アルテリオン移動する
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
そしてこの度の震災において、被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
ポンコツの作者ですが……
年末にアデノウィルスとやらに感染しました……
結膜炎&39℃超えの発熱&腹痛に襲われていましたが、ようやく復活してきました。
遅くなりましたが更新再開いたします。
先ほどまでどこか不安そうだったルテリオ様は手紙を読んでからホッとしたような表情をしていた。
そして俺の方に向き直すと、ゆっくりと頭を下げる。
「改めまして、本当にありがとうございます」
「い、いえ。僕は手紙を運んだだけですので」
ガッテスへの手紙の内容や、その返事については殆ど把握していない。
「あの時の約束が果たされるような事態が起きるなんてね……」
ルテリオ様が外の景色を見ながらそう呟いた。
『あの時の約束……?』
それは何なのだろうと思っていると、ルテリオ様はこちらへクルッと向き直すと驚くべき事を話し始めた。
「この国アルテリオンはこの緊急事態に対してガッテスと協力することになりました。ガッテス・アルテリオンの二国はこの非常時に対応するため、一時的に連合国となります」
「れ、連合国……ですか?」
でもドワーフとエルフはミラージュと戦争になるまではあまり仲が良くなかったと聞いたことがあった気がするけど……
「まぁこの非常時ですから……本来ならばこの国の王であるアリッサムが決断するべき事なんですけれど……」
と少し困った表情をしていた。
アリッサム王の代わりとなる人物がまだ育っていなく、ルテリオが先頭に立たなければならないらしい。
「ん?」
しゅるしゅるしゅるっとラグナの腕に巻き付いてくる細い精霊樹の根。
『一応今いるのは建物の中なんだけど……』
何故か床から根が飛び出てきている。
「……連合国として動くために、ラグナ様には協力して頂きたいことがあります」
「出来る範囲の事ならば、何でもしますよ?」
俺がルテリオ様にそう伝えると、少し申し訳無さそうな表情をして……
「ラグナ様にはこの子に出来るだけ多くの魔力を渡してほしいのです……」
「魔力ですか……?」
てっきりまた何かを運んでほしいのかと思ったけど、違ったらしい。
「ガッテスと連合国となるのにはどうしてもこの子に魔力が必要なんです。本来ならばこの国に住むエルフ達が捧げるべきなのですけどね………」
魔力か……
「さすがに全部渡すのは厳しいですけど……」
この後シーカリオンへと向かう事を考えると……
「全部とは言いませんよ!この子が移動するのに最低限の量があればいいので」
ルテリオの発言に同意するように精霊樹の根も頷いていた。
「それでいいならまぁ……」
とラグナが了承すると数本の精霊樹の根がラグナの腕に優しく巻き付く。
その根に向けてラグナは魔力を流し始めたのだが……
「だ、大丈夫?」
ラグナが魔力を流した結果、精霊樹の根がビックンビックンとうねり始めたので驚いて魔力を流すのを止めたのだが……
まるでもっともっと~とでも言っているかのように、ラグナの腕に甘えながら根が巻き付いてきた。
「これ、大丈夫なんですか?」
再び魔力を流すとビックンビックンとうねる精霊樹の根を見ながらルテリオに問い掛けると、
「……全くこの子ったら恥ずかしい。」
と呆れていた。
しばらく気まずい空気の中、無言で魔力を与えていたラグナだったのだが、
「そのくらいで大丈夫です。本当にここまでして頂きありがとうございます」
とルテリオがお礼の言葉を述べたところで精霊樹の根へと魔力を注ぐのを止めた。
もっともっと~と巻き付いてくる根を引き剥がしながらラグナはルテリオに質問する。
「それでこれからどうするのですか?」
連合国となるとしてもガッテスとこれだけ距離が離れていると今までと変わらない気がする。
「ラグナ様のおかげで移動に必要な力は溜まりましたからね。この子の力を使ってガッテスの側へと移動します。」
「移動します……?」
どうやって?
「ちょっと説明するのは難しいのですが……そうですね。実際に見てもらうのが一番です」
そう言うとルテリオに案内されながらアルテリオンの範囲外へと向かう。
するといつもと変わらず景色が変化し、アルテリオンの国の入り口が見えなくなった。
「ラグナ様、本当にここまでして頂きありがとうございます」
ルテリオが改めてラグナへと感謝を伝えると、ルテリオの後方が輝き始め……
いつも見かけていた姿よりも更に巨大な精霊樹が姿を表した。
ラグナがその巨大さに見とれていると、
「それではまた。ラグナ様の道中のご無事を祈ります」
と笑顔で伝えると、ゴゴゴゴという地響きと共に精霊樹が地面へと潜っていくのだった。
今回も読んでいただき本当にありがとうございます。
少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。