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やっぱり思っていた通りの展開


「「だ、誰よ、その女!」」


ラグナと一緒に入って来た女性の存在には気が付いていたものの、スッと壁側で控えていたので従者かなにかだと思い触れずにいたのだが……


「あ~……この人の事は気にしないで。病気みたいなものだから」


と後ろから抱き付いてきた存在の腕を振り解こうとするが、


「絶対に離すもんかぁぁぁ!」


と言いながら更に力を込めるのだった。


「まじでそろそろ離れようか。」


「や!」


「子供のふりなんてするな!」


「い~や!」


リオが駄々をこねればこねるほど目の前にいる仲間達の視線が冷たくなる。


ミレーヌの口元は微笑んでいるように見えるが、明らかに目は笑っていない。


女性陣が絶対零度の視線を向ける中、ウィリアムだけは何かをずっと考えていた。


『この声、どこかで……』


「そろそろマジでいい加減に!」


「い~や~だぁぁぁ」


リオの叫び声を聞いたウィリアムはやっと思い出す事が出来た。


「あっ。やっと思い出した。この声ってクラス入れ替え試験の時とか、闘技場での試合の時に聞いた声に似てないか?」


リオといがみ合っていた女性陣もウィリアムの話を聞いて一時停止する。


「たしかに思い返してみれば聞き覚えのある声ね」


その反応を見てフィオナも静かに頷く。


「確かにこのバカっぽい声は学園で聞いた気がするな」 


フィオナがバカっぽいという言葉を使ったのでリオはほっぺを膨らませながら反論する。


「バカって何さ!よく人の悪口なんて言えるよね~。自分の教え子に手を出した存在のくせにさぁ?」


目の前にいる女の子がまさかフィオナに文句を言うとは思っていなかった元生徒達の動きは素早かった。


リオとフィオナからさっと距離を取り傍観に徹する。


「なっ!?て、手を出してなんていないぞ!?」


リオからの口撃に若干慌てながらも反論するフィオナ。


「そうなの~?なら魅力ないんじゃないかな~?今はそんなちんちくりんだけど中身は一回り以上年上でしょ?ロリババァって奴じゃん!年の差考えた方がいいんじゃない?」


リオからの暴言の数々に自然と身体が熱くなる。


人生においてここまで罵倒された事があっただろうか?


否。


少なくともここ数年は罵倒する側であり、決して罵倒される側になることなんてなかった。


「……私を舐めるなよ?」


ラグナが本気でやばいと思い慌ててリオを止めようとするのだが、


「舐める?ばっちぃ~から舐める訳ないじゃーん!」


さらに煽るリオにフィオナの我慢も限界だった。


怒りによって膨大な魔力が身体漏れ出ているのか、赤いオーラの様なものがフィオナの身体を包み込んでいた。


その状況下で一番慌てるのはラグナだった。


現在進行形でリオにがっちりホールドされたままなので、完全に肉壁状態である。


「ちょ、待って!マジで!それはダメだって!ここエチゴヤ!周りに被害が出るから!」


本気でフィオナに叫ぶラグナだったが、完全にブチ切れている彼女には何を言っても無駄だった。


なお、ブチ切れたフィオナの姿を見たシャールにいたっては、トラウマでも思い出したのか必死に髪の毛を守っている。


「なに。お前ならば大丈夫だ。だから後ろにいるゴミ諸共燃えてしまえ!」


そう叫ぶと更に魔力が高まり、室内の温度が一気に上昇する。


「マジでやばいって!本気だって!リオ!早く!早く謝って!マジでこのままじゃ洒落になんないから!」


ラグナからの必死な叫びを聞いたリオはにゃははは~と笑い声をあげながら


「何をそんなに慌ててるのさ~?この程度の技量じゃ全然よゆーよ!」


と言いながらラグナの頭を笑顔でポンポンと叩くのだった。


「上等だコラァ!死ねや!」


本来ならば室内で使ってはいけないであろう魔法を発動しようとしたフィオナに向けてリオは手のひらを向けると、


「その魔力ゲットだぜ!」


と叫んだのだった。


リオが叫んだ直後、フィオナが発動しようとした魔力の塊と身体の周囲を纏っていた魔力がグングンと手のひらへと吸い込まれていく。


「な……なんだこれは!?」


フィオナが慌てて自身の身体に纏っている魔力をコントロールしようとするのだが、全く制御する事が出来ずにいた。


魔力をコントロールしようとすればするほど身体の中から魔力が抜けていく。


「にゃはは~。この程度じゃ私の相手にもならないよ~?ほらほら!もっと頑張ってよ!」


「ぐっ!!バカにするなぁぁぁぁぁ!」


リオが煽る度にフィオナの身体から魔力が失われていく。


そして魔力がほとんど失われたのか、フィオナはその場に崩れ落ちて膝をつく。


「な、何が起きたんだ?」


「わ、わからないわ」


そんな光景を見ていた元生徒達は目の前で起きた出来事を理解できず、ただ呆然と見ている事しか出来なかったのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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