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新しき学園長とは

フィリスが圧縮された炎の塊を魔法師達がいる方へとまるでボールを投げるような動作で投げつける。


「く、来るぞ!!」


圧縮された炎の塊が魔法師達の方へと勢い良く飛んでいく。


魔法師達は自分達の魔力障壁に対してなんとか耐えてくれと祈るほか無かった。


フィリスから放たれたエクスプロージョンは目の前まで迫っていた。


そして……


魔力障壁と衝突する直前、


「バカ正直にまっすぐ飛ばす訳がないだろぅ?」


とフィリスが兵士達を嘲笑う。


エクスプロージョンは直前で直角に軌道を変えると魔法師達の真上へと向かって飛んでいく。


シャールの父親を含めて魔法師達は強度をあげる為に正面にしか魔法障壁を展開していなかった。


魔法障壁に真っ直ぐ向かってくると兵士達は信じて疑わなかったのだ。


まさか自在に魔法を曲げられるとは考えてもいなかった。


そして魔法師達の頭上でピタリと止まったエクスプロージョンは急激に圧縮されていくと、轟音と共に爆発した。


ドッカーーーーーーーーーーン!!!



熱を帯びた爆風がシャールの父を含めた兵士達へと襲い掛かる。


強烈な爆風を頭上から受けた兵士達はものの見事に十数メートルは吹き飛ばされており、ほぼ全ての兵士達が意識を失い地面に倒れ込んでいた。


爆発によって発生した土煙が薄くなり始めた頃、シャールの父親は自身の護衛が決死の覚悟で盾を構え頭上から襲い掛かる爆風から護ってくれたお陰で何とかそこまで酷い負傷をすることなく済んでいた。


それでも体のあちこちには細かい切り傷があったり、あれだけ派手だった鎧ですら無惨にもボロボロになっているのだが。


辺りを見渡すと先ほどまでいた兵士達も爆発に巻き込まれ殆どが地面に倒れていた。


「む……娘ですら化け物か……」


フィリスが、シャールの父親の意識を刈り取る為に魔法を発動するとニヤリと笑う。


その笑顔に恐怖するシャールの父。


「ま、待て……み、見なかった事にしてやる!だから止めるんだ!」


とシャールの父親がそう言うのだが……


「ハッ」


と鼻で笑い巨大なファイヤーボールを発動させると、シャールの父親に向けて投げつける。


見た目だけは大きいが、大した威力もない本当に見せ掛けの魔法。


恐怖と直撃時の衝撃で意識を刈り取るつもりだったのだが……


「や、やめろぉぉぉぉ!」


恐怖に全身を丸めてうずくまるシャールの父。


しかし……


一向に衝突の衝撃が来ない。


恐る恐る目を開けると、自身が魔法障壁で守らている事に気が付く。


カツ、カツ、カツ……


やたらと響く靴の音。


もしもラグナがいたらこう言うだろう。


『なんでこの世界にハイヒールがあるんだよ!』と。


「騒がしいわね。どうしたのかしら?」


スラッとした20代半ばほどの長身の女性が腕を組ながらこちらに向かって歩いてくる。


「が、学園長!!」


シャールの父はその女性を見ると学園長と叫んだ。


「……学園長だと?」


フィリスをジッと見つめる学園長と呼ばれた女性。


「……お前たち。何時でも逃げる準備をしておけ。」


フィリスが生徒達に小さい声でそう呟く。


「……えっ?」


いつも強気なフィリスが発したとは思えない言葉だが……


フィリスの雰囲気からただ事ではないと悟る事が出来た。


「ふぅん。あなた達がそうなの。『人間』にしては鍛えているわね。」


「エクスプローーージョン!!」


フィリスは詠唱を短縮したとはいえ、かなりの魔力を注ぎ学園長と呼ばれた女性に向けて投げつけた。


「……話に聞いていたほどでは無かったわね」


と、迫り来る炎の塊を見てもそう呟くだけ。


フィリスはすぐに生徒達に叫ぶ。


「逃げろ!!」


フィリスの叫びと共に走り出す子供達。


「逃がすと思うのかしら?」


と言いながら自身へと迫り来る炎の塊を手でなぎ払う動作をすると、


バチィィッ!


魔力障壁が展開し爆炎魔法がいとも簡単になぎ払われてしまったのだった。


勝ち誇った顔をする学園長と呼ばれた女性に向かってフィリスは忠告する。


「誰が一つだけと言ったんだ?」


と上空を指差すと、いつから待機していたのか気が付くまもなく女性へと爆炎と爆風が襲い掛かるのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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