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みかん氷
ペンギンちゃん船長と氷の船が、巨大台風に突入してから二日後。
船が今どうなっているのか、それはわからない。
インドの港では、人々が心配していた。
船との連絡はつかない。おそらく、まだ台風の中にいる。
沈没してないといいけど・・・・・・。
そんな時だ。途切れ途切れの通信を、港の灯台がキャッチした。
「・・・・・・こちら・・・・・・船長・・・・・・」
ペンギンちゃん船長の声だ。雑音が混ざっていて、かなり聞き取りにくいけれど、ペンギンちゃん船長の声でまちがいない。
氷の船が巨大台風を突破。
その知らせに、インドの港はわき立った。
南極からの長い旅を経て、ペンギンちゃん船長の船が今、こちらに向かってきている。
あるものを届けるために、こちらに向かってきている。
その長い旅も、あと少しで終わりだ。この港が最終目的地。
台風も突破したことだし、もう大丈夫だろう。
しかし、そうではなかった。
この時、氷の船は大きな問題をかかえていた。
ブレーキが壊れていたのである。