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初心者キャンパーの異世界転生 スキル[キャンプ]でなんとか生きていきます。  作者: 奈輝
女神様からのお願いと謎の宅配人

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出発

地図の確認完了。


自分用の食料もOK。


着替えもある程度収納してある。


「いろいろとお世話になりました!」


「気をつけて行くのよ~。」


エイミー達に見送られながらラグナは真っ暗闇の中、王都マリンルーを出発する。


まずは深緑の森アルテリオンへ。


地図上の距離感で言うと、王都マリンルーからカーリントーの街へ行くのとアルテリオンへ行くのでは約2倍の距離感。


もしも正確な地図だったとして……


カーリントーへは王都から徒歩で2週間。


この世界では一週間が6日なので移動に12日間。


確か人が1日に歩く距離は40キロって書いてあった気がするから、単純計算で480キロ。


その2倍だから960キロ。


子供の歩幅だから距離は違うだろうけどね。


計測する機器なんて持って無いし。


そもそも地図が正確なのかすら不明。


それに……


『まぁ、歩いて移動するわけじゃないしね。』


出発を夜にした理由。


それは……


シュゴーっという音を立てて魔道具が起動。


「本当に浮くのねぇ。」


「姐さん、ウチにもあれ一台買えませんかね?」


「姐さんは止めてって言ってるじゃない。それに買ったって使えないわよぉ?あれ、自前の魔力だもの。」


「えっ……?うそ……まじっすか?」


そんな声がする中、ラグナは2つ目の魔道具を起動。


キュイーンという甲高い吸気音が辺りに広がる。


そして


「それじゃあ行ってきます!お世話になりました!」


「無事に帰って来るのよ~!!」


ラグナは全身をすっぽりと隠せるほど長く改良されたカモフラージュローブを羽織り、ホバーシューズとダッシュメイルに魔力を流し込んで行く。


激しい騒音をまき散らしながらあっという間にエイミー達の前から姿を消したのだった。


「速いわねぇ。もうあんな所まで行ってしまったわ。」


エイミーのその呟きに驚く部下。


「さ、流石、姐さん。こんな真っ暗闇なのに見えてるんですか……。」


「何言ってるのよぉ。今日は星の光で地面が照らされてよく見えるじゃないの。や~ね~、もう。」


笑顔でエイミーがそんな事を言うので『マジカヨ』と思いながらも部下は無言を貫くのだった。


ラグナはLEDランタンを召喚すると車のヘッドライトの様に光源を前方に向けてセット。


時速30キロくらいの速度で進んでいた。


目的地まで960キロとして……だいたい32時間。


まぁ基本は真っ暗な夜にしか移動するつもりはないから、休憩込みで1日5~6時間移動すればいい方かな。


車の運転でも5~6時間も休憩無しで運転なんて疲れちゃって無理だし。


最短でも5日~6日の旅。


荷馬車だと確かしっかり舗装された道じゃなければ徒歩と変わらないくらいの移動距離しか移動出来ないって見たことがある。


1日40キロ移動出来たとしても24日……


『片道だけでも1ヶ月近く時間が掛かるのか……』


食料関係をメインに運んでほしいって頼まれた理由がわかった気がする。


ラグナは日が昇り始める時間には魔道具を収納し、その日の高速移動は終了。


収納から食料を取り出して簡単に済ませると木に登ってキャンプスキルの魔道書にハンモックに変化してもらう。


カモフラージュローブを脱ぐと、ハンモックを包むように設置して睡眠。


夕方前には魔道書に起こしてもらう。


そして薪を取り出して簡単に組むと着火材を振りかける。


そして火魔法で着火。


訳あって大量に手に入れた魚を収納から取り出すと、串に刺して炙っていく。


そこで、思い出したくもない思い出が蘇る。


爆炎の魔法書が居なくなった後に、どれだけ変化したのか試した事があった。


確かに3割~4割は魔力の消費量が増えた気がする。


そして威力についてだが……


どの位威力が減ったんだろうと思い、人気のない夜に岸壁から海に向かって爆炎魔法をぶっ放してしまった。


威力は下がっているんだろうが……


爆炎魔法は爆炎魔法だった……


海上で凄まじい爆発が起きた。


そしてラグナに向かってくる爆風。


幸いにも波がこちらに向かって来るような事態にはならなかったものの……


『やべぇ、やらかした。』


と顔が青ざめたのも懐かしい思い出。


爆発が収まった後の海面には大量の魚が浮いていたので、風魔法で自分の前まで手繰り寄せて魚を回収。


物凄い大漁だったとだけ言っておこうと思う。


その後、ドキドキしながら王都マリンルーに入ると……


激しい爆発音に驚いた市民達の混乱により大変な騒ぎになっていた。


あの時ばかりは女王陛下とリオから真顔で本気で叱られた。


たき火をしていると、そんな事を思い出したラグナだった。





今回も読んでいただき本当にありがとうございます。

少しでも気に入って頂きましたらブックマークの登録や☆☆☆☆☆にて高評価して頂けると焚き火の火を見ながら1人嬉し涙を流すかもしれません。

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