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仲間は裏切らない!

突然の別れに悲しみに暮れる子ども達。


そんな中、フィリスは託された子ども達へと声を掛ける。


「お前達もあんな伝言を聞かされちゃ、この場に残るなど選択は出来んだろう?」


そう告げると生徒達が頷く。


「ならば私達と共に行動しろ!そして必ず生き延びるぞ!!」


フィリスの言葉に生徒達は決意の籠った目で頷き返すのだった。


とある一人を除いて……


『お、俺はどうしたら……』


未だに戸惑っているシャール。


「シャール、お前も私達と共に来い」


戸惑いつつも皆に流され付いていくことにしたのだった。


最低限の荷物を持つと危険なのは重々承知なのだが、特級組の残る3人の無事を確かめるべく学園へと向かうことにした。


「止まれ……」


寮の出口から外を覗くフィリス。



学園へと向かう通路には困惑した表情を浮かべ、生徒を監視している兵士に怯えながら学園へと向かう生徒達の姿が見えた。


「私達もアレに紛れて学園へと向かうぞ」


フィリスの指示に従って下を向き俯きながら学園へと進む6人。


学園の校舎まで後少し。


そのまま進んでいると、


校舎の目の前には武装した何十人もの兵士達が。


そしてその兵士達を指示している人物が特級組の6人の存在に気が付いてしまった。


「そこの生徒達止まれ!そして顔を上げよ!」


「……言われた通りにするんだ」


フィリスはそう口にすると、ゆっくりと顔を上げる。


すると兵士達を指示していた人物は6人の中に顔見知りの人物を発見した。


「坊ちゃま!!シャールお坊ちゃま!!」


「サ、サラス!?何故こんな所に……?」


そう会話をしていると、騒ぎに気が付いた派手な軍服を着た人物が兵士達に守られながらのっしのっしとこちらに歩いてきた。


「ち、父上まで何故ここに……」


動揺するシャールを余所に、シャールが父と呼んだ人物はニコニコしながら話し掛けてきた。


「シャール!!良くやった!!反逆者共をここまで連れてくるとは、流石我が息子だ!」


「は、反逆者ですか!?」


クラスメートである仲間を反逆者呼ばわりされて慌てるシャール。


「そうだ!反逆者だ!王国に仇なす者として一族諸共手配されておる。今頃お主らの領地には我が国の精鋭達が向かっておる頃だろう!」


先ほど遺言とも言えるメッセージを聞いた生徒達はグッと歯を噛みしめて耐える。


相手はシャールの父親。


仲間の親には手を出せない。


「さぁ、シャール。こっちへ来るんだ!」


幼き頃から父親の指示は絶対だと叩き込まれていたシャールは、身体が勝手に反応してしまい一歩一歩と前へ踏み出す。


「良くやったな、シャール。反逆者共をよくここにおびき寄せてくれた!」


笑顔でシャールを褒める父の下へと残り十メートル程の所でシャールは立ち止まる。


「ち、父上!仲間は……仲間はどうなるのでしょうか!!」


シャールは意を決して父親にそう問い掛けると、


「仲間……仲間だと……?シャール!反逆者共に情がうつったのではあるまいな!」


クラスメートを仲間と呼んだ瞬間に父親は激怒し、言葉でシャールを叱責する。


「国家に仇なす反逆者などに生きる道などあるわけが無かろう!いいから早く来い!これ以上私の手を煩わせるな!」


そう怒鳴りつけるのだった。


シャールは後ろを振り向くと仲間達と目が合う。


「ぼ、僕は……」


これまで仲間と共に過ごした日々を思い出す。


「何を立ち止まっておるのだ!はやくしないか!」


シャールの父親の下に続々と兵士達が集まってきていた。


この学園に通い、初めて友と呼べる仲間を作ることが出来た。


このクラスに入ったおかげで人生が一転した。


魔法師としての常識を破壊し、ここまで自分の能力を引き上げてくれた教師。



そして共にそれこそ血反吐を吐きながらも研鑽し続けた仲間達。


ある日突然異端者認定され処刑された元クラスメート……


『そう言えばアイツが処刑されたのもこんな感じだったな……』


いつも自分の先を進み、ミレーヌから気に入られていたアイツ。


自分自身はアイツを気に入らないと思っていたが、人一番努力してきたアイツを認めてもいた。


『……仲間か』


仲間をこれ以上失うのは……


ごめんだ!


「早く来い!来ないならば痛い思いをさせるぞ!」


我慢の限界を迎えたシャールの父親は詠唱を開始し、杖をシャールに向ける。


「ほ、僕は魔法学園特級組のシャール!!僕は仲間を絶対に裏切らない!!」


初めてシャールは父親に反抗した。


「き、貴様ぁ!裏切らないだと!?この私に逆らう気か!?」


逆らうと口にした瞬間に杖の先からファイヤーボールが飛んでくる。


シャールは目を瞑ることなく、無詠唱で魔法障壁を発動すると父からのファイヤーボールを呆気なく受け止める。


「なっ!?貴様ぁぁぁぁぁぁ!もうよい!貴様は所詮長男の予備なのだ!構わぬ、反逆者共を痛みつけて捕縛せよ!」


兵士達が魔法の詠唱を始めると周囲から様子を伺っていた生徒達は慌てて学園の中へと逃げていく。


「「「ファイヤーボール!!」」」


詠唱を終えた数十人の兵士達はタイミングを合わせてたった6人しかいない子ども達に向けて魔法を発射。


その威力は明らかに当たれば致死性の威力だった。


一人の少女が一歩前に出ると魔法障壁を展開。


複数ものファイヤーボールが魔法障壁に衝突する。


パーーーーン!!


激しい音を立てて魔法障壁に衝突。


しかし……


「それだけの人数がいてこんなものか。大したこと無いな」


数十人の魔法をたった一人で受け止めた少女は挑発するような仕草をしながら笑う。


「コ、コケにしよってぇぇぇ!!もうよい!殺せぇぇぇ!!」


と怒鳴り散らすのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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