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炒飯街道

作者: ぶりっぢ

この世には、いつから存在し、なぜ存在するのかは誰もわからないというモノがあるという。

でもそれは確かに存在し誰かによって観測されていると、どこかの誰かが言った。


例えば、そう。炒飯街道もその一つ。


一見何も無い、そう本当に何の変哲も無いただの道。周りには普通の住宅地が広がり、その家々には中産階級と呼ばれる人たちがささやかながらも退屈な毎日を送っている。道幅は5メートルほど。いや、誰も測ろうなどとは思わないから正確なところはわからない。まあとにかくそれくらいツマラナイただの道ということだ。そんな道だが、この道を通る人々のほとんどは、この道の名前が「炒飯街道」であることを知っている。

でも、その名が何時から呼ばれていて、どうしてそう呼ばれるのかは誰も知らないし、わからない。


どこにでもいるような中学生が夏休みの自由研究として調べたが、わからなかった。

炒飯街道のある町の役人が、さまざまな書物から調べたが、やはりわからなかった。

モノズキな民俗学の教授が調べようともしたが、やっぱり結局はわからずに帰っていった。


炒飯街道はいつもそう。その由来も、その起源もわからない。







「炒飯街道は全国各地にあるらしい。」


そんな噂が流行ったこともあった。しかし、それを調べることはできなかった。

調べようなんて考えるヒト自体が、いなかった。

なぜなら、人びとにとって炒飯街道の存在はさして重要ではなかったし、その存在は唯一無二のものだったからだ。

いま目の前にある炒飯街道も分からないのに、全国を調べるなんて考えもしなかったのだ。



また「炒飯街道は存在しない。」


という噂も流行った。しかしその噂はすぐに消え去った。皆その存在を知ってるのに、存在しないはずがないのだ。

存在しないなら知らないはずだ。

炒飯街道は皆知ってる。よって確かに存在する、と皆は理解していた。








やがて時がたつと、世の中には炒飯街道に特別なものを感じるひとも大勢生まれた。彼らは横のつながりを持ち、互いに意見を交換しながら炒飯街道について議論し合っていた。しだいに議論は熟成された。

曰く、「炒飯街道は特別な道なのだ。何が特別なのかはわからないけれど」

また別の人曰く、「炒飯街道は私たちを導いてくれる。どう導くのかはわからないけれど」




そして更に時がたつと、彼らはその意見を本にまとめ、いろいろな人に配ったり売ったりした。そしてその人とも議論を交わした。

やがて、過去に意見が分かれた人びとの集まりは、たがいに討論というカタチで議論しはじめた。

はじめはお互いに論理的に、そしてできるだけわかりやすく、相手に理解してもらおうと話した。

議論が白熱してくると、お互いに怒鳴るように話し始めた。

疲れたら休憩し、また議論を続けた。

そして再び激しい議論を続けた。

1年もたつと、彼らはもう炒飯街道がどこにあって、どんな道なのかは忘れてしまった。

自分の理論を相手に理解してもらおうと必死だったのだ。

やがて議論は水掛け論となり、互いに感情的になり、やがて人びとは理解されることをあきらめてしまった。

そうなるとあとはただの乱闘となり、人びとは何を真剣に話していたのか忘れてしまった。



そんな光景が各地で見られたのだ。そのとき、炒飯街道がどこにあるのか、どんな道なのかおぼえているのは炒飯街道にいる人たちだけだった。

人びとは結局炒飯街道の謎をとくことはできなかった。いや、そもそも謎があるかどうかもわからなかった。





それが名を変え姿を変え、やがて世界に広がった。

・・・そんな「神」の始まりを妄想してみた。

ええ、すいません。たんなる妄想の吐露です。

批判とかする人がいるかも不明です。

ただなんとなく、そう!徒然なるままに書いてたらこうなった!みんな筋書きはしっかり組もう!

そんな教訓を与えてくれます。

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルにつられて、読みました。「何を真剣に話していたか忘れる」というのは、何となく納得させられます。発想が面白いので、次の作品も楽しみにしてます。
[一言] どもども。 ブチ猫です。 私の作風も自由奔放なんで、かなりツボにはまりました。 かなり楽しませてもらいましたが、評価はせずに感想だけにしておきます。 執筆頑張って下さいね。 また読みに…
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