日本の伝統的な調味料は超高級。
それじゃあ次はカップに入った味噌汁。
カップを手に持ち味噌汁を一口。
「ふぅ。」
心から安心できる味つけ。
味噌汁って言ったらコレだよな。
一口飲んだらふぅって声が出ちゃう感じ。
あぁ、本当に味噌汁だ。
これは味噌の味だよ。
父さん達も俺に続いて一口。
「ふむ。」
「うん?」
「不思議な味だな。」
父さん達は味噌汁の味に戸惑っているみたいだ。
支配人さんが再び料理の説明。
「そちらは味噌汁と言うスープになります。こちらも勇者様の故郷で食べられているスープだと伝えられております。」
懐かしい。しかも再現度が凄い。
味噌だけじゃなくてきちんと出汁の味もする。
気がついたら味噌汁は全部飲み干していた。
「勇者様の故郷の料理に関しては好き嫌いがかなり別れるので皆様は如何でしたでしょうか?」
「味噌汁と言うスープがとても気に入ったのぅ。コレならばいろいろな具材によって味がかなり変わるんじゃないのか?」
「具材によって味はかなり変わりますね。勇者様は何でも特に豚汁と呼ばれている物が好きだったようです。」
豚汁か。あれは本当に美味いよな。
特に寒い日に食べる豚汁は最高だよ。
やっぱり初代勇者は日本人で確定だな。
「俺はこの醤油と言う味つけが気に入ったな。」
「それは俺もだ。普段の食事にも使いたいくらいだ。」
確かに。
この調味料は手に入れたい。
「味噌と醤油は販売とかされているのですか?」
我慢出来なくて質問してしまった。
「一応ですが販売は我が商会にて販売されております。」
「一応?」
「何故一応かと申しますと調味料の作成も商会の組織が行っているのですが温度管理などがとても重要で製造がとても難しく、失敗してしまうことが多々あります。よって安定生産をすることが出来ないため販売する量を増やすことが出来ていません。」
確か以前ネットで見た作り方も温度管理と湿度管理が重要って言ってたな。
大好きだったアイドルグループの村を作ったり島を開拓する番組でも味噌を作ってたけど寝ることも出来ずに火の管理をしたりして本当に大変そうだった。
完璧な温度計も湿度計もないこの世界では感覚の作業になるんだろうから厳しいだろうな……
「ちなみにお値段ですが……醤油はこのグラス1杯分で金貨1枚。味噌は醤油と同じ分量で2枚となっております。」
目の前にあるグラスはワイングラスと同じくらいの大きさだからたぶん250mlくらいかな。
えっと……
高過ぎだよ!
味噌汁作るだけで幾ら掛かるんだよ!
値段を聞いて固まる大人達。
「それじゃあこの料理の数々……」
「特に味噌汁なんてヤバいだろ。」
とんでもない値段の料理を食べたことに気がついてしまった。
「私共と致しましてはいち早く安定生産を行って頂き、勇者様から伝えられている料理の数々を気軽なお値段で提供出来るようにしたい所なのです。」
確かに異世界の住人だった勇者と同じ食べ物を食べてみたいお金持ち連中の気持ちも判るけど……
恐ろしい値段を出して口に合わなかった場合は悲劇としか言いようがないな。
「それでは勇者様の世界のお料理を味わって頂きましたので残りは私達の世界のお料理を是非堪能して下さいませ。」
そう言うと数々の料理が再び運ばれてきた。
さっきは牛のステーキみたいな味のお肉だったけど今度は香草と一緒に焼かれた鶏肉。
物凄くいい香り。
次に運ばれてきたのは何かで包まれている塊。
形状からして魚だと思うんだけど……
塩の香りがする。
この謎の塊は塩?
もしかしてこれって塩釜焼きってやつか??
塩釜をハンマーで叩くと中から巨大な魚が姿を表した。
従業員さんが綺麗に切り分けてそれぞれのお皿に盛りつけ。
後はサラダとパン。
パンはパンでも黒パンじゃない!
白パンだ!
「黒パン以外のパンは久々にみたな。」
さすが元貴族の父さんだ。
白パンを食べたことがあるのか。
じゃあとりあえずパンを一口。
黒パンのカチカチのパンとは違ってふつうのパンだ。
でもなんだろう。
なんか違う。
ふわふわ感と風味が違う。
そうか。
イースト菌も酵母菌もまだ使われてないのか。
だから違和感があるのか。
それならば。
ラグナはパンを1つ手に取るとナイフで切り込みを入れて香草焼きの鶏肉をその中へ。
そして食べる。
「こうするともっと美味しいな。」
その食事風景に固まる支配人。
「なんと画期的な!これはいける!」
支配人はそう言うと調理室へ姿を消した。
美味しそうに食べるラグナを見て大人達も次々と真似をする。
「確かにこれなら具とパンを一緒に食べれて美味いな。」
「黒パンでも焼き立てならこれでいけそうだよな。」
調理室へ消えた支配人が戻ってきた。
「ラグナ様、この料理方法は画期的です。絶対に流行ります。この料理のレシピを我が商会で取り扱いさせて頂けませんか?」
普通にパンに挟んでサンドしただけなのに……
そこまで大事に??
「か、構いません。お好きに使って下さい。」
「ありがとうございます。おい、聞いていたな?今すぐに登録に行ってくるんだ!」
支配人の側で控えていた従業員がどこかに向かっていった。
「登録と言うのは一体……?」
「新しい料理のレシピなどは商業ギルドで登録を申請し、商業の女神でもあるマリオン様にレシピを献上し認められると5年間はレシピに対して権利が認められます。
登録後5年間は登録者又は登録者に認められた者以外が使用する場合には使用料を支払う義務があります。勝手にレシピを使用し使用料の支払いを怠った場合は商業ギルドの会員剥奪及び、余りにも悪質な場合には女神様より天罰が下る場合も有るようです。」
気軽に使えば?と思って返事をしたつもりだったけど思っていたよりも大事だったことに焦るラグナだった。




