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憧れと現実と


『ゴースト!?こんな所に?』


「いや、ルーがゴーストって思ってるのは貴女の事ですからね?」


リオの声を聞いて更に血の気が引いていく女性陣達。


『あたし?こんな超絶美少女の私がゴースト?あっ、繋がったかも』


そう言うと、リオのゴーレムボディがガタガタガタと再び激しく震え始める。


「いやぁぁぁぁぁ!」


「うわぁぁぁぁぁ!」


これには女性陣だけでなくウィリアムやテオですら恐怖で後ずさる中、シャールだけはその場に留まっていた。


「シャ、シャール?あんたは平気なんか?」


「‥…。」


「シャール……?」


ルーが恐る恐る声を掛けるが、シャールからの返事はない。


「も~、本当に失礼なんだからぁ!人のことをみて気絶とか酷すぎるよ~!」


ゆっくりと上半身が起き上がったリオがそう呟きながら少年少女の方を見る。


首が180度回転して……


バタッ。


恐怖の限界を迎えたルーは意識を失う。


地面へと倒れそうなルーを支えるセシルの手も恐怖で震えていた。


そしてミレーヌは目を見開き、口元を手で抑えながら恐怖でカタカタと震えている。


ウィリアムとテオにいたっては完全にリオをゴーストか何かの魔物ではないかと疑い、戦闘態勢に。


更にラグナの側にいたフィオナですらスッとラグナの服を掴んでいた。


「みんなして本当に失礼だなぁ!本当にゴーストなんかじゃないって!」


再び首がぐるんと回り正面を向く。


ちなみにこれで360度回転した事になった。


恐怖で言葉を発することが出来ない子供達。


「ゴ、ゴーストじゃないなら何なのだお前は!く、首が一回転したぞ!人間であるはずが無いだろう!」


あのフィオナですら微かに震えながら目の前の少女に声をあげる!


フィオナの叫び声で再起動したルーは目の前でプンプンと怒っている少女を見てヒィッと小さく声をあげて再び意識を失いかけたが、セシルが必死にルーの身体を揺するので意識を飛ばすことは出来なかった。

 

「確かにこの身体は人間じゃないけどさぁ!でも……」


「「やっぱり人間じゃなかった!!」」


魔力がスッカラカンのフィオナはラグナの後ろにスッと隠れる。



ウィリアムとテオは勇気を振り絞って女性陣の前に立つ。


シャールは……未だに立ったまま気を失っている。


「話は最後まで聞かなきゃ駄目って教わってない~?あっ……ごめんね。そこにいる教師じゃそんな教育している訳ないかぁ!」


「なっ!?」


再びリオに挑発されカッとなるフィオナだったが、未だに魔力は空な上に既に恐怖でしかない存在に言い返す余裕は無かった。


「なぁ、ラグナ。ゴーストでも無ければ人間でも無いこの少女はいったい何なんだ?」


ウィリアムは恐怖の中、リオに警戒しながらもラグナにそう訊ねる。


何なんだと聞かれても答えに困るラグナ。


「それは……」


自分の口からは何と説明していいのか。


『だから本当に面倒な事になるから連れて行きたく無かったんだよ!』


と内心思いながら、ラグナはキッとリオを睨む。


「にゃはっ☆」


目があったリオはパチンとウィンクすると


「そんなに見つめちゃ嫌よ?」


と頬を赤らめながら身体をクネクネさせる。


再びイラッときたラグナはリオに近寄ると頭をガシッと掴む。


「いだだだだだ!割れる!いろいろ出ちゃう!」


「だから貴女を連れて行くのは嫌だったんですよ!自分で説明して下さいよ!俺は知りません!」


そう言うとぱっと手を離して近くの椅子に座るラグナ。


あたたたたと頭を抑えながらリオは立ち上がると、ゴホンと咳払いをする。


「聞いて驚くがよい!ある時は声のお姉さん!またある時は謎の美少女!そしてその正体は……賢者リオとは私の事だ!キラ☆」


「「……」」


無言の空間が辺りを支配する。


みんながこいつ何を言っているんだ?という表情をしていた(シャール以外)


「はぁ……一応聞いておく。ラグナ、この頭のイかれた奴の戯れ言は事実ではないだろう?」


フィオナがそうラグナに訊ねるとラグナは首を振る。


「残念ながら、コレが言っていた事は本当なんですよ……コレがあの初代勇者パーティーの一員である賢者リオ本人なんです……」


ラグナは深いため息と共に事実を伝える。


呆然とする仲間達。


「ちょっと待て。本人だと?初代勇者がいた時代から何年経ってると思ってる!例えエルフだとしても、とっくに寿命を迎えているだろ!?」


「まぁいろいろあるんだよ~。だ~か~ら~この身体って訳なんだよ。この身体は外を出歩くための身体。本当の身体は別の所にあるのさぁ~。」


リオからの暴露の連続に、ラグナ以外の皆の理解はすでに限界を超えていた。


シーンと静まり返る中、ガチャリと扉が開き入ってきたのはサイだった。


そして発した第一声が、


「賢者リオ様、ようこそ我がエチゴヤ商会へ。みんなも挨拶は済ませたかな?」


というサイの対応によってより一層混乱を招いたのだった。


「ほ、本当に賢者リオ様で……?」


流石のミレーヌも兄が賢者リオ様と呼んだ事に驚き、恐る恐るそう質問した。


「だからさっきから言ってるじゃ~ん!私が賢者リオだって~。何でみんな疑うかな~?」



「そりゃ疑うだろう……初代勇者が生きていた時代からどれだけ時間が経過していると思ってるんだ。本当にお前があの賢者リオなのか……」


フィオナが小さい頃読んだ勇者パーティーの冒険記。


その中の登場人物で一番好きだったのが賢者リオだった。


皆を支える後方支援のスペシャリスト。


様々な戦闘用の魔道具から生活に便利な魔道具まで、様々な魔道具を開発していった。


魔王討伐後はシーカリオンを建国し、最先端の技術で国を栄えさせた伝説の女性。


フィオナは改めて賢者リオの顔を見るといろいろな気持ちが混ざり合った深いため息をつくのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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