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戸惑う子供達へと迫る悪意

「な、何が起きてるんだ!?」


ちょうど学園へと向かおうと寮の扉を開けたばかりのシャールが慌てて寮の中へと戻ってきた。


「まだ全員寮にいるか!?」


フィリスが声を荒げながらそう問うと


「クララ、ベティー、シーヴァが早めに学園に向かうって言うてたから、もうとっくに学園に!!」


とルーが叫びながら部屋から飛び出してきた。


「くっ!!イアン隊長が謀反なんて計画する訳がない!!あの人が特に目を掛けたのはこのクラスだ!奴らは絶対にこのクラスの人間を狙うぞ!!」


フィリスがそう叫ぶと、クラスメイトの皆は更に顔を青ざめさせていた。


そんな中、フィリスは言い知れぬ不安に襲われていた。


『この感じ……これはラグナの時と同じ感じだ』


これからどう動けばいいか、必死に考えこんでいると、


「3人を連れ戻さなければ!」


そう言いながらウィリアムが寮から飛び出していく。


「バカが!動くな!」


フィリスの叫びを無視し、走り出したウィリアム。


すると、寮の目の前にはすでに兵士達が大量に押し寄せていた。


「いたぞ!特級組の生徒だ!大人しく捕まれ!」


と兵士がウィリアムを取り押さえる。


「離せ!僕は何もしてないぞ!」


「騒ぐな!大人しくしろ!」


バタバタと暴れるウィリアムを数人掛かりで押さえつける。


すると、一人の少女が兵士達の前に現れる。


「その者を離しては下さいませんか?」


フィリスが覚悟を決め兵士達に向けて魔法を放とうとした瞬間、いつの間にか隣にいたミレーヌが祈るようなポーズで兵士達に話し掛けた。


「お前も特級組か!おい!そいつも捕縛しろ!」


兵士達の部隊長が部下にそう指示すると、ミレーヌの願いも虚しく兵士達が押し寄せるが……


「やめぇい!この方を誰と心得る!」


とミレーヌの前に両腕を広げたルーが飛び出していく。


兵士達は突然飛び出してきたルーの行動に動揺し、動きを止めてしまう。


まさか大貴族の関係者なのではと……


既に捕縛しているウィリアムが侯爵家の人間だとは露知らず、その後ろにいるミレーヌに注目する。


「このお方はあの『エチゴヤ』の方であるぞ!控えよ!」


ルーが兵士達に大声で叫ぶ。


「エ、エチゴヤだ……と……?」


ルーの叫びに動揺する兵士達。


「エチゴヤだろうが何だろうが関係ない!捕縛しろ!」


動揺し動かない兵士達に苛立った部隊長がそう指示するが……


「しかし……」


目の前にいるのはあのエチゴヤの一族というではないか。


ほとんど人前に姿を見せることはない謎多き一族。



「エ、エチゴヤの方にこんな事は……」


しかし兵士達の中には、エチゴヤに助けられてきた者達も多数いた。


病気の家族の為にと高価な薬を手が出せる値段で融通してくれたり。


食糧難の際にも利益を貪ることなく、市民の手が届く範囲の価格で販売してくれたり。


エチゴヤは常に全ての市民の味方だった。


誰もがエチゴヤに恩があり、下手に手を出せないでいた。


この状況下に苛立つ者が一人。



「えぇい!お前等が動かないならば私が動く!後で処罰は覚悟しておれよ!」


そういうと部隊長がミレーヌを捕縛しようと手を伸ばした所で……


ついに彼女が暴発したのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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