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初心者キャンパーの異世界転生 スキル[キャンプ]でなんとか生きていきます。  作者: 奈輝
目覚めの産声はこっそりと。

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年末最後の訓練とあの時のやり残し。

今日は12月30日。 


備長炭召喚事件から3週間。


あの時に降り積もった雪は一週間ほど残っていた。


大雪による死者は0。


だけど雪の重みによる家屋の倒壊が3軒あったらしい。


倒壊した3軒は空き家だったらしく、空き家まで雪下ろしの手が回らなくなり後回しにした結果倒壊してしまったようだ。


ハルヒィさんがその事に対して愚痴ってたけど……


「倒壊した家、俺が今住んでる家よりも立派だったんだよ……倒壊するくらいなら本気で欲しかったわ。」


なかなかに愚痴っていたけど村長さんといろいろやり取りが合ったらしく、門番の仕事が休みで手が合いてる日は俺に稽古を付けてくれるようになった。


「グチグチ言ってよそ見してるのに全然当たらない!」


「そりゃそうだ。こちとら訳ありで冒険者やってたんだからな。そう簡単には当たらんよ。」


ちなみにハルヒィさんにはスキルの件は話をしてある。


スキルについて話して、実際に目の前で召喚した後にハルヒィさんは真面目な顔をして言ったセリフが本当に忘れられない。


「ラグナ、まじでこのままだとお前死ぬぞ?」


ハルヒィさんの顔が本気だった。


ハルヒィさんはその日以来ちょくちょくうちに来ては稽古を付けてくれる。


まぁ稽古をしてくれた日は家で晩御飯を食べる様にもなったけど……


スパイスを使った料理を母さんがハルヒィさんに振る舞った日。


「なんだこの味は!美味い……このピリッとした香辛料が肉にとても合う……」


涙を流しながら食べるおじさん(ハルヒィさん)


父さんはその姿を見て爆笑していたけど。


流石に晩御飯をタダで食べるわけにはいかないとハルヒィさんは食材を律儀に持ち込んで来てくれる。


父さんが魔物を狩りに行っている間はハルヒィさん。


門番の仕事をしている時は父さん。


2人の手が空いてないときは村長さん。


3人の師匠が俺には出来た。


今日はハルヒィさんと稽古の日。


ハルヒィさんは主に体術をメインで教えてくれる。


「相手の動きをよく見ろ。ほら、手足の動きだけに捕らわれるな!」


「子供相手に少しは遠慮とか無いの!そこだ!」


「甘い!今の動きは罠だ。」


隙があると思って踏み込んだらどうやら罠だったらしい。


簡単に転がされた。


まぁ元々5歳だもん。


簡単に転がるさ。


大の字で空を見上げる俺。


「今日はこの辺で終わりにしとくか。」


時間は丁度昼前。


「ご飯を食べたら午後から?」


「いや。今日は終わりにするよ。」


いつもなら午後も稽古があるんだけど。


「どうしてって顔するなよ。今日は何日だか忘れたのか?」


今日は何日?


「今日は12月30日。あぁ!年末か!」


「年末だからな。今日はもう終わりだ。」


「今日もありがとうございました。」


ハルヒィさんが手を掴んで大の字で寝ていた俺を起こしてくれた。


「今日は帰ったら掃除を終わらせなきゃな。」


「ハルヒィさんまだ掃除終わって無かったの?」


「独り身だからな。どうしても家事が苦手でよ。」


男の独り身かぁ。前世では一人暮らし計画もしてたけど結局それが実行出来る前に終わっちゃったからな。


まぁきっと一人暮らししてたらキャンプ飯ばっかり作ってたんだろうなぁ。


メスティンでご飯を炊いてスキレットでベーコンと目玉焼き。


鉄板で肉を焼いたらそのうえにほり○しを振りかけて……


ぐぅー。


「お腹すいて来ちゃった。」


「動いたからなぁ。いっぱい食っていっぱい動いて沢山寝て大きくなれよ!」


「ハルヒィさんって見た目と違って子供好きだよね!」


「見た目と違ってってなんだよ!どう見たって優しいお兄さんだろう。」


見た目は完全におじさんなんだよなぁ。


「そうだね。ごめん。優しいお兄さん(おじさん)。はやくお嫁さんが見つかるといいね!」


「うるさいわ!」


パシン。


「あいたっ!」


ハルヒィさんに頭を叩かれてしまった。


そんなこんなで家に到着。


家に到着すると既に父さんが帰宅していた。


「ただいまー!」


「じゃまするぞー。」


「お帰りなさい。ハルヒィもありがとね。ご飯食べていくでしょ?」


「あぁ。今日もよろしく頼む。」


「2人ともお疲れさん。」


「今日は何時もより終わるの早かったな。どうだった?」


確かに何時もより父さんが帰ってくるの早いな。


冬だし魔物が少ないのかな?


「今日かぁ。今日はあれだな。」


「あれって?」


「たまたまワイルドボアの群れが近くまで降りてきてて爺さんたちと一網打尽にしてきたとこよ。6頭仕留めたから持って帰るのが大変だったぜ。」


ワイルドボアって誕生日の時に食べたやつか!


「ワイルドボアが出るのも珍しいのに6頭も居たのか。大丈夫だったか?」


「あぁ。誰一人怪我することなく仕留められたわ。」


「ワイルドボアのお肉ってある……?」


ラグナは誕生日の時に食べたあの肉の味を思い出していた。


スパイス召喚が出来るようになったきっかけの味。


スパイスを振りかけて食べることが叶わなかった食材。


それが今日手に入るかもしれない。


あの肉汁たっぷりのお肉。


それを備長炭で炭火焼き。


そして焼けた肉の上にアウトドアスパイスほり○し。


あぁ。早く食べたい。


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