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賢者リオからのご褒美はありがた迷惑

「お待たせ~!それじゃあ行こっか!!」


リオはそう言うとラグナの手を取り、自身を封じている魔道具の奥の部屋へとどんどん進んでいく。


「ちょっ!?どこまで行くんですか!!」


「いいの、いいの~。お姉さんと2人っきりでデートても楽しもうじゃないかぁ。」


あはは~と笑いながらズンズン進んでいき、やがて奥の壁に到着する。


すると壁に手を当て、何やら詠唱を始めていく。


「開け~、ゴマ!!」


すると壁がゴトっと横にスライドしたのだった。


『開け、ゴマって!?あの時の魔道具屋と一緒!?』


その先に広がる空間には上へと続く階段が有り、それを駆け上がるように登っていくリオ。


リオの詠唱に驚き立ち止まるラグナの手を取ると、グイグイと引っ張っていく。


「早く、早く!」


急に急ぎ足で階段を登り始めるリオ。


この時点で疑っていれば良かった。


何でこんなにも急いでいるのかと。


階段を登りきった先にあったのは扉。


「ふぅ……間に合ったぜ……」


そしてリオが勢い良くドアを開けるとそこには……。


「きゃっ!?」


勢い良く開いた扉に驚いた女性の声。


そして、


「ラグナ君へのご褒美だよ~!!」


リオが勢い良く扉を開いた先には下着姿で慌てて着替えている女性がいた。


その下着姿の女性の正体は……


シーカリオンの女王であるミオン・シーカリオンなのだった。


「ご、ごめんなさい!!」


慌てて振り向いて扉を開けて戻ろうとするラグナだったが、扉はロックされてしまったのか開かない。


「ど、どうして!?」 


ラグナが慌てていると後ろから声がかかる。


「い、いえ……こちらこそすみません。今、着替え中なのでそのまま動かないで下さい。」


「あっ、あの、本当にすいません。決してわざと見た訳じゃなくてですね!?」


焦りまくっているラグナ。


「だ、大丈夫ですよ。そんなに謝らないで下さい。こちらこそ、お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません。」


「いっ、いえ、そんな事ないです!綺麗でしたよ!!……って何を言ってるんだ僕はぁぁ!!」


女王であるミオンの下着姿を見てしまった為、ラグナは激しく動揺してしまいとんでもない事を口走ってしまう。


だがしかし、言われた本人は顔を赤くしながら少し嬉しそうな表情をしていた



それから数分後に何とか冷静さを取り戻したミオンは改めて挨拶をする。


「ラグナ様、任務お疲れ様でした。そしてリオ様、悪戯もほどほどでお願いしますね?」


「えへへ、ラグナ君へのご褒美だったからさぁ。相変わらずミオンちゃんは綺麗だねぇ?」


そう言いながらも反省した様子はないリオだった。


ちなみにラグナは未だに動揺しており、挙動不審になっているのだが……まぁ仕方ないだろう。


その後、ようやく落ち着いてから話を始める事になったのだった。


ラグナはミオンに対してもリオと同様の説明をする。


「そうでしたか……」


考え込むミオン。


「仕方ない部分もあるとはいえ、アルテリオンで反人族派閥が……」


「私も驚いたよ。ルテリオが居るのにも関わらずそんな事になっているなんてね。」


リオが苦々しい顔で呟く。


「ルテリオ様は政治に関して、全く関与していないと伺っています。近年では精霊樹に付きっきりだとか。事前にもっと情報収集をするべきでした。ラグナ様、本当にご迷惑をおかけしました。」


深々と頭を下げるミオン。


「いや、気にしないで下さい。あれは事故みたいなものですから。」


そんなミオンに慌てるラグナ。


「そ、そうだ!!これをアルテリオンとガッデスの王からミオン様へと。」


ラグナは収納から手紙を取り出すとミオンへと手渡す。


「アルテリオンの王からは、今回の不手際についての謝罪。ガッデス王からは救援物資に対する感謝が書かれています。」


それを聞いたミオンは微笑みながら受け取る。


「ありがとうございます。後程読ませて頂きます。」


すると……、


「ねぇ、ねぇ、それよりもさ。どうしよっか、救援物資の輸送。輸送部隊が壊滅しちゃった商会への報告もしなきゃいけないし。」


リオが会話に加わると、それを聞いて困った表情になるミオン。



「そうですね……とりあえず各商会に使いを出す事に致しましょう。まずは商業ギルドにも話を通す必要がありますね。」


「そうだよね。あー……でも面倒くさいなぁ……」


頭を掻きながらぼやくリオ。


「一応、ご遺体の一部と破損した馬車と積み荷は収納してあるんですけど……」


おずおずと話し始めるラグナ。


「大変な状況の中、そこまでしていただき本当にありがとうございます。」


再度、お礼を言い始めるミオン。


壊滅した商隊の遺品や積み荷については倉庫が確保出来次第、収納から取り出して保管する事になった。


「それにしても、まさかこんなタイミングで襲撃があるなんてねぇ。」


商隊と争う可能性があるとしたらミラージュだと思っていたリオとミオン。


万が一の場合、ミラージュの兵士達に積み荷を引き渡しても構わないと各商隊には伝えてあったが……


それ以外からの襲撃があるなど、予想もしていなかった。


積み荷さえミラージュの兵士達に渡してしまえば、命だけは助かるだろうと考えていたからだった。



今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 害悪がプラス1増えたって事ですね 完全に完治したら一度キャンプでヒャッハーしてくると体調にも精神的にもいいと思いますよ 小説の事は忘れて満喫してらっしゃいな
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