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初心者キャンパーの異世界転生 スキル[キャンプ]でなんとか生きていきます。  作者: 奈輝
学園入学まであと1年。

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悲しみの勘違いと高価なお詫び。

「どうしたんだ、ラグナ?急に涙なんか出して。」


ラグナは目の前に出された味噌汁と醤油の香りがするお肉を目にした時、諦めていた味との再会に涙が出ていた。


懐かしい。


「わかんない。なんか料理を見たら涙が出てきた。」


皆がじーっと顔を見てくるけど涙が止まらない。


「まぁ確かに……9歳のお前にはいろいろと過酷だったよな。」


「そうじゃのう。訳も分からずにロープで結ばれて街まで歩かされたからな。」


「特にラグナの事を虐めて楽しんでる奴も居たから。」


どうやら皆は連行された日々が辛くて涙が出たと勘違いしているみたい。


違う方からも涙する声が聞こえるので振り向くと支配人さんがまさかの涙を流していた。


「ブリット様よりお話は伺っておりましたが……9歳であのような仕打ちはさぞ辛かったことでしょう。」


支配人さんが涙を流しながらパンパンと手を叩く。


すると中から店員さんがグラスを1つと何かの飲み物が入っているボトルが運ばれてきた。


「ラグナ様には当宿からささやかなお詫びと致しまして旬の果実を厳選し作られた100%果実ジュースを送らせて頂きたいと思います。」


この世界で初めてみた。


100%果実ジュース。


果実水なら見たことあったんだけど。


やはりこの世界は現代日本と違って果実はとても貴重。


砂糖なども見たことが無いし。


果物が唯一の甘味なんだと思う。


グラスに注がれるジュース。


そして食事の前にはいつもの。


「今日の食事に感謝を。」


「「頂きます。」」


まずは果実ジュースを一口。


「美味しい!」


トロッとしていて桃のような甘みにリンゴの香り。


ただ甘いってだけじゃなくてのどごしがすっきりしてる。


「これはなんと言う果実を使っているのですか?」


そう質問すると支配人さんが不思議な果実を持ってきた。


「こちらの果実はリンモと言う名前になっております。初代勇者様が守護の女神サイオン様に願い、作られた果実と言い伝えられています。」


初代勇者って結構頻繁に女神様と会っていたんだろうか?


結構勇者の願いを叶えている気がするよ。


リンモと言う名前を聞いて驚くグイド。


「リンモってあのリンモか!?」


父さんだけが驚いている。


「なんじゃ、グイドは知っておるのか?」


ハルヒィさんも知らないみたいだ。


「俺がいた国では奇跡の果実と呼ばれていたさ。これを食べればどんな病も治る。この世のものとは思えない甘美な味だと。うちの国では輸入でしか手に入らなかったからそれ1個で大金貨1枚と言われていた幻の果実だ!」


果実1個に大金貨1枚……


つまり1000万円!?


「グイド様は知っておられましたか。確かに貴重で高価な物ではありますが、我が国ではその10分の1の金貨1枚で販売されております。まぁ買い占めなどが出来ぬように販売個数は限定されていますので転売などで儲ける人間が多々居るようで。それに非常に傷が付きやすく、痛みやすい果実なので輸送の面でも偉く手間が掛かるので他国では高額になるのでしょう。」


だとしても果実1個で金貨1枚。


このジュースのボトル1本で幾ら掛かっているんだ?


「ちなみにこのボトル1本で果実は幾つほど……」


恐る恐る聞いてみる。


「だいたいこのボトル1本で5個ほど使用しております。」


ボトル1本で金貨5枚分!


ラグナは値段を聞いたせいか手に持つグラスが微かに震えていた。


「ほ、本当に僕なんかが飲んでもいいのですか?」


駄目だ。


意識すればするほど手の震えが止まらない。


金貨5枚。


これ1本で500万円だぞ!


本当に飲んでいいのか!?


「この様な事態に巻き込まれてしまったラグナ様へのささやかなお詫びなのでどうぞお楽しみ下さい。」


どうぞお楽しみ下さいと言われたって……


金貨5枚か……


「それじゃあ儂等はご飯でも頂くとするか。」


そ、そうだった。


果実ジュースに気を取られたけど味噌汁!


それに醤油の香りのお肉!


いったんグラスを置いて先ずはお肉。


「旨いけど、なんか変わった味付けだな。」


「儂はこの味付けが好きだのぅ。」


「このソースはなんだろう?」


醤油?らしき味付けはみんな美味しく感じてるのか。


それじゃあ俺も一口。


「美味しいよ。」


あぁ、これは完全に醤油の味だ。


美味しい。


醤油だよ、醤油。


駄目だ、また涙が出てくる。


「また涙が出てるぞ。そんなに不安だったか?」


「違うよ!違うんだけど……なんかこのお肉を食べたら涙が出てきて……」


支配人さんが料理の説明をしてくれる。


「こちらのお肉の味付けに使われている調味料は醤油といい、こちらのスープには味噌という調味料が使われております。」


「醤油に味噌?聞いたことがないな。」


父さん達はみんな知らないみたいだ。


「こちらの調味料に関しては初代勇者様が魔王討伐の褒美にと女神様に願い製法を授けていただいたといい伝えられております。何でも勇者様の故郷の味だと言うことです。」


魔王討伐の褒美に調味料か。


確かにこの世界って辺境の村だとそのまんまの味か塩と胡椒くらいしか無いもんな。


この世界の食事はさぞ辛かっただろうに……


考えてみれば判らなくはないな。


俺も同じ立場だったら調味料はお願いしていたかも知れない。


9年間こっちの世界に居るけどスパイスのスキルに目覚めるまで本当に辛かった……






昨日の地震には驚きましたね。皆様は大丈夫でしたでしょうか?

私の被害と致しましては積みプラの一部崩壊&飾っていたWガンダムがフローリングに落下しアンテナとウィングが破損しました……

目が覚めたので続きを執筆。

最新話は明日9日の午前10時に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点]  リンモジュースのくだりで『お詫び』はおかしいと思う。エチゴヤの許可無く、してもいない事を勝手に謝罪したら問題になる。『お慰めに』とか『心尽くしに』とか言い方を変えた方がいい。
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