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吹雪の日の事故
山あいの村の夕暮れは早い。
雪菜が帰宅するころは、
朝のお天気とは打って変わり、
吹雪となっていた。
「雪菜、うちのママに言って、
車でお家まで送って行くよ」
夏希が、心配顔で雪菜に言うと、
「大丈夫。おじいちゃんに電話して、
迎えにきてもらうから、
夏希の食堂は夕方が1番忙しいんだから、
夏希も早く帰って、手伝いしなよ。」
そう言って夏希と別れ、雪菜は家に
駅の公衆電話から電話をかけた。
しかし、だれも電話に出でくれなかった。
そうだった。
今日は親戚のお見舞いに行くと言ってた。
しかたない、ゆっくり家まで歩いて帰ろう。
雪菜は、駅から家までの道を歩きはじめた。
吹雪は一段と強くなったが、
毎日歩き馴れた道、雪菜は国道沿いの
歩道を家に向かって歩いた。
行き交う国道の車のスポットライトも、
激しい雪にかき消される。
雪菜は雪だまりに足をとられた。
バランスを失い、
突然、トラックのライトが光った。
まぶしい、雪菜は目を閉じた。
そして、そのまま倒れ、後頭部を強打し、
気を失ってしまった。