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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋と気づいた日

作者: 咲花

柁川斂(たがわれん)

年齢:18

職業:学生(高校3年生)・総長

性格:喧嘩っぱやい。優しくてピュア。

血液型:A型

誕生日:6月17日

趣味:ヤンキーの研究

家族構成:(里親)父・母・姉

好きなこと・物:特攻服・家族(社)

短所:鼻血をみること

長所:誰よりも強いこと

身長:174cm

一言:一言…か。よし!俺に喧嘩売るならいつでもかかってこい!斂極會の総長がお相手する!


本当の親はあったことがなく知らない。

里親は、有名なモデル一家。

自由に小さいときからさせてもらえず、操り人形になっていた。

親にはキレイな顔や体つきを求められたがそれが嫌になり家を飛び出してしまった。

社に出会い、人生は一変とし今は斂極會の総長。

そして、社に想いを寄せている。



社孔雀(やしろくじゃく)

年齢:30

職業:元ヤクザ・(副総長)

性格:優しい。喧嘩は強い。

血液型:O型

誕生日:8月18日

趣味:料理・家事・洗濯・喧嘩

家族構成:父・母・弟

好きなこと・もの:花・インテリア

短所:かわいいものに弱いこと

長所:面倒見はいい方だと思う。

身長:183cm

一言:斂極會のこと、斂のことをよろしくお願いいたします。


親父がヤクザのトップで、孔雀は跡取り息子とされていた。

だが、"自分の道は自分で決める"といい、跡取りは孔雀の弟である(かなで)が継ぐことになった。

孔雀は社家のケジメとして家を出ていくことになった。

今は斂と暮らしており、貯めていたお金で遣り繰りをしている。

弟とは仲がよく連絡を取り合っている。

斂のことは、尊敬している。



松川るみ(まつかわるみ)

年齢:18歳

職業:学生・カフェでアルバイト

誕生日:2月13日

血液型:AB型

性格:おひとやか。元気。

趣味:斂くんの観察

家族構成:父・母

好きなこと・物:斂くん

短所:早とちり

長所:斂くんのことならなんでも知ってます!

身長:154cm

一言:一言じゃ、表せないけど斂くんに対しての愛はだれにも負けてません!


元々は男の子だったが、斂に恋をし一変。

いつも女装をして学校に来ていたため、男の子だとは気づかれていない。

唯一、斂だけは知っている。

斂に恋をし続けているが、何度もフラれている

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

俺には本当の家族がいない。

愛情を注いでもらった記憶があまりない。

俺はいわば、お人形だ。ただただ、大人に操られるだけの。

けど、そんな俺を唯一対等に見てくれた奴がいたんだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

斂と社が出会ったのは、今から2年前の11月だった。

「おらっ!!!かかってこいよ。この俺!社孔雀がお相手だ!!」

10人のヤクザが社に一斉にかかってきたが、それをもろともせずに何人もが社の前に倒れていった。

たまたま、斂が神社の前にある駐車場で社が1人で戦っている姿を見て、目を引かれた斂は、喧嘩が終わるまで手を出さず待っていた。

「はぁ……しんどっ。」と大きい体の社がその場に腰をおろした。

拍手をしながら、斂が社へと近づいた。

「あぁ?!誰やお前。」と社が重い腰をあげて、斂を見下ろした。

「いやー。あんた凄いなー思てな。俺の家族にならへんか?」

「はぁ?家族だぁ?断る。俺は誰とも群れないって決めている」

「じゃあ、俺があんたに勝ったら一緒についてきてもらうで」

「はぁ?ってか、話聞けや。っておい」

社が話をしているのはお構いなしで斂が社の顔面に蹴りを入れた。

「待て待て。兄ちゃん。そのキレイな顔傷つけてまうで。」

「ええよー。よっ……っと」

斂がバク転をしながら後ろへ下がり、社が油断した瞬間に勢いをつけて走り出し、その場で飛び蹴りを入れた。

社が顔の前で防御をしたが、少し吹き飛ばされてしまった。

「あぁー。アカンか。ほなら……」と斂が社の後ろに素早く回り込み、社を後ろにまた蹴りを入れた。

(なんや、こいつ。チビで素早すぎて防御が……)

社が蹴られた勢いでバランスを崩してしまい、その場に倒れてしまった。

「おしっ、終わりやな」

斂が社を踏みつけようとした瞬間に避け、その場から立ち上がった。

立ち上がった後ろには斂がいて軽く撥ね飛ばされた。

宙に浮かび、斂が鼻血を出して倒れていた。

「所詮はただのガキか。」と社が腕を抑えがら歩いていると、頭へと蹴りがはいった。

先程と違う様子の斂が社へと襲い掛かり、スピードも段違いに上がり、社は防御をするのが精一杯だった。

「ガキがッ……!!!」

社が一瞬の隙を狙い、斂の足を掴み投げ飛ばした。

斂は不気味な笑顔を浮かべながら、顔面にパンチを入れ、その後にお腹の溝落ちを狙い、社の意識が飛びその場に倒れてしまった。

斂も膝から崩れ落ち、気を失い倒れた。

数分後、社の意識が戻り斂の体を揺さぶった。

「おい、ガキ。おい!」

斂が体をブルッと震わせ、目を開き起き上がった。

「あいたた…」と斂が頭を手で叩いていた。

「大丈夫か?」

「ガキちゃうし。あんた、敵を心配するとかエエ奴すぎるやろ」

斂がニコニコと笑顔を見せながら、ふらつく体で立ち上がった。

「……。お前の戦いを見て鳥肌がたった。俺が一番ここらじゃ強いと思ってたが、違ったみたいだな。」

社が口をニヤリとさせ、斂を見上げた。

斂は仁王立ちで口元をニヤリとさせ、社に手を伸ばした。

「お前名前は?」

「俺は、社孔雀(やしろくじゃく)

「くーちゃんとか呼んでええか?」

斂がニヤニヤしながら、社を見た。

「それは恥ずかしいからやめてくれ」

「そうか。じゃあ、(やしろ)。俺は関西で天下とりたいと思ってる柁川斂(たがわれん)や。よろしゅうに!」

この日2人は出会い、社は一生斂に付いていくことを胸に手をあて誓った。

数日後のこと。

斂と社はどちらも家を出てきた身だったので、社の事務所の空き家で暮らすことになった。

「なぁ、社ー。」

「どうした?」

「ヤンキーでいうチーム名?っていうの考えてみた!」とニコッと歯を見せて社へと笑いかけた。

斂が社へ習字で使う半紙を渡した書。

達筆な字で斂極會(れんごくかい)と書かれていた。

「斂極會か。ええと思うぞ」

社が斂の胸をコツンと拳を当てた。

「じゃあ、決まりやな!この名前で特攻服作るぞ!!」

「特攻服って、お金かかるやろ」

「それは心配いらんねん!」

斂が当てがあるという所まで2人で行くことになった。

「ここ!俺ん家のモデル服とか作ってくれたり、あとはせやなぁ…撮影場所やな」

斂はチャイムも鳴らさず、門をくぐり家へと入っていった。

「お邪魔しま~す!!おばちゃんいはりますか?」

斂が大きな声で言いながら、ズカズカと部屋へと入っていった。

「えっ……斂やん。」と奥の部屋から割烹着をきたお姉さんが出てきた。

斂に近づき、頭にげんこつを食らわした。

「あんた!どこ行ってたの???(しずく)さんらめちゃ心配してるで!帰ったんか?家に。」

「痛った……。何すんねん。ってか、あの家に帰るつもりないし。俺には家族が出来たからな!」

斂が少し飛びはねて、社の肩に腕をかけた。

「家族なんか?俺ら?」と社が首をかしげた。

「ヤンキーの仲間は家族やって聞いたから、今日からお前は俺の家族や。ってことで、成実(なみ)おばちゃん、これ。」

斂が成実へと特攻服をデザインした紙を自慢げに手渡した。

「これ作ってどうするの?」

「特攻服着て、関西一の強いチームに作って天下取る!これが俺の今の目標や。それと、親を見返すんや」

斂はどや顔をしながらニコッと笑った。

はぁーと成実がため息を着きながらも、引き受けることになった。

「その変わり出来た特攻服でモデルやってもらうからね!」

めんどくさそうにしながらも、特攻服のためにモデルを引き受けることになった。

そして、数日が過ぎた頃。

「社!!!」

斂が部屋のドアを叩き、社の名前を何回も呼んだ。

ゆっくりとドアを開き、眠そうにしながら社が出てきた。

「なんや、早朝から?ってか、お前学校は行かんくてええんか?」

社が斂の頭をポンポンと撫でた。

社の手を払いのけ、紙袋から服を取り出した。

「ええねん、ええねん!それよりな!出来たんや!これが俺らの"家族"の特攻服や!」

斂がどや顔をしながら、特攻服を広げ社へと見せた。

「…すげーな。」

斂が社へと特攻服を渡し、袖を通した。

後ろにはチーム名である、"斂極會"とデカデカと文字が入り、右腕には副総長と書かれていた。

右腕には、"柁川斂"と刺繍が入り、斂の右腕には"社孔雀"と文字が刺繍されていた。

特攻服を撮るために近所の公園へと2人は出向いた。

「社、ここにおってなー」と斂が遠くにスマホを置き、タイマーをかけた。

「ほれ、まずは後ろから撮るでー!3.2.1!!」

斂は嬉しそうに特攻服の写真をポーズを変えて撮り続けた。

社はそれを見て微笑ましくなった。

弟がもう一人できたようだった。

「社!社!最後はピースや!」

「普通やな。」

写真を撮り終えると、2人で撮った写真を見て、斂は最後の2人の写真が気に入ったようで、すぐに待ち受けにした。

社のスマホをとり、一緒の待ち受けへと変えた。

それをなにも言わず、斂が楽しそうならいいかと思い、好きにさせていた。

少し数日間一緒におった中で気になったことがあったので、社から切り出した。

「なぁ、斂。答えたくないんならええねんけど、なんでそんなに"家族"にこだわるんや?それに、お前元々普通の人間やのになんで喧嘩始めようと思ったんや?」

「うーん。せやな。喧嘩始めたきっかけは、親友がヤンキーやったから。まぁ、そいつに助けられたんや。で、家族にこだわってるのは、まぁまた今度話すわ。」

「そうか。」と社は苦笑いをして下を向いた。

「社ってヤクザなんやろ?元がつくみたいやけど」

「なんで知っとる?」

「うーん。出会った時になんとなくな。まぁ、お前の秘密を知ってる以上俺はお前にはちゃんと話すわ」

斂がニコッと歯を見せ、社に笑いかけた。

「そ、そうか……」

社は自分情報を色々握っていたことには疑問を感じたが、あまり深く突き詰めるのをやめた。

「よし!じゃあ、家に帰るか」

斂が立ち上がり、社に手を伸ばし立ち上がった。

「あら??孔雀ちゃんじゃないの~」

ごつい難いをしたオネエ口調の男性に、その後ろに10人ほどスーツをきた男性達がぞろぞろと2人へと近づいた。

「花蓮……。おい、斂。下がってろって、おい……!」

社の言葉を無視し、斂が花蓮にニコニコしながら近づいた。

「な~に?坊や。子供は危ないからあっち行ってなさい。」

花蓮が斂の頭に触れようとした瞬間に、斂は足の下に潜り込み後ろから蹴りを入れた。

花蓮はその場に倒れこみ、後ろで護衛していた男達が一斉に斂へと襲いかかった。

パイプを持って、斂が後ろから襲われそうになった所を社がパイプをぐっと握り、パイプごとそいつを吹き飛ばした。

「さすがやな、社。おい、総長ヤられてんのに、子供相手に大人げないんとちゃいますかー」

斂は喋りながらも1人1人相手をして、地面へと叩きつけた。

5人一斉にかかってきたが、1人を持ち上げて、あとの4人ともども倒れ、意識を失った。

「おい、斂、こっちは終わったぞ。っておい!後ろ!!!!」と社が斂に向かって叫んだ。

さっき斂に倒されたはずの花蓮がパイプを持ち後ろから襲いかかり、斂が倒れこみ、血を流した。

「あとは、あなただけだわ、孔雀ちゃん」

社が花蓮に尖ったパイプを突きつけられ、大声で笑っていた。

「なにがおかしいのよ!」

「あいつ…血を流すと人格変わる化けもんなんだよ」

花蓮の後ろで頭から血を流しながら、立っていた。

「うあぁぁーーーーー」と花蓮の悲鳴が公園全体に響き渡った。

そして、いつもの如く斂が気を失い倒れていた。

「おーい。斂、起きろー。」

起きない斂を見かねて、そのまま担いで家まで帰ることにした。

社が怪我の状態を見て、ぐるぐると包帯で頭を覆った。

手当てをしているとゆっくりと斂が眠そうな顔で起き上がった。

「やっと起きたか。毎度毎度勘弁してくれよな。」

社は軽く笑いながら、斂の手当てを続けた。

「……ごめん。社。俺さ昔からこんなんやから、周りからも親でさえ避けられてきたんや」

少しため息をつきながら、斂が顔を下に向けながら話を続けた。

「前にさ、社が聞いたやん。なんでそんなに"家族"にこだわるかって」

社がゴクリと口の中にたまった唾を飲み込んだ。

「あれな、俺家族おらんのや。前におばちゃんが言うてた雫さんらは俺の里親や。やから、ほんまの家族やない。あの人らにとっては俺は操り人形や」

斂が目を閉じ、ぐっと布団を強く握り、その手は震えていた。

「あの人らモデルやってるねんけど、俺の顔立ちがエエからって言うて、芸能界に5歳の時に入れられたんや。あの人らには拾ってくれたのに感謝してる。けど、なんか嫌になってもてな。それで家出てきてもてん。アホな話やろ」

頭の後ろをかきながら、乾いた笑いで悲しげな表情をさせた。

社は驚きながらも、頭をポンポンといつものように優しく撫で、ぐっと斂を抱きしめた。

「お前は人形じゃなくて、立派な人間や。お前が俺に喧嘩売ってきた時、俺自身少し変えてもらった気がする。無理に家に戻らんでも、今のお前の家族はここなんやろう」

斂には、人の温もりが久しぶりに感じて社の背中をぎゅっと掴み、斂は社の胸の中で声をあげながら泣いていた。

社が袖で斂の涙を拭き取り、優しく微笑み、ご飯の仕度をしてくるといい、斂の頭を撫でて席を外した。

斂は泣いたことをなにも責められず、ほっとしたがなにかモヤモヤが心の中に残った。

(なんでこんなに心臓バクバクいってんねん。)

モヤモヤがとけないまま、時間は過ぎていき、頭の包帯も取れた。

社へ口酸っぱく"学校に行け"と言われ、しぶしぶ学校に行くことになった。

「はぁ……。ヤンキーって学校いかんのやないか……。ってか、今日もなんか心臓バクバク言うてる。なんや。ほんまに。」

「斂くん!」と呼びながら後ろから走ってきた。

「おう!るみ。」

「おう!じゃないよ。ホントに今までどこ行ってたの?雫さんらまだ帰らんって心配しよったよ。」

後ろから走ってきた、ポニーテールにしている女の子は、斂の唯一の友人。女の子というか、元々は男だった。斂の彼女になりたくて女の子になったらしい。

そして、斂には女に見れないと何回も断られていた。

るみが男ということは斂しか知らない。

「いいんだよ。ってか、るみ、聞きたいことがあるねんけど」

「なに??斂くんのためなら私なんでも聞くよ!」

斂を横からヒョコッと覗き込んだ。

「なんかなぁ、最近ある奴と居ると、心臓バクバクしたり、胸がこうきゅーって締め付けられたりするねんけど、なんか病気なんかなぁ?」

るみが斂の前に立ち、キラキラした目で斂を見つめた。

「なっ、なんやねん」

「斂くん。それは恋だよ。」

「こっ、恋……?いやいや、それはないて。だって、あれって女子にときめくもんやろ…ってあっ……」

るみに斂は詰め寄られ、一緒に今住んでいる社のことについて話をした。

「なるほどね。私じゃないのが残念だけど、その社さん?は元ヤクザさんで、斂くんと今チームを組んでると。なんで好きになったの?」

「そっ……それは…」

斂がこの間のことを思い出して、顔が真っ赤になった。

斂とるみが話をしながらゆっくりと歩いていると、チャイムの音が鳴った。

「やばい!!早く、斂くん!遅刻しちゃう!」

「ちょい待てや!るみ!!!」

2人は走ってなんとか授業には間に合った。

授業中もぼーとしながら、ノートに社と決めた斂極會のルールを書いたり、社と2人の絵を書いていた。

(あぁ……なんでこんなに悩まんといかんねん。そもそも、俺は社のこと好きなんか。)

鼻と口の間にシャーペンを挟み、口を尖らせ、1人で考え込んでいた。

昼休みになり、久しぶりにるみと昼食をとることになった。

「それで、さっきの続き聞かせてほしいんだけど!」

るみが朝の話をしてくれと詰め寄られた。

斂はそれに根負けし、話をすることになった。

「俺の家庭事情お前は知ってるやろ。」

「うん。斂くん意外と苦労人だよねー」

「意外とは余計やけどな。それで、まぁそれを社に話をしたんやけど、なんか辛くなってもて泣いてもてな」

斂は少し顔を赤らめながら、るみから目を反らした。

斂は自分の泣いていることをあまり話をしたくなかったからだったが、るみの前では何回も泣いていたのだ。

「まぁ、それで社がぎゅっとハグしてくれてな。それでドキドキしたーいうか。こうやって。」

斂が再現としてるみにぐっとハグをした。

斂に抱きしめられたことが嬉しすぎてその場で気絶してしまった。

斂がるみの体を前後に揺らしていると、はっとなり意識が戻った。

「ここは天国ですか?」

「おい!!天国ちゃうぞ、お嬢さんー!相談してる時に意識失うなって」

「ごっ、ごめん!つい斂くんからハグされたって思ったら嬉しくなっちゃって!」

斂は額に手を当てて、はぁーとため息をついた。

「これは好きになっちゃうのわかるよ。あっ、そうだ!社さんに合わせてよ、作戦会議しようよ!」

「社に!?お前絶対なんかややこしいことしそうやん!」

「しないってば!斂くんの将来の旦那さんのためなのに!」

「まだ、好きかどうか……」

「とにかく!今日の放課後、絶対逃げないで待ってくこと!」

そして、放課後になり渋々るみと帰ることになった。

「おいおい、柁川じゃねーか」

「あれれ、ほんとだ。」

「その横の子彼女かぁ?」

帰り道、不良3人が斂とるみの周りを囲んだ。

るみがぐっと斂の腕を握った。握った手が震えているのに気付き、斂がるみに目を合わせニコッと笑った。

「おい、聞いてんのか!!」

「……るみ、少し下がっとけ」

るみを後ろに下がったのを見て斂が正面の不良を足で蹴りを入れた。

後ろにいた不良が斂に襲いかかったが、肘でみぞおちを狙い、その場に倒れこんだ。

「ちっ、近寄るな!!」と最後に残った不良がるみを掴み、刃物を顔に近づけた。

「ちっ。半端な真似しよって…」

斂は両手を上げて、刃物を持っている男から距離を置いた。

(どうする。るみにもし刺したりしたら危ないしな)

「…おい!」と刃物の男の後ろから社が現れ、腕の力で首を締め付けた。

「社……」

「俺の総長と女にまで手出してんじゃねーよ」

首を締め付けられた男は泡を吹き、そのまま気絶し倒れてしまった。

「おい、大丈夫か?」と社がハンカチを取り出し、るみの顔に付いた血を拭いた。

「大丈夫です…すみません、ありがとうございます」

るみが深々と頭を下げていると、斂が2人に近づいた。

「お前は……大丈夫そうだな、斂。」

「まぁな」と斂が社と少し目を合わせ、そっぽ向いた。

「なに、拗ねてるんだ。」

「拗ねてないし」

「あの……」とるみが2人の間に入り、喋り始めた。

「貴方が社さんですか?」

「あぁ。そうだが。」

社を全体的に見て、うんうん。と1人で頷き、斂を手招いた。

「なんやねん。」

「めちゃくちゃいい人じゃない。男らしくてカッコよくて、それにあの優しさは惚れるのわかるわ。で、想い伝えとかなくていいの?あんないい人、女の人に取られちゃうわよ」

2人は社に聞こえない程度にコソコソと話をしていた。

「あっ、アホか…。だから俺はまだ好きとか…」

社がポンっと斂の肩に手を置いた。

「俺はお邪魔なようだから、帰るな。」

「ちょっ、社」と斂がとっさに社の腕を掴んだ。

「どうした?」と社が斂の顔を覗き込んだ。

「いっ、いや。ごめん。なんもない。先帰っといてくれ。こいつ(るみ)送って行くわ」

顔を真っ赤にさせながら、手を振って送り出した。

「斂くん!!!いいの?」

「だって、あいつと同居してるねんで。

変な空気になって家おりづらいの嫌やねん。俺がもし好きやったとしても、あいつを困らすだけや。……もう、ほっといてくれ」

「ちょっ、斂くん!!!」

斂は涙を流しながら、るみから足早に去っていった。

斂はそのまま真っ直ぐ家に帰らず、近くの公園へ立ち寄り、ブランコをこいでいた。

「はぁ……。」と深くため息をつき、空を見上げた。

(俺、ほんまなにしてるんやろ)

「あれあれ?さっきはどうも」

「柁川じゃろ、さっきは若いもんが世話になったのぉー。」

斂はブランコを止め、男達に近づき睨み返した。

「なんや。また、殺られにきたんか?」

「殺られるのはそっちだよ、おりゃ!」

前から殴りかかってきたのを素早く避けて、膝に蹴りを入れその後顔面にパンチをくらわせた。

すると、もう一人が殴りかかりポケットから防犯ブザーを取り出した。

「は?」と斂がブザーが鳴り気をとられていると、それが合図だったかのように隠れていたヤンキー達が出てき、斂に一斉に襲いかかった。

「なんやねん。クソッ!!おら!!!」

斂が次々に襲いかかってきた男達を一斉に倒していった。

その頃、社は晩御飯を作って家で斂の帰りを待っていた。

「遅いな。うーん、連絡も来てないな」

社は念のためメールを打った。すると、電話が鳴った。

「おい、今どこに……。って誰だ?」

「あっ、すみません。あのさっき助けてもらった、るみです。」

「斂と一緒にいた子か。怪我は大事だったか?」

「はっ、はい。それより斂くんが……」

るみが電話越しに泣いていた。

社はるみをなだめ、今起きている状況について聞いた。

るみは心配になり斂の後をつけていたらしいのだ。

そして、 斂が男達と戦っている最中に後ろから殴られ、気を失って連れていかれたという話だった。

るみは斂と男達の後をつけ、倉庫の外の窓から中状況をうかがっていた。

社は車を走らせ、るみから連絡を受けた倉庫まで急いで向かった。

斂は椅子に縛られ、20人程に囲まれていた。

「おい、起きろ!!」と斂にバケツに入っていた水を頭からぶっかけられた。

「ゴホッ……ゴホッ……」

一人の男が斂の髪を掴み、顔を近づけた。

「ようやく起きたか。挨拶まだやったな。天空(カナタ)の総長やらしてもらってますぅ、阿部凱柊(あべかいしゅう)いいましてな。ここらでは有名なチームで、関西一のチームなんやわ。」

凱柊が斂の髪を引っ張りながら、ニコニコと笑っていると、斂が鼻でふんっと笑った。

「なにがおかしい!!!」

「……関西一のチーム言うたな。……じゃあ、お前潰したら俺が一番か」

斂は小声で呟き、歯を見せてニコッと笑い、椅子に縛られながら立ち上がり、椅子を使い戦い始めた。

そして、椅子に縛られていた紐をなんとかほどき、いつものように殴りかかったり、蹴りを食らわせた。

「ほら、来いよ。」

「柁川斂を殺せ!!行け!!!」

凱柊の一声で10人程が武器を持って斂を襲いにかかった。

すると、太い木の棒を持った奴らが3人で斂の頭を殴りかかり

「斂くん!!!!」とるみが思わず、声に出してしまい、窓の近くにいた奴らが外へと回り込んで、るみを追いかけた。

「お嬢さん、俺らと遊ぼうよ」

「どこだ?」

るみは必死に声を押し殺していたが、パキッと木の割れる音がして足音が近くなってきていた。

震え、泣きながら目を閉じていると、るみの肩をポンッと男の手が触れた。

「おい。」と振り向くとそこには社がいた。

「やっ、社さん……」

るみは社の姿を確認すると腰を抜かし座り込んだ。

「さっ、さっきの男の人達は?」

あぁ。と社の指差す方向にさっき追いかけてきていた男達がボコボコにヤられていた。

「斂は?」

「倉庫の中で……。さっき3人一斉に後ろから頭殴られてたからもしかしたらまた……」

るみが涙をためていると、ハンカチを取り出しそっとるみに渡した。

「……こりゃ、斂くん惚れるのわかるな……」

ボソッと社に気づかれない程度に呟き、顔を少し赤らめ微笑んだ。

「なんか言ったか?」

「いや、早く斂くんの所行きましょ!」

るみが社の手を取り、倉庫内へと入っていった。

すると、斂は血を流し歯を見せ笑いながら戦っていた。

「またか、あのバカ」と社が頭を抱え込んだ。

「るみちゃんはここで待ってろ。あのバカ止めてくるわ」

社が来ていたスーツのジャケットをるみに被せ、斂の元へ走っていた。

「はぁ……。斂くんと付き合うのもったいないくらいの人だなー、社さん」

るみは口元に手を当てて、微笑ましく笑っていた。

「おい!斂!!!どけ!!」

社はいつもの強力で次々に襲いかかってくる男を軽々と倒していった。

その頃、斂は総長である凱柊と一騎討ちで戦っていた。

「柁川……!!!!!!」

凱柊が傷を覆いながら、斂に噛みついていたが、全て交わされてしまいダメージばかり加えられていた。

「なんや、こいつ噂通りの化物やな。グハッ……」

溝落ちに蹴りを食らわしてから、頭突きをし、凱柊がふらついた。

斂は頭突きをした時に血を流してしまい、また気をいつの間にか失いながら戦っていた。

「おい、斂!!!!」

社が散らばっていた男達を倒し、斂の元へ向かった。

だが、社の声は届かず戦いを止めなかった。

そして、凱柊が膝をついた途端に斂が頭めがけて蹴りを一発食らわせた。

「柁川……。」

斂はニヤリと笑い空を見上げ、膝から崩れ落ちた所を社が受けとめ抱えあげた。

「ったく……。無茶しやがって」

斂をお姫様抱っこし、るみがいる所まで運んだ。

「るみちゃん、水を」

はい!といい、社にペットボトルを渡し、斂の顔に水をかけ、ほっぺたを何回か叩いた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」と息を吹き替えし、斂は座り込んだ。

「斂くん!!!!!!!!!」とるみが勢いよく斂に抱きついた。

「苦しい、苦しい……死ぬ……。」

社が斂の頭をポンポンと撫でてニコッと微笑んだ。

「お前、すげー彼女に愛されてんのな」

「はぁ?!こいつ彼女なんかやないし!!こいつ男やで!」

「えっ、そうなのか」

社が口をポカーンとあけて、呆然としていた。

「そうや!気づかんかったんかよ…」

「えへへ。斂くんの彼女なんて本当ならすごい光栄ですね♪斂くんは私じゃないみたいですけど……」

るみは悲しい顔をしながら、社をじっと見つめた。

「じゃあ、私行きますね。社さん助けてくださってありがとうございました。」

頭を深々と下げ、ニコッと笑顔で微笑んだ。

そして、斂の前でしゃがみこみ頭を撫でた。

「じゃあ、頑張ってね♪」

るみが優しく微笑みかけ、手を振りその場から立ち去った。

「俺らも帰るぞ。警察の職質なんか受けるのはごめんだからな」

社がジャケットを斂に被せ、先に一人歩き出した。

斂も急いで立ち上がり、社の所まで走っていった。

「それにしても、最近変な奴に絡まれるよな。」

「そっ、そうやな。」

「あいつ誰だったんだ?」

「なんか関西一のチーム言うてたな。あっ、それであの野郎倒したから俺、実質一番なんやで!」

社がふっと吹き出し、ハハハっと大笑いしていた。

「なんやねん!関西の不良チームの天下は取ったんやぞ!」

わかった。わかった。と社が笑いながら、頭をポンポンと撫でた。

「さすが、俺の総長って感じか」

「俺の……って。」とボソッと呟き、斂はその場に立ち止まった。

「どうした、斂?」

「俺さ……」

(伝えな。るみのあの顔見たらちゃんとせないかんやろ)

「お前のこと……」

(あいつ振っといて、俺が勇気出さんと…)

「……好きみたいやねん」

(あいつに会わす顔がなくなる)

「家族やなくて、男としてっていうか」

(自信もって言わんと……)

「俺、男だが大丈夫なのか?」

社は冷静に斂へと問いかけた。

「あぁ。ってか、なんでそんな冷静で入れんの?!男から告白されとんやで!気持ち悪いと思わんのか!?」

斂は少し取り乱しながら、頭の中はぐちゃぐちゃで混乱していた。

「落ち着けって」

「いや、お前が冷静すぎんねん!あー、もうわけわからん!!」

斂は頭をぐしゃぐしゃとかきみだし、その場にため息をしながらしゃがみこんだ。

(なんやねん。なんか感情ごっついぐちゃぐちゃや。)

社も斂の近くに寄り、しゃがみこんだ。

「とりあえず、ありがとうな。勇気出して言うたんやろ」

社は斂の涙を指で拭った。

「子供扱いすんなや。本気の……初めての告白やし」

斂はぷくっとほっぺたを膨らませ、顔を真っ赤にさせてそっぽを向いた。

社が斂のほっぺたを片手でむぎゅっと摘まみ、社の方へ顔を向かせた。

「斂。俺はお前とあって本当によかったと思ってる。俺の憧れや。けどな、お前を"今は"恋愛対象としては見れへん」

「そっか……。そりゃそうだよな」

斂は下手くそな作り笑いをし、自然と涙がぼろぼろとこぼれた。

(泣くなよ、俺。)

「こんな奴になんか、俺なんか無理なんよな」

(本気じゃなかったはずやのに)

拭っても拭っても、涙が流れ落ちた。

(なんでこんなに胸が苦しいんや…)

社が斂に優しく微笑み、ハンカチで涙を拭った。

「…もう、ええて。好きやないならこんなことせんといてくれって!!」

斂は社の手を振り払い、目を真っ赤に腫らせていた。

社は斂の胸ぐらを掴み顔を近づけた。

「おい、斂。ちゃんと話聞けや。"今は"って言ったん聞こえんかったんか?お前が本気なら俺はそれに答えるって話やろうがい。こんなんで諦めるならそんな恋なんか捨ててまえ」

2人で揉めていると、突然雨が降ってきた。

「とりあえず、家帰るぞ」

斂は雨にうたれながらも空を見上げていた。

「ハハハ。……捨ててまえ…かっ。

…はぁー。なぁ、社。お前が惚れるのはゼロやないってことやな?」

「あぁ。お前が本気ならな。それより帰るぞ。風邪引いちまう」

社が斂の手をぐっと掴み、家まで走って帰った。

家に帰ると、玄関で頭と体を拭き、先に斂が風呂へと入った。

湯船にゆっくりと浸かっていた。

(はぁー。なんか曖昧な告白で帰ってきてもたな…。)

風呂から上がると社が晩御飯を用意してくれていた。

「わぁー!!俺の好きなハンバーグやん!!!あれ?なんで俺の好物知ってるねん?」

「あぁ。るみちゃんから聞いた。連絡先もちゃっかり交換したんだよ」

社がポケットからスマホを取り出し、るみとのトークを見せた。

「はぁ!?!いつの間に?!俺の断りもなく!!!」

「お前の彼女じゃないだから、断りいらねーんだろ?」

「まっ、まぁ……そうなんやけどさ……」

(複雑すぎへんか。俺を好きな奴と俺が好きな奴が繋がってるって……)

斂はその場で頭を抱え込みながらも、席に着いた。

「斂。さっきの話なんだけどよ、お前が本気なら真剣に交際について考えてもいい。けど、こんなおっさんでお前は後悔せんのか?」

ハンバーグをがつがつを斂が食べて、水を一気に飲み干した。

「いいに決まってるやろ。俺だって、男に恋?するの初めてなんや。けど、お前じゃないとあかんって思ったし……」

「それは家族としてか?相棒としてか?」

「社!!」と斂が机に身をのりだし、社を睨み付けた。

「家族としても相棒としても勿論、好きやけど恋人になりたい好きっていうか……ってなに言わしてるねん!」

斂は席に座り、水をコップへ注ぎまた一気に飲み干した。

「お前が勝手に言ったんやろ。やっぱり斂は面白いな。」

社は腹を抱えて笑っていた。

弟を見ているようで社は微笑ましかったのかもしれない。

「なぁ、斂。明日空いとるか?」

「なんもないでー。暇人な坊っちゃんやからなー」

「そうか。ちょっと付き合え。」

「つっ、付き合う……!!?!いやいや、まだ心の準備が……」

「おっ、おい!斂。買い物!買い物付き合ってくれ」

「あっ……あぁ。買い物な。ええで!」

斂は付き合うということが敏感になって動揺しながら、流し台の所へ行き洗い物をしていた。

「……あんな動揺するとは思ってなかったなぁ」と社が斂を見ながらボソッと呟いた。

告白した後もなにも気まずいこともなく、日常が流れていった。

いつもと変わらず相棒として、社へと接していた。

斂はもっと自分のことを知ってもらえるように、喧嘩以外に、一緒に遠出をしたり、買い物したり2人の時間を作るようになった。

社はそんな斂段々と引かれていき、気になり始めていた。

「お前のこと好きかもやな……」

「社?どうした?」

「いや、なんでもない。ささっと片付けに行こうぜ」

(好きかもしれん。って今お前に伝えたらどんな反応するんやろうなぁ)

斂が社の目の前に拳を突きつけた。

「ほな、東京行くで!!」

「おう。お前とならどこに行ったって怖くないわ」

2人は拳をコツンと合わせ、歯を見せお互いニコッと笑いあった。

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