ここはどこ?あなた誰?
うーん……
目をあけるとそこは真っ白な空間だった。
ご飯食べてお昼寝して……
起きたらこんな状態。
周りを見回しても何もないただの白い空間。
白い空間?
まてよ。
この光景見たことがあるぞ。
ラグナは血の気が下がるのを感じた。
俺はもしかしたらまた死んだのか?
寝てる間に何かがあったのか?
いや、ちょっと前回とは違う。
手や身体がちゃんと見えてる。
身体を触るときちんと感触がある。
ならば何故?
なんでこの空間にまた居るんだ?
ふと何かの気配を後ろに感じた。
「お主は誰じゃ?どうしてここにおる?」
女の子の声がする。
ゆっくりと振り返る。
すると目の前には俺に向かって剣のようなものを突きつけようとしている女の子がいた。
「ちょっ。いきなり何するの!危ないじゃないか。」
いきなり剣を突きつけるとかなんなんだ?
「お主は誰じゃ?どうやってここにきた。まさか邪神の使いではないじゃろな!」
邪神の使い?
この子は何を言ってるんだ?
「邪神の使い?そんなん知るか!どうやって来たかだって?そんなん俺が知りたいわ!お腹いっぱいご飯食べて目が覚めたらこんなとこに居るんだから意味わかんないんだよ!」
「どうやら邪神の使いでは無さそうじゃ。使いにしては弱そうだしのぅ。ならばどうやってここに来たのじゃ?」
弱そうとか失礼な。
5歳児に何を求めてるんだよ、この子は。
「何も求めてなどいないのじゃ。」
ん?俺は今言葉に出してないよね?
「まぁ口で声は出しておらぬのぅ。」
ん?この状況って……
「もしかして君は創造神様の関係者?」
「創造神様を知っておるのか?お主何者じゃ?」
また敵意を向けてくる女の子。
「何者って言われても……創造神様に転生させて貰った人間?になるのかな。」
「転生神様ではなくて創造神様自ら行ったと言うのか?」
転生神様も居るのか。
「本当に何も知らぬようじゃの。今からお主の記憶を覗く。怪しい動きはするなよ。」
女の子が俺の頭に手をのせる。
やっぱり近くでよく見るとこの子可愛い。
そんな子が近くにいると思うとドキドキしてきてしまった……
「ふむふむ。記憶を覗いた限り嘘は申していないようじゃのう。」
「それで、ここはどこなの?」
「うーむ……お主達でいう天界?狭間?のようなものじゃ。」
天界?神様達の住む領域?
「天界って言う割に真っ白で何もない空間なんだね。」
「当たり前じゃ。ここは天界の入り口も入り口。奥にいかねば何もないただの空間じゃよ。」
「なんでこんな所に来たんだろう。死んだって訳じゃないよね?」
「普通なら死者だろうと人間はここには来れぬわ。たぶん主は創造神様と面識があったので何かしらの拍子にこっちに意識だけ来てしまったんじゃろうて。ちょっと待て。聞いてみよう。」
目の前にいる女の子が両手を組みお祈りを始めた。
すると女の子が金色に輝き始めた。
「……キレイだ。」
さっきまでは可愛らしい女の子だと思ってたんだけど。
今の姿はまるでおとぎ話に出てくるような女神様のようだ。
輝きが収まり女の子が顔を真っ赤にしてこっちを睨めつけていた。
「さっきから雑念ばっかり送りよって!創造神様に笑われてしもうたではないか!」
素直にそう思っただけなんだが……
「だからそれをやめいと言っておろうが!恥ずかしい。」
「そんなに照れることないじゃないか。」
「ふぁふぁふぁ。」
後ろから笑い声が聞こえてきた。
驚いて振り向くと懐かしいダンディーなお爺さんの姿がそこにはあった。
「お久しぶりです。」
「あぁ、久し振りじゃのぅ。ちょくちょく見させては貰っておるがな。」
「特に面白いことは無いと思いますが……それで俺はどうしてここに居るんでしょうか?」
「ふむ。正直に言うとよくわからんのじゃ。何かしらの力の痕跡はあるんじゃがのぅ。」
「創造神様でもなんでこやつがここに来たのがわからんので?」
「うーむ。これは外部からかのぅ。どこかの人間の国が何かしらやろうとしたのか、やったのかわからんが。」
外部?人の国?
「なに。たまーにあるのじゃよ。神々の力を自分達にと考える輩はのぅ。」
「これだから人間は欲深いのじゃ。」
「なんかすみません。」
どこの国かはわからないけど神様達にちょっかいを掛けようとしている馬鹿がいるってこと?
「ちょっかいだけならいいんじゃがなぁ。操ろうと躍起になっているのもいるのじゃ。」
神様を操るとかなんて罰当たりな奴らだ。
「まぁお主も気をつけるのじゃよ?色々と珍しいスキルに目覚めているようじゃしのぅ。」
「あのスキルは創造神様がつけてくれたのですよね?」
ニヤリと笑う創造神様。
「それはどうかのぅ。まぁ2度目の人生じゃ。精一杯楽しむのじゃよ!」
はぐらかされてる気がする。
「それじゃあ元の居場所に戻すとするかのぅ。こっちに長時間いるのも人の身には良くないからな。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
「それじゃあ、さよならなのじゃ。」
「君もいろいろとありがとう。またね。」
「またね、とな。そうじゃのう。またね。」
女の子が満面の笑みでこっちを見てくれた。
きっと名前を聞いても教えては貰えないんだろう。
俺の周囲が輝き始めた。
「お主、特別じゃ!これを持っておれ。無くすではないぞ!」
女の子が赤く輝く石を投げてきた。
「ありがとう!大切にするよ!」
そして俺は光に包まれた。
「う………ん。」
「起きた?よく寝てたわね。」
あれ?さっきのは夢?
「長い夢を見ていたみたい。」
起きあがる。
外は暗くなっている。
「いっぱい寝ちゃったみたいだね。父さんとハルヒィさんは?」
母さんが指を指す。
その先には酔いつぶれてダウンしている2人の姿が。
「酔いつぶれちゃったんだね。母さんは大丈夫?」
「大丈夫よ~。それじゃあお片付けしてくるわね。」
「僕も手伝うよ!」
立ち上がると何かが落ちた音がした。
床を見るとそこには赤い綺麗な石が落ちていた。
「夢じゃなかったのか。」
ラグナは赤い石をポケットにしまうと母さんの手伝いに向かうのであった。




