レモン
土けむりが完全にきえた時、船のすぐ横には、長い行列ができていた。
そのお目あては、ペンギンちゃん船長の「かき氷屋さん」だ。
氷の船でオーストラリアに来た時は、いつもこうしている。
子どもには無料だ。だから、子どもたちの行列ができる。
「たくさんあるからねー。わりこみはだめだよー」
わりこみなどの「ずる」をする子がいないか、ロボットペンギンたちが見まわりをしている。
行列の一番前では、ペンギンちゃん船長が「かき氷」をつくり続けていた。
船の一部だった氷を、「かき氷」をつくる機械にセット。
しゃり、しゃり、しゃり、しゃり。
どんどん氷がけずられていく。そして、あまいシロップをかけたら、「かき氷」の完成だ。
できたばかりの「かき氷」を、目の前にいる子どもカンガルーにわたした。
ペンギンちゃん船長は次の子にきく。
「一人分ですね?」
「ちがいます、三人分です。弟と妹の分も」
そのカンガルーのおなかのポケットから、弟カンガルーと妹カンガルーが顔を出した。
「まいどー」
そう言って笑顔で、三つの「かき氷」をつくるペンギンちゃん船長。
しばらくすると、「かき氷」を食べ終わった子のために、氷の船の見学ツアーを始めた。
ロボットペンギンたちが船の中を案内していく。
ここは発電室。
ここはエンジン室。
ここは船の操縦室。
で、ここは・・・・・・。
大きな扉の前でロボットペンギンは立ち止まると、
「この部屋は立ち入り禁止です」
カンガルーの子どもたちに告げた。
この船には秘密がある。この扉を開けるのは、旅の最後だ。
子どもたちは部屋の中を見たそうにしているけれど、扉はかたく閉じている。中をのぞけるような、すき間はない。
「次に行きますよ」
そのあとも船の見学ツアーは続く。
ロボットペンギンたちが船の中を案内していく。
ここは食堂。
ここはゲームコーナー。
ここはスポーツジム。
「あ、この部屋も立ち入り禁止です」
こっちは小さな扉だ。
子どもたちは部屋の中を見たそうにしているけれど、扉はかたく閉じている。中をのぞけるような、すき間はない。
「次に行きますよ」
そのあとも船の見学ツアーは続く。
そして最後は、氷でつくった「すべり台」だ。
そのまますべると、おしりがつめたい。
なので、小さなゴムボートに乗ってすべるのだ。
「わー♪」
順番にすべっていく子どもたち。みんな楽しそうだ。
そんな様子を見ながら、ペンギンちゃん船長は少し休けいする。
横目で地図を見ながら、オーストラリアを出発したあとのことを考えた。
この先の海を無事に通過するためには、ある準備をしておかないと・・・・・・。