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茶道部の出来ごころ 〜茶道部の犬に、先輩のオッパイは揉めない〜  作者: 工藤操
第7章 一週間のラブレター
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7-7 6日目

 可愛い私のジョン



 確かに半額セールは魅力的だが、いくら何でも買い過ぎではないだろうか?

 君は食べ飽きるという事がないのか?


 私だっていちおうは見た目を気にしたいと思っているのを理解して欲しい。

 体重計の数字が気になる年頃、と言った方がジョンには分かりやすいだろうか?


 どれだけ私を太らせるつもりだ。

 君はそういう女性がタイプなのかね。


 残念だが私は頑張れそうもない。

 すでに飽きてる。


 すまんが君が一人で頑張れないだろうか?



 愛を込めてスージーより



          □



 愛しいスージー



 アンコは好きだと言っていたのは嘘だったのでしょうか?

 食べ飽きたなどと悲しい言い訳はしないでください。


 確かに僕はもみじ饅頭と春日饅頭を混同していました。

 そこのところは申し訳なく思っています。


 ですが真のアンコ好きなら、あの程度の量は食べられるはずです。


 栄養成分表を確認しましたが、どら焼きと比べれば遥かに脂質が低いです。

 多少、食べ過ぎても心配はいらないと思います。


 あとですね。いちおう言っておきたいのですが。

 僕の好みのタイプはスージーです。

 どれだけ見た目が変わってもスージーであることが不変なら、僕の愛もまた不変です。


 冷蔵庫の中を片付けないと、もみじ饅頭を買ってくることもできません。

 ぜひ、よろしくお願いいたします。



 世界で一番君を愛してるジョン



          □



 片時も離れたくないジョン



 どれだけ安かったのか知らんが二人だけの茶道部なのにキロ単位で買ってくるのは、ちょっとおかしいと思うぞ。


 この話で栄養成分表を見るのなら100グラムあたりのカロリーを見るべきだ。

 どら焼きよりカロリーがあるんだから、大量に食べたら確実に太るぞ。


 正直に言わせてもらうが、安いせいかアンコがいまいちなんだよ。

 一個二個なら美味しく食べられるが、ひたすら食べ続けてると味の単調さが辛くなってくるだろ? 

 無理やり口に詰め込むのは食事というより作業に近いぞ。


 それともこれは何かの修行なのかね?

 全て食べきれば魔法が使える様になるとでも言うつもりか?


 あと、もみじ饅頭にはこだわらなくて結構です。

 言葉のアヤというか、勢いで出てしまった言葉なので。


 口頭でも言いましたが、私に気を使ってくれたことはとても嬉しく思っています。



 いつでも君の傍にいたいスージー



          □



 心から抱きしめたいスージー



 では「魔法が使える」と言えばいいのですか?

 スージーが全て食べきる事が出来れば《心からジョンを愛する魔法》にかかります。

 素晴らしいですね。一緒に頑張りましょう。


 もみじ饅頭の件は了解しました。

 僕がバカでした。

 スージーの想いを汲み取れなかったのが悔やまれます。


 アンコの味はそんなに悪くないと思っています。

 スージーは味にうるさすぎやしませんか?

 半分食べろとは言いませんが、全て任されるのは荷が重いです。


 カロリーの件ですが、食べたら一緒に運動するというのはどうでしょう。

 スージと一緒なら僕は楽しめそうです。

 ご検討をお願いいたします。



 君の心の鍵が欲しいジョン



          □


 

 驚くほど素敵なジョン



 抱きしめたいで、一緒に運動しようだと?

 二人きりのこの和室でいったい私に何をするつもりだ。

 それで私の何をたっぷり楽しむ気なのだ?

 君の提案はハレンチすぎる。


 それはそうと君の味覚は大雑把だ。

 和菓子の繊細な味を理解できないとは残念だ。

 君は本当に美味しい菓子を食べた事がないんだね。

 かわいそうに。


 もみじ饅頭の件。

 言葉の意図が汲み取れないのは、私の方に問題があると思っている。

 だが春日饅頭は買い過ぎだ。

 大量に食べたいとは言ってないぞ。


 一緒に食べて君だけ魔法が使える様になるのはズルイと思う。

 とりあえず、その魔法にはもうかかっているので結構です。

 私が欲しいのは、ジョンから愛される魔法なのです。



 あなたになら何をされてもかまわないスージー。



          □



 僕の女神スージー。



 これ、前にも言ったと思いますが。

 湯呑みを持ったまま勢いよく立ち上がらないでください。

 便箋がビショビショになって書きにくいです。


 そこまで言うなら本当に美味しい菓子を持ってきてください。

 美味しかったら僕の間違いを認めます。


 ふと思ったのですが、この部屋、コタツが欲しくないですか?



 愛の鎖に囚われたジョン



          □



 薔薇のようなジョン。

 


 コタツの件、検討します。


 導入コストの問題もありますが、自堕落になりすぎる懸念が拭えません。

 慎重に考えさせてください。


 よろしい。

 近日、持ってきてやる。

 君が菓子を貪りながら泣いて謝る姿が、今から目に浮かぶ。


 確かに濡れた便箋は書きにくいな。

 今度からは周りを確かめてから立ち上がることにするよ。



 心は全て君の物、スージー

  


          □



 僕の小鳥ちゃん、かわいい小鳥ちゃんのスージー



 多少濡れててもマジックだと書けますね。


 今とても疑問なのですが、どうして僕らはラブレターを交換しながらだんだん険悪になっていくのでしょう?


 あと、いまさらなんですが、今日は口を聞いてはいけないルールなんですか?

 そろそろ普通に喋りたいです。


 愛している人を目の前にして、言葉を交わせないのは淋しいので。



 君がいないと生きていけないジョン



          □



 誰よりも大切なジョン



 確かにマジックだと書けるな。


 そろそろ下校時刻だ。



 君と一緒にいれて幸せなスージー。

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