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いざ王城へ

先ほどの殺伐とした雰囲気はどこにいったのか。


それほどまでに空気が一変した。


国境門をくぐり抜け、エチゴヤの馬車はシーカリオンへと無事に入国する事が出来た。


入国時の審査もほとんど無し。


門をくぐり抜けると、兵士とみられる集団がエチゴヤ商会の到着を出迎えていたのだった。


そしてエイミーさんに何かを伝えると、サイさんが乗る馬車の中へ。


しばらくして、素顔を隠したサイさんが馬車の中から出て来たと思ったら2台目の馬車へと乗り込んでしまった。


エイミーさんはサイさんが乗り込んだのを確認した後、こちらへと歩いて来たのだった。


「とりあえずあなた達はこのまま馬車について行って。ラグナ君はアタシと一緒に王城に行くわよ♪」


とガシッと腕を組まれてしまった。


ブリットさんとミレーヌさんを乗せた馬車はこのままエチゴヤ商会へ。


元クラスメート達もそのままエチゴヤ商会へと向かうことに。


フィリスもこちらへとついて行きたそうにしていたのだが、エイミーから代表をお願いと言われてしまっては断ることなど出来ないのだった。


「また後で会いに行くよ!」


とだけ伝え、俺はエイミーさんと共にサイさんが乗る馬車へ。


ブリットさんが乗っている馬車には新たに護衛の人が乗り込んでいた。


「さぁてと、それじゃあ行きましょっか」


「はい。よろしくお願いします」


俺とエイミーさんの向かいにはサイさんが1人で座っている。


「ラグナ君。本当に助かったよ。あのタイミングで君と出会えていなかったら父上は死んでいたから。ありがとう」


とサイさんが頭を下げてきた。


「アタシからも。代表を助けてくれてありがとう」


エイミーさんも目をウルっとさせながらもサイさんと一緒に頭を下げる。


「いえ……その……頭を上げて下さい。本当にたまたまあの薬を持っていただけですから」


精霊樹から貰った雫を持っていた事すら自分では思い出せなかったほど。


あの時教えてくれた声の主は誰だったのだろうか?


どんな声だったか、思い出そうにも何故か不思議と思い出すことが出来なかった。


そんな俺に対して二人は頭を上げると、サイさんが話し始める。


「しかし……ラグナ君が持っていたあの薬は何なんだい?僕があの場で用意出来た中で最上級の回復薬ですら父上を治す事は出来なかったのに」


「あれは、精霊樹の雫って名前の液体で……どうしました?」



俺が精霊樹の雫の事を説明しようとしたら、サイさんとエイミーさんは口をあんぐりと開けていたのだった。


「ちょ、ちょっと!!それ本当なのかい!?」


「精霊樹の雫ですか?」


そこまで驚くような物なのか?


確かに貴重ではあると思うけど。


「ラグナ君。君は理解していない顔をしているけど、父上に使ってくれた精霊樹の雫というのはね。欲しいと思っていても手に入ることは出来ない伝説の回復薬なんだよ。いくらお金を積まれようが手に入れる事はほぼ不可能。エルフですら欲しいと思っていても、おいそれと手に入れる事は出来ない品物なんだよ」


サイさんが顔色を悪くしながら説明をしてくれる。


確かに貴重と言われれば貴重だとは思うけど……


「それでもブリットさんの命の方が大事です。だから俺はブリットさんに精霊樹の雫を使っただけです」


それに精霊樹の雫なら魔力を対価に頼んだらまた貰えそうな気がするし……


「はぁ……君って人は……僕はいったいどれだけの借りを君に作ればいいんだろう。このままだと借りが大きすぎて破産してしまいそうだよ」


「借りだなんてそんな……僕の方こそエチゴヤの皆さんにはお世話になりっぱなしなので、本当に気にしないでください!」


サイさんはそれでも納得していないのか考え込んでしまったのだが、すぐに馬車が停止した。


サイさんは再び素顔を隠すと、


「とりあえずこの件はまた後で。それじゃあ行こうか」


馬車が停止した場所は王城の正面では無かったらしい。


裏口というか物資の搬入口のような場所なのだった。





今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

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