表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
391/438

さすがに我慢の限界です。(肉壁)



「先生が手も足も出なかった……?」


セシルが驚愕の出来事を目の当たりにして言葉を発する。


「ぐっ……」


膝を着いたままのフィオナは体内の魔力を失った事により、魔力欠乏症に襲われていた。


そんなフィオナに対してミレーヌはいつの間にか用意したのか魔力回復ポーションをスッと手渡す。


フィオナはまるで酒の一気飲みのように魔力回復ポーションをぐびぐびと飲む。


「ふぅ……ミレーヌ、助かった」


ミレーヌに対してフィオナは礼を伝えると、僅かに回復した魔力を使って身体強化魔法を発動。


そして先ほど飲み干した空の容器を思いっきり投げつける。


もちろんリオ(肉壁ラグナ)に向かって全力で。


「ひぃっ!?」


ガッチリホールドされ身動きが取れない状態のラグナ目掛けて飛んでくる容器に、思わず声をあげてしまう。


ラグナは恐怖で目をぎゅっと閉じて、来るであろう痛みを待ち構えたのだが……


パシッ


物凄い速度で飛んできたそれをリオは人間離れした反射神経で楽々とキャッチする。


「なっ!?」



あまりにも楽々とキャッチされたので驚くフィオナだったが、ゴーレムボディのリオにとっては簡単な事だった。


「悪足掻きだねぇ!無駄だよ、無駄無駄!」


ギャハハと嗤うリオに対して肉壁の如く扱われた彼はこれ以上の暴挙を許すことなんて出来なかった。


「およっ?」 


ガッチリとホールドしていたはずの腕が、少しずつ動いている。


いくら力を込めてもラグナによってゆっくりと解かれていく。


「こ、こら!お姉さんの所で大人しく!」


ググッと両腕が持ち上げられる。


そしてゆっくりとラグナがリオの方へと振り向く。


無表情のラグナと目が合うとリオはぼそりと一言。


「ポッ……優しくしてね?」


ラグナは無言でリオの頭を握るとメリメリという音共にそのまま持ち上げていく。


「あだだだだだだだ!ちょっ!ちょっタンマ!このボディ痛覚あるから!あだだだ!」


リオはゴーレムボディに味覚や痛覚、触覚を再現するべくいろいろと実験している最中だった。


久々に感じる痛みという感覚を味わうことが出来たので一瞬だけ喜びかけたものの、ラグナはどうせゴーレムボディだからと遠慮なく力を込めていた為、喜びを通り越して生命の危機を感じていた。


「割れる!割れちゃう!あだぁぁぁぁぁ!」 


ラグナはアイアンクローのままリオを持ち上げる。


唖然とその光景を見ていた男連中は咄嗟に視線をそらした。


リオはワンピースタイプの服装だったのでラグナに持ち上げられた結果、逆立ちの様な状態になってしまい……


淑女としていろいろと見せてはいけない格好のままもがき苦しんでいた。


その姿を見て爆笑するフィオナ。


このままでは本気で破壊されるかもと思ったリオはラグナの腕から魔力を吸収し始めるのだが……


ラグナは逆にリオの身体にガンガンと魔力を流し込んでいく。


「あっ!ちょっ!優しく!そんないきなり!あぁぁぁぁぁ!だめぇぇぇぇぇ!」


ラグナにガシッと掴まれている顔が一気に赤く染めあがっていく。


その声色と姿を見た元生徒達は思わず赤面し、先ほどまで爆笑していたフィオナは完全に引いた視線をリオに送っていた。


リオはそのままガクガクと痙攣し、しばらくして全身の力が抜けたように手足がだらーんとした。


ラグナはそれを確認した後、ゆっくりと持ち上げるのを止めてそのまま床にぺたりと寝かせたのだった。


白目を剥いて一切動かなくなった少女を見て慌てる子供達。


女性陣(フィオナ以外)の動きは素早かった。


床にポイッとされた謎の少女のもとへ駆け寄るとすぐに介抱したのだが……

 

「息!息してへんで!」


まさかの展開にパニック状態のルー。


すぐに駆け寄った女性陣とは対称に男連中はあわあわとすることしか出来なかった。


緊急時とはいえ、未婚だと思われる女性の身体にふれる事に対して葛藤があったからだ。


みんなが慌てている中、ラグナだけは腕を組んで怒ってますというオーラ全開だった。


フィリスは今だ魔力欠乏症から回復していない状態ではあるが、何とかラグナのもとへと足を進めると一言。


「ヤッたのか?」


リオからの一言に首を振るラグナ。


「この人はこんなんじゃ死にませんよ。みんなも騙されないで。そのまま放置して大丈夫だから」

 

『も~!か弱き乙女に対して酷いんだから!お姉さんには優しくしなきゃ駄目って教わらなかったの?それにあんな姿をみんなの前で公開プレイするなんて……責任取ってよね!』


元生徒達は恐る恐る視線を未だ意識なく倒れたままの少女へと向けたのだが、少女は未だに白目のままピクリとも動いていない。


「だから貴女をここに連れてくるのは嫌だったんだよ。絶対に問題を起こすって最初からわかってたんだから」


『なにさ、なにさ!私は何も悪くないじゃん!バカって言ったヤツがいけないんですぅ~』


「「ひぃっ!?」」


一生懸命リオの意識を取り戻そうとしていた女性陣はあまりの恐怖に尻餅を着きながら後ずさる。


それはそうだろう。


未だに少女は白目のまま意識が戻っていない。


それなのにどこからともなく声だけは聞こえる。


そこから導き出された答えは


「ゴ、ゴーストやぁぁぁぁ!!」


というルーの叫び声と共に少女達の叫びが部屋に響いたのだった。





今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ