第2話 知られた
私は戸惑っていた。パパの過去が知られてしまったら確実にシバかれる。そんなことも知らずに明花は校舎を見学していた。
「何にもないね。」
私は行ったことがあるため、パパの教室だけには行かないように気を付けた。
「職員室があるよ。行ってみようか。」
「うん。」
職員室にはデスクが沢山ある。2人でデスクを見始めた。
「あ?」
ガラガラ。パパが入ってきた。
「何してるんだよ。」
「え?原田さん?」
「加守田明花だろ?こんな所にいたのか。」
「はい。どうしたんですか?」
「来れるのも残り少ないからな。」
「パパどういうこと?」
「明日香と同じだ。自ら死のタイミングを選ぼうと思ってな。2人とも着いて来い。」
私たちはパパに連れられ、パパの教室に向かった。
「この机を見てくれ。」
パパは自分の机の隣の机を見せた。
「どういうことですか?」
「パパ、止めなよ。」
「熊谷麻美って誰ですか?」
「明日香と結婚する前に俺と結婚していた人だ。昔俺は、彼女のことが好きだった。一方的にな。でもアナウンサーをしている間に段々と溝が出来てな。結婚と同時に立場が逆転して…彼女が尽くし過ぎた結果が自殺してしまったんだ。」
「私この話何回も聞いた。」
「…原田さんの選択は間違っていなかったと思いますよ。だってその人と上手くいっていなかったら、真子が生まれていなかったんですもん。」
「でも死ぬ選択って何?」
「そろそろ明日香の元へ行こうと思っている。真子はもう1人でも生きていけるだろう。自分の道は自分で切り開け。俺はこの人生に悔いはないから。」
そんな…。
「何が何だか分からないですけど…、原田さんの人生ですから。」
「何言ってるのパパ。そんなこと言わないでよ。」
「真子、お前も40だ。もういいだろ。」
「何がもういいだよ。」
「これでここに来るのは最後だから。腹も括ったから。」
「残された私はどうなるの?」
「お前は良く頑張った。」
それだけ言い残してパパは仙台を後にした。
その後、私と明花でお昼ご飯を食べに行った。
「明花はパパが死んでもいいの?止めてくれないの?」
「止めてどうなるの?」
「どうって…。」
「真子は原田さんから、たくさんのことを学んだことはたくさんあるでしょ?原田さんは教えることはもうないからじゃない?」
「だからって死ななくても…。」
「ならママが死んだとき、どう思った?」
「何も思わなかった。」
「それと同じ対応しなければ駄目だよ。」
「心の準備ができないよ。」
「今すぐってわけではないでしょ。それに原田さんが死ぬときに、ママと同じ心構えをしないと失礼だからさ。」
「うん…。」
「何も考えずに送ってあげよう。」
「うん。」
私は悲しくなったけど我慢をした。
明花は先に帰ったため私はママのお墓に行った。線香をおいて、お墓に手を合わせた。
「私が知っている人の中で亡くなった人って何人かな?」
プルルル...プルルル。仁美から電話だ。
「もしもしどうした?」
「月9の主演が決まりましたよ。」
「あらそー。」
「決定した理由が、今も若々しさを保っているからだそうです。」
「理由はどうでもいいから。それよりどんなドラマ?」
「“怨み”です。」
私は何も言えなかった。
「とりあえず明日戻るから打ち合わせとかあったら宜しくね。」
私はオファーを受けていいのか迷っていた。 続く




