悲しみの原因と。
ラグナと別れた大人達はバーと呼ばれる酒場に移動した。
「ラグナは大人びてるよなぁ。」
「俺の子供だからしっかりしてるんだよ。」
「確かにラグナだからこそ1人部屋でも反対は無いがのぅ。」
「まぁラグナじゃなくて他の同世代の子供達だったら反対してたけどな。」
「違いねぇ。それに……今回のことは一歩間違えたら命が危なかったな……」
「ラグナの奴もよく我慢して耐えたよな。」
みんな頷く。
「やはり儂等はサイ殿のお陰で命拾いしたってことだろう……」
「話に聞いていた通り相変わらずの馬鹿領主ぶりだったな。」
「それに領主の息子だ。あれがラグナと同じ歳ってことはそういうことだよな。」
「あぁ、そうじゃろう。」
グイドの1人目の息子が産まれる前に唯一村にいた産婆が領主の手によって連れ去られる事件があった。
産婆が居ないまま出産に臨むことになってしまったグイド夫婦にさらなる試練が訪れる。
逆子だった。
産婆が居ない状態で逆子。
結果、1人目の息子は亡くなってしまった。
領主の兵隊が村に突然現れ産婆を連れ去る原因となった子供が目の前にいた。
「あの駄目っぷりに殴りたくなったわ。あんな子供の為にうちの子供が亡くなったって思うとやりきれねぇよ。」
ハルヒィはグイドの背中を優しく叩く。
「それに産婆様のことだけどよ。やはり処刑されたらしい。領主に意見した罪だとよ。」
「やはりそうか……」
村長は深いため息を吐く。
産婆は村長の昔からの知り合いだった。
それこそ一時は恋仲になった時期もあった。
まだ若かりし頃に辺境の村の開拓のメンバーに選ばれてしまった為、そこには連れて行くことは出来ないと別れを告げた。
辺境に村を開拓するのだ、当然だろう。
生きて帰れる保証もない。
開拓とは失敗ありきで行うもの。
領主も上手く行くとは思っていない。
国からの命令には背くことが出来ないので一応はきちんとやっていますよ。という体裁の上で開拓をやらせている。
だが村長達はダメ元で行っていた開拓村を開発することに成功した。
領主は成功に驚く。
そして欲が出てくる。
この調子で開拓をあと数回成功させれば……
不可能と思われていた魔の森の近くに村を作ることが出来る。
そうすれば魔物の素材の安定供給の可能性も。
領主の欲にまみれた命令により村長は仲間と共に次々と開拓村を作って行く。
転々と村の開発をする日々。
開拓するにつれて魔の森に近くなり魔物と出会う確率も増えた。
ゼロでは無いが多少の犠牲も増えてきた。
しかし領主が思っていたよりも被害がだいぶ少ない。
村長達は魔物を討伐する場合、1人で立ち回らないように仲間たちと話し合い徹底させた。
討伐よりもまずは生き残ることを優先で。
結果、魔物を安定して討伐出来るようになった。
冒険者ギルドに登録して開拓村で討伐した魔物の素材は次々とギルドに持ち込み換金。
そうしないと領主の見回りがあった時に全て徴収されてしまうから。
そうして数カ所の村を開拓していき最終目標とされたのが今のアオバ村。
皆に慕われ実力を認められて村長に就任。
それから数年。
開拓村の産婆として移住してきたのが村長の元恋人だった。
誰が来るかも知らない村長は、産婆が挨拶に来ると言うので出迎えた。
そして顔を合わせ固まる2人。
お互いに再び出会うことは無いだろうと思っていた。
村長は必要に迫られてその後他の人と結婚していた。
産婆様は独身を貫き通していた。
運命とは時に残酷だった。
「ふぅ。あやつの冥福を祈るとしよう。」
村長はグラスを上に掲げる。
グイドとハルヒィもそれを見て同じように。
大人達がしんみりとしている一方でラグナはお風呂でのんびりしていた。
「まさかあんなのでレシピ登録されるなんてなぁ。」
前世の料理を再現できたらお金に困らなくなりそうだな。
まぁ調理方法なんて分かんないけど。
「それに海の女神様かぁ。どんな御方なんだろう?」
女神かぁ。
あの娘は元気かなぁ。
ワイルドボアに襲われた時に助けてもらったお礼をきちんと伝えられていないし。
またいつか会う機会があればきちんとお礼を伝えよう。
あの時助けてもらえなかったら本当に死んでたから。
更新遅くなりました。
再び体調を崩していました。




