これは真冬のプロローグ 2
真夏の魂がリェンの元を訪れる少し前、小さな魂が現れる。
「はぁい、こんにちはぁ」
「……」
「私はリェン・カーネ、死者の魂案内役を任されている女神ですぅ」
「……」
「そうですぅ、あなたは現世で死んでしまいましたのでぇ、この先の進路を選ばなければならないのですぅ。選択肢は三つぅ。いいですかぁ?一つ目はぁ、このまま魂を消滅させて無になることですぅ。あなたの個は保たれて安らかにぃ、永遠の眠りにつくことができますぅ。二つ目はぁ、輪廻転生の輪に溶け込み新たな形になってぇ、現世に生まれ変わることですぅ。無限の意識に混ざってぇ、あなたの個は緩やかに分解されていきますぅ」
「……」
「はいぃ?そうですねぇ、あなたの親兄弟は既に無限の意識に混ざってますねぇ」
リェンは手元の本をぺらぺらめくっている。
「親兄弟の後を追って無限の意識に溶け込むことも出来ますがぁ、あなたには特別な選択肢があるんですよぉ」
「……」
「危機に瀕した別世界に転生してぇ、救世主となっていただくことですぅ。この場合ぃ、あなたの自我は保たれてぇ、もう一度あなた自身として生きることができますよぉ」
「……」
「はいぃ、実は大変困った状況になっていましてぇ。猫の手も借りたいと言いますかぁ、転生特典も付きますしぃ、転生をお勧めしているところなんですよぉ」
「……」
「そうですねぇ。その人ならもうすぐここに来るみたいですねぇ」
「……」
「はいぃ。きっとそうなると思いますよぉ」
「……」
リェンの表情が明るくなる。
「やってくれますかぁ?ありがとうございますぅ。ではでは転生特典のほうを…」
「……」
「え?はい、まぁ大丈夫ですよぉ?」
「……」
リェンの前に大きな赤いボタンが現れる。
「それではぁ、私の世界をよろしくお願いしますねぇ」
リェンはボタンを押して小さな魂を優しく見送った。