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エルフに土下座で告白したら振られたけど、なぜか一緒にダンジョン攻略することになった  作者: 紅茶伝


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第8話:土のダンジョン

 朝の空気はまだ少し冷たかった


 港町カイニーの西門を抜けると、山へ続く緩やかな坂道が伸びている


 その山の中腹


 岩肌にぽっかりと口を開けた黒い穴


 土のダンジョン


 ミミが両手を広げる


「うわぁ……!」


「ほんとにダンジョンだ!」


 カイルが腕を組んで見上げる


「思ったより大きいな」


 ニナは静かに入口を見つめていた


 三人にとってダンジョンは初めてではない


 ダンジョンの罠――ランダムワープ


 それによってこの街の近くへ飛ばされる前、三人は別のダンジョンを攻略していた


 だから迷宮も魔物も慣れている


 だが


 この街のダンジョンは初めてだった


 ミミが笑う


「なんかさ!新しいダンジョンってワクワクするよね!」


 カイルも頷く


「未知の場所だからな」


 ニナは静かに言う


「……魔力が強い」


 アルトは少し笑った


「いい感覚してるね」


 三人が振り向く


 アルトは洞窟入口の岩を軽く叩いた


「じゃあ入る前に一つ」


 ミミが首を傾げる


「なに?」


 アルトが言う


「土のダンジョンの特性」


 カイルが興味深そうに聞く


 アルトは入口の地面を指差した


「属性ダンジョンにはそれぞれ癖がある、土はその中でも

 地形が変わりやすい」


 ミミが驚く


「地形?」


 アルトは説明する


「壁が崩れる」


「地面が動く」


「壁から魔物が出てくる」


 カイルが眉をひそめる


「厄介だな」


 アルトが頷く


「だから土のダンジョンでは」


「魔物より地形を警戒」


 ニナが小さく言う


「……理解」


 アルトは続けた


「あともう一つ」


「ここは土属性」


「だから土系の魔物が多い」


 ミミが笑う


「ゴーレムとか?」


 アルトは肩をすくめる


「まぁその辺」


 カイルが剣を軽く叩く


「なら問題ない」


 アルトは三人を見る


「油断だけはしないで、ダンジョンは慣れてる人ほど死ぬ」


 ミミが真顔になる


「怖いこと言う!」


 アルトは軽く笑った


「事実だからね」


 それから入口を見る


「じゃあ、行こうか」


 四人はダンジョンへ入った


 中はひんやりしていた


 外の光が少しずつ遠ざかる


 代わりに壁の魔石がぼんやり光っていた


 ミミが驚く


「思ったより明るい!」


 アルトが答える


「ダンジョンの魔石だよ」


「魔力で光る」


 カイルが床を見る


「足跡が多いな」


 アルトが言う


「ここは上層」


「冒険者がよく来るだよ」


 ニナは壁に触れていた


 指先でゆっくり触れる


 少し目を閉じる


「……魔力が流れてる」


 アルトは少し驚く


「分かるの?」


 ニナは小さく頷いた


 その時


 ガサッ


 通路の奥で何かが動いた


 カイルが剣を抜く


「魔物」


 土の壁が崩れる


 現れたのは――


 ゴブリン


 三体


 ミミが笑う


「最初の敵だね!」


 アルトは少し後ろへ下がる 


「三人でやってみて」


 カイルが前へ出る


 ミミが腕の魔法道具を操作する


 水晶が光る


 ニナは周囲を見ていた


 通路


 壁


 床


 全部


 そして言う


「左」


 ゴブリンが飛び出す


 カイルが剣を振る


「【炎よ】!」


 大剣が炎を纏う


 ドン!


 一体が吹き飛ぶ


 ミミが叫ぶ


「展開!」



 魔法道具が光る


 光の糸が飛ぶ


 ゴブリンの足を拘束する


 ニナが言う


「右からもう一体」


 カイルが回避


 爪が空を切る


「今」


 カイルの剣が横薙ぎに走る


 二体目が倒れる


 残り一体


 ゴブリンが突っ込む


 ミミが叫ぶ


「足!」


 ニナが呟く


「【水よ】」


 足元に水が広がる


 ゴブリンが滑る


 カイルの剣が振り下ろされた


 ドン!


 静寂


 ミミが飛び跳ねる


「やった!」


 カイルが言う


「悪くない」


 アルトは少し笑う


「いい連携」


 ミミが嬉しそうに言う


「ほんと!?」


 アルトが説明する


「ミミが拘束し」


「カイルが火力だして」


「ニナが戦術」


 ミミが笑う


 「完璧じゃん!」



 ゴブリンの身体が崩れる



 乾いた音を立てて地面に倒れ、そのまま力を失う


 さっきまで動いていたはずの体が、急にただの肉の塊になる


 ほんの一瞬、鉄のような匂いが鼻に残る


 だが――それは長くは続かない


 体の表面が、じわじわと崩れ始める


 皮膚がひび割れるように裂け、内側から黒ずんだ粒がこぼれ落ちる


 砂のように崩れ、形が曖昧になっていく


 ミミがぴたりと動きを止める


「……あ、これ」


 カイルも視線を落とす


「来るな」


 完全に崩れきる前


 胸のあたりだけが、崩れずに残る


 鈍く光る、小さな塊


 アルトがそれを拾い上げる


 指先に、わずかなざらつきが伝わる


 見た目は石に近い


 だが、ただの石よりも重い


 中に何かが詰まっているような、密度のある重さ


「核だね」


 軽く言う


 ミミが覗き込む


「ちっちゃ!」


 カイルが鼻で笑う


「下層の魔物ほど大きくなる」


 その間にも


 ゴブリンの残骸は完全に崩れ落ちる


 さらさらと音を立てて地面に溶けるように消えていく


 さっきまで“そこにいた”はずなのに


 跡はほとんど残らない


 ニナが静かにそれを見ている


「……戻ってる」


 短い言葉


 アルトは核を軽く放るように持ち替える


「ダンジョンにね」


 そのまま袋に入れる


 布越しに、ずしりとした感触が残る


 ミミが少し嬉しそうに言う


「これって売れるやつだよね?」


「まぁね」


 アルトは軽く答える


「装備の素材とかにも使えるし」


 カイルが頷く


「数集めりゃ、それなりになる」


 ミミが笑う


「やっぱり完璧じゃん!」


 その言葉に、アルトは少しだけ目を細める


「……うん、いい流れだね」


 足元では、もう何も残っていなかった


 ただの土だけが、静かに広がっている


 まるで最初から何もなかったかのように


 それでも


 袋の中の重みだけが


 確かに“倒した証”として残っていた


 ニナは何も言わない


 ただアルトを見る


 アルトは笑う


「じゃあ進もう」


 四人はさらに奥へ進んだ


 土の迷宮の奥へ


 その時


 ダンジョンの奥から、微かな振動が伝わってきた


 ニナが立ち止まる


「……?」


 アルトが振り向く


「どうした?」


 ニナは壁を見る


「今」


「揺れた」


 アルトは少しだけ目を細めた


 そして笑う


「土のダンジョンだからね」


「よくある」


 ミミが言う


「びっくりした!」


 カイルは剣を肩に乗せた


「進むぞ」


 四人は再び歩き出す


 だが


 ニナは少しだけ思った


(今の、普通の揺れじゃない)


 そして前を歩くアルトを見る


 この人も


(気付いてる)


 そう思った

ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!

もしよかったら感想などいただけると、とっても嬉しいです…!

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