表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
375/438

強行突破

「何時まで待てばいいんだよぉ……」 



「ヒノハバラへの納品の期限がこのままだと……」


兵士達が睨みを利かせているので強くは言えないものの、商人達の不満は募っていく。


そして……そんな時、ギィィという激しい軋み音と共にシーカリオンの国境門が徐々に閉まっていく。


「おい!どうなってるんだよ!何で門が閉まるんだ!」


「嘘だろ!?このままじゃ破産しちまう!閉めないでくれ!」


入国待ちや出国待ちをしていた人々にとっては致命的な動きだった。


国境門が閉じられる。


つまり、再び開かれるまでは入出国が出来ないという意味だから。


荷を運ぼうとしていた商人にとっては特に絶望的だった。


納入期限があるものや、日持ちがあまり良くない物を運んでいた商人達は皆青ざめた表情でその場に崩れ落ちる。


本当にこのままでは破産してしまうと。


そんな時だった。


一部の商人達が暴徒化し、無理やり出国しようと国境門へと駆けだす。


しかし、門を守る兵士達に行く手を阻まれるのだった。


「行かせてくれ!俺は大事な商品を運べないで潰れてしまいたくないんだ!」


「頼むよ!店が潰れちまう!」


情に訴えながらも強引に突き進み、門を強行突破しようとする。


「駄目だ!今は我々の指示に大人しく従うんだ!!」


「じゃあ、何でこっちの国境門を閉める必要があるんだよ!」


「「そうだ、そうだ!」」


商人達は声を揃えて再び兵士達に罵声を浴びせ始める。


「国からの指示だ!従わない者はどうなるか覚悟しろ!こちらとて万が一に備えねばならんのだ!!」


と、兵士達は剣を抜き放ち……商人達へと牽制する。


「万が一って何だよ!ちゃんとハッキリと言えよ!!」


商人達は更に怒りを露わにして、兵士達に罵声を浴びせる。


「仕方ないだろう!向こうの門が閉じられたのだ!こちらとて警戒せぬわけにはいかぬのだ!」


商人や兵士が言い争っている中、



『こっちの国境門まで閉じられたら出るのが大変になるし、ある程度なら食料も収納してあるから……よし』


ラグナは強行突破を決意する。


「頼むからヒノハバラに!」


「駄目だ!何があったのかわからないんだ!」


兵士が商人を取り押さえた瞬間、


「あっ、コラッ!」


少年が今にも駆け出そうとしている姿が目に入った。


「誰かその少年を止めろ!」


兵士達がラグナを捕まえようと手を伸ばし、


『捕まえた!』


と服に手をかけたと思い手を握ったのだが、布を掴んだ感覚が無かった。


「えっ……!?」


目の前にいたと思っていた少年は、一瞬のうちに閉まりつつある国境門の付近まで移動していた。


「うっ……嘘だろ」


あまりにも有り得ない状況に兵士達は戸惑いを隠しきれなかった。


そんな事には構わず、ラグナは無理やり出国しようとしている商人達の頭上を物凄い速度で飛び越えていく。


そして完全に国境門が閉じきる前に外へと飛び出すことに成功したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ