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鍛冶神様から手渡された物は……

ラグナが鍛冶神様と別れ元の部屋へと戻ると、


「いったい何が……」


城で働くドワーフ達が忙しそうに走り回っていた。


ラグナがその様子にあ然としていると、


「ラグナ様、お待ちしておりました。会議室にてガッデス王がお待ちです。どうぞ、こちらへ」


とラグナが来るのをずっと待っていた近衛兵のドワーフに案内されて、会議室へと向かう。


「こちらになります。」


案内された会議室へと入ると……


ガッデス王が忙しそうに書類にサインをしていた。


そして俺が入ってきた事に気が付くと、


「鍛冶神様とのお話は……?」


「無事に終わりました!」


「それで……鍛冶神様は……いえ、これ以上は我々が知る必要はないですな。」


そして座っていた椅子から立ち上がると申し訳なさそうな表情をしながら、


「ラグナ様、この様な事をお願いするのは本当に申し訳ないのですが……この手紙をアルテリオンへと運んで頂けないでしょうか?」


差し出された手紙をラグナは受け取る。


「アルテリオンへの手紙ですか?」


「はい。ルテリオ様から頂いた手紙の返事になります」


「そういう事なら任せて下さい!」


そう言って手紙を受け取る。


するとガッデス王はこちらの様子を伺うようにとあることを聞いてきた。


「ラグナ様……自らを真の女神と名乗った存在に心当たりはありますかな?」


真の女神……



「直接の面識はありません……何度か声を聞いたことがあるのと、命を狙われた事も……ただ……」


「ただ……?」


あの声は言っていた。


俺の存在があの声の主に仇なす者だと。


「い、いえ……わかっているのはそれくらいしか無くて……」


確証が無いことを言っても仕方ない。


「……そうですか。……こんな所にまで魔物が出没しているのはあの声の主が原因だと儂は思うておるんですじゃ。そしてわが国以外でも同じ様な事になっているかと思うと……」


ガッデス王は深刻な表情をして考え込んでいる。


「確かに……ここまでの道中で様々な魔物が襲ってきました。もしかしたらシーカリオンも同じ様な事になってるかも……」


ガッデスやアルテリオンとは違い他の国は小さい村などもある。


そんな小さい村では魔物からの脅威には立ち向かえないだろう。


あのアオバ村ですらあんな事になってしまったのだから……


『それにヒノハバラにいるみんなは大丈夫だろうか……?』


元クラスメイトの顔が浮かぶ。


もう会うことは無いと思うけど……


せめて無事であって欲しい。


ラグナが悲しそうな顔をしてしまったからだろうか……


「ラ、ラグナ様?いかがなされたのじゃ?」


とガッデス王が心配そうに声を掛けてきたので、


「い、いえ。何でもありません。それじゃあ僕はこの手紙をアルテリオンへと届けたら、シーカリオンに戻りますので。」


「本来は使徒様に対してこの様な事を頼むのは申し訳ないのですが……どうかよろしくお願いしますじゃ。そしてくれぐれも無理だけはしないで下さい。」


「ありがとうございます。それでは」


とラグナが会議室から立ち去りアルテリオンへと向かおうとした所で、


バンッ!!


「ラ、ラグナ様は、まだいるか!?」


とルヴァンさんが血相を変えて部屋の扉にタックルし、やや強引に会議室へと突撃してきた。


「ちょ、ちょうど今から出発しようかと思っていましたが……何かありました?」


俺がそう答えるとルヴァンさんが両手に大事そうに布に包まれた何かを机に置く。


そしてゆっくりと布を開くと


「……ナイフ?」


布の中には小さなナイフと鞘が。


どこかで見たことがあるようなナイフ……


「鍛冶神様がラグナ様へと渡し忘れたからすぐに届けろとの事で……使い道についてはラグナ様が知っているだろうからと……」


恐る恐るそのナイフを手に取る。


『使用者登録が完了しました』


ナイフを手に持った瞬間、そんな声が響き驚いてナイフを落としそうになった。


「ラグナ様!?どうなされた!?」


ナイフを手に持った瞬間、ビクッとなった事に驚いたルヴァンさんが心配そうに声を掛けてきた。


「だ、大丈夫です。ちょっと驚いただけですから。そ、それじゃあ僕は急いでアルテリオンへと向かうので。お二人も魔物には気をつけて下さい!」


と半ば強引に話をぶった切ると慌てて部屋を退出し、城の外へ向かうのだった。


「……急にどうしたんだ?」



「さぁ……鍛冶神様が渡したナイフが原因なんだろうけど……」


あまりにも慌てながら立ち去っていったラグナを心配したガッデス王とルヴァンだった。


「まったく!神様や女神様はこれだから!」


ラグナは少し怒りながら高速で森の中を移動している。


「貰って嬉しいのは嬉しいけど……何で気軽に神器なんて手渡して来るんだよ!しかもこれって!!」


ナイフを見てどこか懐かしい気持ちになり、実際に手に取って理解した。


鍛冶神様から贈られたナイフ。


それは前世で人生最初で最後のソロキャンプの際に使用していたバトニングナイフを再現した神器なのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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