汰も時間の問題だ。」
「別に私たちは被害者よ。パパと涼子さんは良いかもしれないけど、私は仕事もあるんだから。」
「バラエティー番組でネタにすればいいでしょ。」
「原田さん、後ろ見てください。」
私たちは後ろを振り返った。3人がバイクで追いかけてきたのだ。
「涼子、死ぬ覚悟はできているな?」
「当然です。でも真子ちゃんだけは守ります。」
私にはパパと涼子さんが死ぬ覚悟ができていることが感じ取れた。 続く




