フィリス、着火する。
フィリスに挑発された事によって魔法師達は魔法の詠唱を始め、兵士達は剣を構える。
「「「ファイヤーボール!!」」」
先ほどよりも魔力が込められたファイヤーボールがフィリスの元へと殺到する。
そして剣を構えた兵士達が突撃しようとした所で……
その兵士達に向けて強烈な殺気が襲いかかり、その足を止めてしまう。
ズドドドドーーン!!
そして着弾する数多のファイヤーボール。
「殺ったか!?」
シャールの父がそう叫ぶと、
「私とヤるという事で良いんだな?」
という声が聞こえてきた。
「なっ……」
土煙が徐々に薄くなるにつれて、赤い魔力がゆらゆらと可視化し少女を包み込んでいた。
「ば、ばかな……」
ヤツらがここにくる前。
特級組へと向かったはずの複数の兵士達が半ば錯乱状態でこちらへと逃げ帰ってきた。
何が起きたのか尋ねようにも、ガタガタと全身を震わせ、頭を抱えながら座り込み、
「こ、殺される。俺達はみんなあの魔女に殺されるんだ」
「魔女が地獄から蘇ってきた……」
「魔女が……魔女がなんで……」
とブツブツ呟くだけ。
ろくに話を聞くことが出来ずに終わってしまった。
魔女。
それは何のことを指しているのか。
今、把握した。
「ば……爆炎の魔女……」
爆炎魔法の使い手。
元第二魔法師団 特攻隊長 フィオナ・パスカリーノ
「な、何故……アヤツは魔族に殺されたはず……それにその姿は……」
赤い可視化した魔力に赤い髪。
想像できる人物は一人なのだが……
容姿が違いすぎる。
幼い。
幼すぎるのだ。
「まさか……奴の娘か!!知らぬうちに隠し子を残しておったとは!!死してなお迷惑な奴め!」
と盛大に勘違いをするのだった。
その結果、
「バ、バカが!何を言っているんだ!私に娘などいるわけなかろう!」
と血管が浮き上がるほど激怒するのだった。
フィリスが激怒する中、シャールの父も激怒しながら言い返す。
「何を可笑しな事を言っておるのだ!奴な訳が無かろう!私は一度だけ見たことがあるのだ。決してお前のようなちんちくりんでは無かったぞ!」
と下世話な視線で、ある一点を凝視。
それに対して……
「……コロス」
怒りの限界を突破したフィリスは詠唱を開始する。
「燃やせ、燃やせ、燃やし尽くせ!エクスプロージョン!!」
「む、娘も爆炎魔法の使い手だと!?い、急ぎ障壁を!!早くしないか!」
フィリスの魔法の詠唱を聞いたシャールの父親は慌てて部下である魔法師達に魔力障壁を展開させる。
魔法師達は命令される前から爆炎魔法の詠唱を聞いて慌てて魔力障壁を全力で展開していたので、爆炎魔法の詠唱が終わる前には強固な魔力障壁を張り終えていたのだった。
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。