目立つなんてごめんだ。
身体がダルい。
力が入らない。
でものどは渇いたしお腹すいたな。
また気絶しちゃったのか。
ってことは魔力欠乏症になったから?
スパイス召喚よりも収納のスキルが魔力消費?が多いのかな。
そう思いながらゆっくりと目をあける。
すると明るい光が目に入る。
「眩しいな……もう……朝?」
ゆっくりと身体を起こすラグナ。
そして窓から外を見る。
ちなみにこの世界の一般住宅の窓は前世の世界と同じ硝子ではない。
わざとスライムを飢餓状態にして身体の中を綺麗にした状態にする。
そしてそのスライムの核を破壊すると曇り硝子の様な色合いのゼリー状の身体が残る。
その身体を洗浄後に干して乾燥させたあと窓の形に加工すると完成。
その名も硝子モドキ。
何故そんな名前なのかと言うと、この硝子モドキは勇者が開発したと言われている。
重量は軽く強度は軽く叩く位では壊れないけど強く叩くと壊れるくらい。
勇者は硝子が作りたかったんだろうけど製法を知らなかった。
そして代替品としてスライムの特性を発見したんだろう。
そして現在。
硝子モドキではなく硝子も作られてはいる。
領主などの一定の財力をお持ちの方々のステータスになっているらしい。
うちではこんなに大きなサイズの硝子を使ってますよ。とか綺麗な硝子を使用してますって感じに。
まぁ前世のように綺麗な透明って訳じゃなくて多少の異物や様々な色がまばらについてたりするけどね。
だるい身体に鞭を打って起き上がりダイニングへ。
するとそこには両親が座って何かを話していたみたい。
「ラグナ目が覚めたのか?」
「身体は大丈夫?痛い所とか気持ち悪いとかない?」
「身体は少しだるいかな。のどが渇いてお腹すいたかも。」
病気で倒れたって訳じゃないことが判ったから2人とも落ち着いてるな。
「また倒れちゃったんだね。心配掛けてごめんなさい。」
「いや、俺達もスキルを何度も使わせてしまったからな。悪かった。」
「ごめんなさいね、ラグナ。」
両親が2人とも頭を下げてきた。
「いや、大丈夫だよ!僕こそごめん。一番最初にスキルを使ってその後、何をしたときに倒れたのかを忘れてたよ。同じ失敗繰り返しちゃった。」
「ラグナ、その事なんだけどな。もしかして声が聞こえたのは一つじゃなかったのか?」
「うん。片付けなきゃって思ったら収納しますかって声が聞こえたんだよね。その後に使えるようになったんだよ。」
父さんと母さんが物凄い気まずい顔をしていた。
「えっと……収納ってスキルって問題あるの?」
何だろこの空気感。
「収納スキルって珍しいの?」
物凄い言いにくそうな雰囲気だよ。
「ダメだったのかな。」
ヤバいくらい不安になってきた。
「収納スキルを確実に持ってた人物は判っている限り1人だけなの。」
「そうなの?てっきり商人さんとかなら持っている人も居るだろうと思ってたんだけど。」
商人が収納スキル持っていたらいろいろ便利だからね。
「確かに商人からしたら喉から手が出るほど欲しいスキルだろうよ。収納さえ出来れば仕入れ後の難易度はぐっと下がるしな。」
「それで収納スキルを持っていたのは誰だったの?」
「初代勇者様。」
「えっ。勇者?」
勇者ってあの勇者?
「あぁ、初代勇者様が収納スキルを持っていたらしい。」
「初代勇者さまは、魔王討伐の遠征時に自らを補給所として収納スキルを活用していたらしいわ。」
まぁ確かにそれが一番効率がいいんだろうね。
でもよりにもよって勇者と同じスキルか。
面倒なことが起きる気しかないな。
「勇者様と同じスキルか……大丈夫ではないよね?」
「大丈夫だとは言い切れないな。ただでさえスパイススキルだったか?そっちで目立つ上に収納だからな……」
目立つスキル2つも所有か……
うーん……こんなんどうしろっていうんだよ。




