女王様からのお願い
各サイトにて本当に予約が開始されていたのでビビっている作者です。
『さてと……とりあえず……へぃ、彼女!カモン!』
薄暗い室内にある扉が急にライトアップされた。
そしてドゥルドゥルドゥルというドラムロールを真似た音声が流れ、しばらくして音が鳴り止むとバンと扉が開かれた。
「えーっと……いろいろと、ありがとうございました」
と深々と頭を下げて登場したのは、
「ミオン様!?あ、頭を上げて下さい!!」
わたわたと慌てるラグナの目の前に現れたのは、シーカリオン国女王であるミオン・シーカリオン。
ラグナが無事に帰還したとの報告を受けて、こちらへとやってきたのだった。
改めてラグナはガッテスとアルテリオンの現状を説明。
そして国境周辺で起きていた悲劇についても、改めて報告するのだった。
「やはり……そうでしたか……わが国の国民を思っての行動、本当に感謝致します」
回収した遺品や遺体については、後ほど引き渡す事になった。
『ミオンちゃん、ラグナくんにこの国の現状を説明してあげて~』
「わかりました。では……」
とミオンからこの国の現状を説明してもらった。
シーカリオンでは建国時からの法律で、野生の魔物が近隣へと現れた場合には防衛力の乏しい村に住む住人は近隣の都市へと強制避難することになっていた。
何故かというと、魔の森以外でほとんど見かける事が無い魔物という存在がシーカリオンに現れた場合、世界に何かしらの異変が起きているということ。
初代勇者が活躍した人類に取っては暗黒とも呼べる時代と同様の世界に戻る可能性がある。
なので異変が起きた場合にはルールに従うように教育していた。
初代勇者から聞いていた避難訓練と呼ばれる訓練をリオは自国の政策に取り組み、数年に一度のペースで各村の避難訓練を実施していた。
しかし……
現実には避難が間に合わなかった村も存在した。
そしてその村は魔物達の手によって……
一部の都市についてはリオが設計に関わっている為、万が一の防衛兵器として防衛用の魔道具が設置されている。
リオが設計に関わっていない都市についても、緊急時にすぐに対応出来るようにと魔道具の配布は事前に行われていた。
「食料についても、防衛兵器にて討伐したモンスターの肉が回収出来るのでそれほど混乱なく対応出来ています。それに魔物の素材が関税も無く手に入るので……」
何かを思い出したかのように暗い笑みを浮かべる女王様。
きっと某国が恐ろしいほど値段をふっかけていたんだろうなと思いつつも、空気を読んだラグナはそっとしておくことにした。
『ミオンちゃ~ん?暗黒面に堕ちるのは良いんだけど……ラグナくんにお願いがあるんじゃないの?』
リオからの指摘にはっとしたミオンは少し恥ずかしそうにしながらも、改めて真剣な表情でラグナにお願いをするのだった。
「ラグナ様、お願いがあります。他国からわが国へと向かってきている、とある一族の方のお迎えに行って欲しいのです。」
この状況下でそんな危ないことをと思い
「魔物が跋扈している状況下でそのような事をしている人達が……?」
「……仕方が無いのです。あの国にこれ以上いるのは危険だと一族の長が決めたのです」
ラグナはその言葉を聞いて思い浮かべる国が一つだけあった。
そして、まさかとは思いながらもその一族についてたずねる。
「あの国から避難してくる一族というのは……?」
ミオンは盛大にため息を吐きながらも答えを教えてくれた。
「……エチゴヤです」
ラグナはその名を聞いて思わず上を向いてしまうのだった。
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。