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エチゴヤの次期当主

悲報、暑さでエアコンが止まる……




「何だと!?それは本当か!?」


エイミーからの緊急連絡を受けたブリットは魔道具経由でエイミーと直接会話をしていた。


「……わかった。ひとまず輸送任務は一旦中止だ。本来ならば彼には負担を掛けたくは無いのだがな……警戒度を上げる。常に商会の人間が外にでる際は、必ず複数人で警備を伴って行動しろ。……その件についてはお前の責任ではない。まずは商会の人間の安全確認の最優先を。後は例の件の準備も頼むぞ。あぁ、また何かあればすぐに連絡をくれ。」


ブリットの様子を窺っていたサイだったが、ここまでピリピリとした父の姿を見るのは初めてだった。


商人たる者、周りの目を気にして常に平常たれとの教えを完璧に守っていた父の姿。


それが破られるほどの何かが、起きたのだろうと察したサイや、商会の幹部に緊張が走る。


そしてエイミーからの緊急連絡が終わった後に、ブリットから発せられた言葉はあまりにも驚く内容だった。


「今すぐに全国各地のエチゴヤの支店へ連絡!!ミラージュからの速やかな完全撤退を行う!!物資も金も全て急ぎ運び出せ!!あの国へ我が商会の金を一銭足りとも奪わせるな!!」


普段は温厚なブリットからの怒号にも似た命令に戸惑う幹部達。


「急げ!!理由は後で説明する!!ミラージュの資産は全てシーカリオンへ移動させよ!!」


ブリットからの怒号に慌ただしく動き始める幹部。


そして執務室に残ったのはブリットとサイの2人だけに。


「……何があったのです?」


初めて見る父の姿に内心動揺しながらもサイは父に問いただす。



「ミラージュがやりやがった……」


「ミラージュ……?」


確かにあの国と戦争中の国へと物資を輸送はしているが……


「ミラージュの兵士達が我が商会の輸送部隊を襲い、荷を奪っていったらしい。」


「なっ!?」


ブリットから聞かされた内容に絶句するサイ。


ミラージュがまさかエチゴヤに手を出すとは思ってもいなかった。


「本来ならもう少し後の予定だったんだがな。サイ、ついて来い。お前を正式に我が商会の後継者として任命する。」


ブリットは執務室の外に立たせている兵士に、中には指示があるまで入るなと告げると執務室には誰も入れないように施錠する。


その後、ブリットは執務室にある自身の机の扉を何度も開けたり閉めたり繰り返していた。


「……父上?」


サイが呼び掛けるものの、ブリットは真剣に開け閉めを繰り返していた。


そして……


ガチャン


何かが嵌まる音が聞こえた。


すると……


「こ、これは……」


「そのまま動かないで待っていなさい」


執務室の床全体に魔法陣が浮かび上がる。


グワン、グワン、グワン、グワン


今まで聞いたことが無い音が部屋の中に響く。


そして……


「くっ!?」


更に発光した魔法陣によって視界が奪われ、あまりの眩しさに目を閉じてしまう。


そしてすぐにふわっと身体が一瞬軽くなったような錯覚に陥る。


全てが治まり、サイはゆっくりと目を開くと……


「なんだ、これは……」


先ほどまで執務室にいたはずなのだが……


目の前に広がる空間は見たことも無い。


部屋の壁にはみっちりと配管やら魔法陣が刻まれている。


それに様々のボタンや派手に装飾された椅子なども。


「まさか私の代でこの様な事が起こるとはな……いや、私の代で良かったのかもしれない。」


先ほどから父上がよくわからない事を呟いている。


「サイ、今から見せるものは他言無用だ。見ていいのは当主及び正式な後継者のみだ。それだけは絶対に破るな。わかったな?」


父の本気の目に圧倒されながらも、サイははっきりと「はい」と返事をする。


「では、その前にこの椅子に座ってくれ。」


サイは父に指示された通りに椅子に座る。


「驚くかもしれんが、冷静にな。」


そんなセリフに驚き父の姿を見ると、なんだか苦笑いしているように見えた。


『スキャン開始』


ガチャンという音と共に椅子に座った状態で手足が拘束される。


そして下から光が上へと移動していく。


サイは恐怖に包まれながらも必死に耐える。


『エチゴヤの血族と確認、続いて登録を開始。』


拘束されて動けない状態の腕に向かって針の様な物が突き刺さる。


自身の血が針を通して透明な管の中を流れていくのが見えた。


するとすぐに針は腕から外れ、腕にペタッと見たこともないものが貼られた。


『血液の登録を完了。ようこそ、エチゴヤの次期当主様』


「あ、ありがとう?」


サイは思わず返事をしてしまったものの、一体何がどうなっているのか理解できずに混乱しているのだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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